画集」カテゴリーアーカイブ

Mayeul Vigouroux 「La Manticore ラ・マンティコール」

Mayeul Vigouroux 「La Manticore ラ・マンティコール」¥3273+tax

タイトルのManticoreとは、ライオンの胴と人の顔と蠍の尾をもつ伝説上の人喰い怪物。

暴君である女王ユスラの出産に立ち会った夫グフランは、妻のミソジニーを怖れ、とりあげられたばかりの女児を見るや「立派な男の子だ!」と妻を労い、すぐさま兄弟のもとに子供を送り出し、男子として養育させる。シャミルと名付けられたその子は、叔父のもとで大事に育てられ、礼儀作法から学問、戦術などの教養を身につけてゆくが、衣服の下に隠されたもう1つの自分のアイデンティティに苦悩するようになる。

成長して、母を訪ねたシャミルは、突然、許嫁がいる同盟国の王女ジョティとの政略結婚を言い渡され、国を出るものの、破いた衣服に自身の血を塗り、Manticoreに襲われて亡くなったことにして、姿を消して漂泊の旅に出た。
行き着いた町の公衆浴場で、居合わせた女性に、男性でもあり女性でもある自身の苦悩を告白し、ケアを受けたシャミルは、風の噂で自分が去った後、母が病にたおれ、国が乱れ、ジョティも姿を消したことを知り、彼女を探し出し、陰謀が渦巻く城へと乗り込む。

自身のアイデンティティや運命に苦悩する一方で、学びや癒しを得ながら、邪悪な力と闘い母と向き合い、自らの居場所を探すシャミルの様子を、架空の国を舞台に寓話のように描きます。シャミルの不安や苦悩やときとしてManticoreの姿になって登場します。

著者のMayeul Vigourouxは、ENSAD(国立高等装飾美術学校)に学び、神話や寓話、中世の装飾写本などに着想し、卒業制作のためにこの作品を制作。細部に施された様々な装飾模様の美しさや、絵巻物のように一つのコマに異なる時間のレイヤーが重ねて描かれているのが印象的です。
Atelier Quintalで多色リソ印刷されています。

34cm x 27 cm ミシン綴じ 48pages フランス語

宇野亞喜良画集 KALEIDOSCOPE

宇野亞喜良画集 KALEIDOSCOPE(グラフィック社) ¥4500+tax

2021年現在、88才の宇野亞喜良先生ご自身が選んだ「俳句」から着想を得て描いた新作ばかりの画集。

キャンバスに石膏を塗り、下地をつくってから描き重ねるという独自の手法を用い、2020年から2021年の約2年間で描き上げたた44の新作を収録。
大島依提亜のデザインで、コールドフォイル、蛍光色、色紙に白刷りなど印刷技巧を凝らして、グラフィックデザイナーでもあるアーティストの持ち味を遺憾無く発揮した豪華画集となっています。

タイトル通り、光や見る角度によって表情が変化したり輝く仕様になっています
初版特典として、ポストカード3葉が封入されています。

:::目次:::

蛇の衣/百合/風神/笑い猫/ラビリンス/龍の耳/花筏/ピアソラ/月光/大運河/雛罌粟/寒けれど/ふる池や/桃の邑/薔薇/オフェーリア/笛稽古/初蝶/亀鳴き/孔雀/襤褸市/蛞蝓/くちなは/松蝉/龍の落し子/柳の芽/象の皺/新月/雪をんな/金色の午後/枯山/仏法僧/遠き雷/夏色/西鶴/の雪女郎/夏帽/後の月/犀/恋/半長靴/薔薇盗人/秋の暮/蝸牛

俳句はいま 高橋睦郎
INDEX

A4変形 上製 56pshrd 函入り
2021.11.25

山川直人「『雲遊天下』表紙イラスト集 夜更かしの愉しみ」

山川直人「『雲遊天下』表紙イラスト集 夜更かしの愉しみ」¥1000+tax

雑誌『雲遊天下』(ビレッジプレス刊)の2010年のリニューアル創刊101号から、最終号となる2020年の131号までの表紙を飾った、山川直人のイラストを集めた作品集。

『雲遊天下』は、大阪のカルチャーシーンから生まれた情報誌『プレイガイドジャーナル』(通称プガジャ)の流れをくむ
カルチャー誌で、関西を中心とする70年代以降の表現者たちの記録や創作発表の場として1994年〜2007年まで発行されました。

その後、情報誌の編集者をしていた五十嵐洋之さんが、自身が培ったネットワークと旧『雲遊天下』の関係者をつなぎ、幅広い世代の執筆陣を擁した文化誌として、2010年にリニューアル。
復刊にあたり、山川直人さんが表紙絵に起用され、2021年1月に五十嵐氏が逝去する前に手掛けた最終131号まで毎号、イラストを描き続けました。

雑誌の顔ともいえる表紙を任せられて勇気をもらいながらも、山川さんにとって、五十嵐さんとの関係は編集者と漫画家というよりは、「フリーの仲間という感じの友達づきあい」であったといいます。

内容は、すべてのイラスト原画と雑誌書影、雑誌の目次ページに掲載された「表紙の言葉」を収録、雲遊天下のデザイン担当で、本書のデザインも手掛けた小沼宏之さんと山川さん自身の文章も掲載。
『雲遊天下』書影のカラー口絵付き。

山川直人イラスト集であると同時に、五十嵐さんとの仕事や雲遊天下の歴史を表紙で振り返る内容になっています。

A5判80pages カラー口絵2pages 初回入荷分サイン・イラスト入り

市場大介 Daisuke Ichiba「BADA Medicine」

市場大介 Daisuke Ichiba「BADA Medicine」(Le Dernier Cri)¥5364+tax

全編シルクスクリーン印刷の市場大介画集。

ここ数年の展示のために描いた作品が中心ですが、一度描いた作品を展示用に手を加えたり、展示後に顔を全面的に塗りつぶしたり描き加えたりしたものもあります。

墨、朱色、銀のインクを使って大判印刷しているほか、間にトレペのページに美人画シリーズを墨一色でプリントしていて、顔が何重かに重なっているのが今回の新たなデザイン部分。
原画に近いサイズでご覧いただけます。

30cm✗42cm 本文32pages トレペページ16pages 160部限定

塙将良 「たのしい怪獣図鑑」

塙将良 「たのしい怪獣図鑑」(トランスポップ)¥1000+tax

ライフワークとして、毎日、創作怪獣を描く塙将良。
作品は、不定期に発行される自主制作本「MONSTERS」に発表され、いまも増殖中。

こちらは、そんな怪獣を得意とするアーティストによる怪獣解剖図。
昭和の少年雑誌のような2色刷りで、不思議な怪獣とその中身を描写しています。

A5判28pages(表紙含む)
墨+蛍光ビンクor蛍光緑の2色刷りです。