写真集」カテゴリーアーカイブ

牧ヒデアキ 写真集「透明バリア」

牧ヒデアキ写真集「透明バリア」(makira)¥3000+tax

信号で停まった、運転中の車のサイドウィンドー越しに眺めた景色にいつもと違った感覚を覚えた著者は、以後、信号待ちの際に、フレームに切り取られた一期一会の風景に何らかの妙や偶然を感じれば写真と撮った。

窓枠に切り取られた景色の中に、入れ子のようにミラーがあり、その中にまた別角度の景色が映り、車というパーソナルな空間から透明なバリアを介して見る、近そうでいて触れることのできない世界。
2020年春から、コロナ禍で、パーテーションやビニールシートによるバリアと非接触を意識させられたとき、著者は2016年から19年にかけて撮りためたこれらの写真をまとめることを思いついたという。

表紙は、タイトルにちなんで、サイドウィンドー型に切り抜き、透明フィルムを嵌め込んでおり、本文もところどころ切り抜いたページ越しに画像を見る仕掛けがあります。

道端や空き地に打ち捨てられたように置かれ、水槽や物入れとして利用されている浴槽を集めた写真集「浴槽というモノリス」にも共通する、切り取りの妙がここでも発揮されています。

A5判並製86pages

木藤富士夫「おくじょう 2」

木藤富士夫「おくじょう 2」 ¥2500+tax

近年、姿を消しつつある全国各地の屋上遊園地やそこに集う人々の写真をおさめた写真集。
それぞれの写真に添えられた言葉にもユーモラと暖かみがあふれています。

親子連れ、カップル、休憩しにきた大人、アトラクションやそこに集まる人々と出演者やスタッフ、お天気の日、雪の日、夕暮れ時、夜…そして屋上遊園最後の日など、さまざまな屋上の表情を見ることができます。

撮影場所: イトーヨーカドー 上板橋店・近鉄百貨店 上本町店・福屋 八丁堀店・そごう 広島店・名古屋栄三越・松坂屋 上野店・京都タカシマヤ・大丸 下関店(シーモール )・丸広百貨店 川越店・ユニー 守山店・高島屋 大阪店・山交百貨店・長崎 浜屋・小田急百貨店 藤沢店・近鉄百貨店 阿倍野本店・鶴屋百貨店・阪神百貨店 梅田本店・西武百貨店 池袋本店・丸井 中野本店・東京タワー フットタウン・東急百貨店 東横店・阪急百貨店 大井食品館・そごう 八王子店・浅草松屋・荻窪タウンセブン・スズラン百貨店 高崎店・さいか屋 川崎店・小田急百貨店 町田店・京王百貨店 新宿店・東急プラザ蒲田・そごう 徳島店・長崎屋 溝の口店・大立百貨 高雄店・伊万里玉屋
34店舗

B5変型138pages オフセット無線綴じ

ミヤタケイコ「今日のアマビエ様画像」

ミヤタケイコ[今日のアマビエ様画像」¥1000+tax

2020年3月〜5月のステイホーム期間、仕事に集中できずにいた、ぬいぐるみアーティストミヤタケイコは、ネットにも出まわった古文書のアマビエ像の立体化を試み、ぬいぐるみを制作。
連日、そのアマビエ様を、自宅の庭やアトリエ、限られた外出先で撮影し、SNSに投稿しました。
「当時は作品制作が進まず、唯一アマビエを撮影する事だけがスッと出来たのです。
ちょっと祈りにも近い行動です」

その頃は、挨拶や応援、生存確認のように見えた画像が、写真集にまとまると、生活も町もすべて滞っていたようでいて、雪が降り、やがて陽射しが明るくなり、花が咲く季節の移り変わりがみてとれたり、乗客がいなかった電車など、あの時の景色がアマエビ様とともに甦ってきます。

15cm×15cm 36pages

緊急事態宣言下の夜の街を記録した写真集 小田駿一「Night Order」

小田駿一「Night Order」¥8000+tax

いつもは、商業カメラマンとして肖像の撮影を中心に活動している小田駿一の初写真集。

コロナウィルス蔓延による緊急事態宣言下、著者が都内に出てみると、昼間は都市機能や生活を維持するために、それでも人々が働いているのに対して、夜の飲屋街には人っ子一人おらず、その景色を目の当たりにして衝撃を受けます。

多くの人たちが、罰則があるわけでもないのに、生活の糧を犠牲にしてでも、未知のウィルスから命を守り、困難を乗り越えようとしている切実さを記録しようと、カメラマンとして立ち上がります。

ふだんなら人々で賑わう週末の夜の街に出向き、誰もいない路地や街灯だけがともる通りを撮影します。ただ閑散としたのとは違う、緊急事態宣言下のゴーストタウン的な凄みと、未来への希望を託しての街の灯りとで構成されています。

記録的・報道的な写真でもあること、未知のウィルスに人々が立ち向かった緊急事態での希望と警鐘の入り混じる現実を長く残すために、本という形を選び、大事に手元において眺めてもらえるよう、プロダクトとしても完成度の高いものを目指したのだそう。
表紙の銀箔および背のスケルトン加工に施した銀箔は手作業で剥がしたり削っており、基本デザインは同じですが、一冊ずつ加工が異なります。

A4判128pages 500部

著者・小田駿一氏自身が、この本への想いをnoteにまとめていますので、ご参照ください。>>>

背は透明樹脂が厚盛りされた上に銀箔を施し、一部表面を削って樹皮のように加工しています。

ニコラ・レテリエ「ポケットコーンzine」と「ポケットコーンカード」

ニコラ・レテリエ「ポケットコーンzine」¥2273+tax

グラフィックデザインを勉強すべく留学のため来日したフランス人、ニコラ・レテリエNicolas Letellierは、自国のソレとは大分様相が違う日本のコーンに注目し、出歩く先々でコーンを探しては撮影するコーンコレクターとなりました。

犬の小便や駐車を禁止するコーン、水漏れを警告したり、私有地を知らせるコーン。
あるいは、ガムテで補強しまくったり、バリバリに割れながらも仕事を続けるコーンは別格扱い。

やがて彼は、収集したコーンの画像を、自身のデザインで、日本で人気のカードゲームのフォーマットに落とし込み、コレクションカード形式の作品にしたり、ロゴを使ったTシャツを作ったり、zineを制作しました。

ニコラさんによると、こんなに色や模様のヴァリーションが豊富でメッセージを書いたり貼って標識のように活躍し様々な役割を担ったコーンは、とても日本らしいのだそうです。

カードには、それぞれの名称と、発見場所とコーンの役割やレア度などの説明がついており、ジンはそれを大判で収録しています。全36枚。

それぞれのコーンにつけられた日本語のタイトルが秀逸です。
行止まり表示のコーンが膠着エントリーコーンだったり、四角錐型のコーンがピラミッコーンだったり。

A4判76pages (解説は英語と日本語。コーンの説明は日本語とフランス語)

このプロジェクトの趣旨の説明を裏面に載せた全コーンのプリント、
ロゴのステッカー、
ロゴTシャツを着用したモデルの写真、
ランダムに抽出されたカード1枚つき
Japanese/English/French

満身創痍、疲れたコーンもニコラさんの目にはすばらしい個性にうつる

伝統的、あるいは伝統的風?なコーン

ガムテでガシガシに補強されたコーンはスペシャルカードで四分割表示になっています

ロゴTもモデルを変えて何パターンか撮影したものがランダムに封入されています。



「ポケットコーンカード」¥4545+tax

カードになったニコラさんにコーンコレクション。36枚セット