津の小冊子 Kalas 16 2012.6月号「写すもの、残るもの」

kalas 16

津の小冊子Kalas 16「写すもの、残るもの」¥400

 三重県津市から発信する個人制作の地方誌。編集人の個人的な疑問や関心が、身近な津の人や物にぶつけられ、共感を呼ぶ小冊子。

 特集は「写すもの、残るもの」。
6月1日は写真の日。そして津は、上野彦馬と写真を学び、ともにその技法の普及に貢献した幕末の写真家・堀江鍬次郎を輩出した町。それから、およそ一世紀半。携帯で写真を撮る事ができるようになって、写真が身近になればなるほど見えなくなったもの、忘れてしまったものを、思い出してみました。—といっても、決して、フィルムのノスタルジーに浸るのではなく、デジタルとフィルムが共存する写真の今とその意味をじっくり考えます。

 市の教育委員会で郷土の歴史や遺物に接する機会の多い中村さんは、今も貴重な資料の記録にはフィルムを用い、仕事を離れれば手製ピンホールカメラや大判カメラで町の人々や景色や愛猫の撮影を行なう。また地元のクニミ写真店の先代は東京で学生時代に津に堀江鍬次郎がいた事を聞き、近隣の古刹に墓を探し、著作を蒐集して津の歴史と先達を再発見した功労者。
 スタジオやラボで17年間働いた後、独立した写真家・加納さんはフィルムにもデジタルにも精通したプロで、デジタルになってはじめて可能になった実際の写真を示す一方で、フィルムでもデジタルでも変わらない事柄を語る。町の中尾カメラ店は今、紙焼きが担う役割を語る。
 そして編集人自身、祖父や母の古い写真、そして妻のアルバムを取り出し、写真が残すもの呼び起こすもいのについて考える。

 ほかにも、写真にまつわる、手作りアルバムや額、作品集から、そこのこめられた人々の思いをたずねる。

連載—–
歩くカメラ「界隈」写真・松原 豊
まちの四方山話 電線会議
四天王会館だより
ゆめのなかでぼくは=絵と文・つつみあれい
銘木店の本棚 奥山健太郎 …など。

A5判60P

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