月別アーカイブ: 2016年12月

お芋を通して食だけでなく、イモヅル式に人が見えてくる「イモヅル」

足と頭と手と舌を使ったお芋取材で、“食”についてだけでなく、都市と地方の関係や、伝統と新しさについてまで掘り起こす「イモヅル」。ご覧の通り、地味な表紙ですが、消費者の立場だけでなく、生産者の声にも耳を傾け、流行に流されない芋と人のネットワークを広げています!!

イモヅル vol.1

イモヅル vol.1 ¥463+税

人と芋、人と本、人と人…サツモイモを通してイモヅル式に?つながる冊子。

見た目は地味だが、表紙は活版。
中身はというと「おいもさんのお店 らぽっぽ」などを全国展開する白ハト食品工業が手がける
体験型のテーマパーク「なめがたファーマーズヴィレッジ」や、サツマイモの普及に努めた蘭学者・青木昆陽のゆかりの地などを訪ね、聖地巡礼に終らず、地方と都市、温故知新な仕事の手法にまで言及する、お芋のようにほっこりししつつ、しっかり養分のある…冊子です。

もくじ
●一の蔓 であう
なめがたファーマーヴィレッジ
甘藷試作跡/甘藷先生墓
やきいも日和

●二の蔓 こしらえる
アレで、アレする
やく/ふかす/あげる/ほす/つぶす

●三の蔓 よむ
あの人が書いた、芋のはなし
赤瀬川原平、石牟礼道子、椎名誠、宮本常一、吉野せい

A5判16pages

イモヅル vol.1

イモヅル vol.2

イモヅル vol.2 ¥463+税

2号も足と舌を使った取材で、サツマイモのルーツを在来品種に辿る。

地域野菜や古代種ブームがある中で、在来種を辿ることでそれぞれの栄枯盛衰の理由や農業の
現在が見えてくる。品種改良で消費者の好みに合ったものが作られたり、味がよくても作付けの効率で栽培されなくなったり…、オリジナリティや伝統を守りながらお芋をおいしく作っていだくには
どうしたらよいのか?
後書きではサツマイモから作る蜜「あめんどろ」に触れ、在来種ならぬ在来甘味も紹介しています。

巻頭寄稿、芋食う一歳児の息子を見つめる新米パパの恋心にも近い?想いに、胸がいっぱいになります。

もくじ

●寄稿 「息子とサツマイモ」島田潤一郎

●特集 在来品種 いまむかし 紅赤/太白

●report 日本いも類研究会 第1回サツマイモ産業振興セミナー
「干し芋産業を考える!」

●ヨムイモ ー読む芋ー
獅子文六、柳田國男、佐野洋子、池澤夏樹、さくらももこ、斎藤昌三

A5判16pages

イモヅル vol.2

ゼイナ・アビラシェド「オリエンタル・ピアノ」 関口涼子・訳

オリエンタル・ピアノゼイナ・アビラシェド「オリエンタル・ピアノ」 関口涼子・訳(河出書房新社)¥2400+税

オリエンタル・ピアノ」の紙面は、音とデザイン化された絵にあふれている。
状況説明のテクストも登場人物たちのセリフもクツが鳴る音や鳥のさえずりも同じ字体で書かれて、オノマトペがペンや筆で書かれたマンガを見慣れた人には少しとっつきにくかもしれない。
しかし、それは50年代のペイルートに暮らす主人公の一人アブダッラーを取り巻く音の景色でもある。彼は自身の音楽を奏でるために(たとえばハリー・パーチのように)12平均律にない4半音を奏でるオリエンタル・ピアノを開発し、ウィーンに招かれ、ピアノの量産化に向けて普及活動に精を出す…。

一方、現代のパリ。幼い頃から祖父にフランス語を仕込まれ、アラビア語と2つの言葉の中で育った若い女性が、ベイルートからのこの町に移住し、両国を往復しながら、やがてフランスに帰化するうちに、フランス語に不在の言葉に気付いたり、アラビア語にないニュアンスを体感したりして、二つの言葉は編み物のように絡み合いながら、このもう一人の主人公の中で、豊かな表現を織りなしてゆく。

曾祖父と曾孫娘の物語が交錯するなかで、(曾祖父と親友の性格が正反対なら、その親友は双子の片割れであり…、
時代は変れど曾祖父も曾孫娘も東洋と西洋の間で自らの音楽or言葉を奏で…と)様々な要素がデュアルかつ精密に描かれてゆく。

言語や文化を、自身の記憶や体に取り込み、再び紡ぎだすことで自身の物語=人生を歩んでゆく様は、誰もが自分のオリエンタル・ピアノを発明し、奏でる行為であるかのように。

B5判212pages

オリエンタル・ピアノ

意気揚々としたアブダッラーの気持ちはトビウオの音符で表現され。

オリエンタル・ピアノ

フランス語とアラビア語は、彼女の中で編み物のようにひとつに織り込まれてゆく…

オリエンタル・ピアノ

コロナブックス「諸星大二郎の世界」

諸星大二郎の世界

コロナブックス「諸星大二郎の世界」(平凡社)¥¥1600+税

1970年のデビュー以来、半世紀にわたり300以上の作品を生み出してきた漫画家・諸星大二郎のカラーイラスト、原画を下描きの線やネームの切り貼りなどのリタッチなしに収録し、作品を辿りながら読みすすむガイド&研究本。
画業の変遷を追いながら、考古学者や民俗学者、中国文学者、文化人類学者、文芸評論家などスペシャリストたちによる研究序説を付し、作家自身の幼少時代を辿る旅や書斎と蔵書などから作家の深層にアプローチします。

原画ギャラリー、自らのルーツを辿る東京・足立区本木町の旅、書き下ろしエッセイ、書斎と本棚の大解剖(メイン書棚に入った蔵書をすべてリスト化!)、漫画家・山岸凉子との初対談、諸星大二郎に聞く95の質問、人物年表、主要作品解説、全作品データほか。

◆目次

諸星研究序説
古代[評論]松木武彦
民俗[評論]畑中章宏
東洋[評論]福嶋亮大
南方[評論]都留泰作
西洋[評論]東雅夫
日常[評論]東雅夫

諸星少年のいた街で。
[エッセイ]諸星大二郎 本木町を訪ねて

諸星大二郎の本棚 モロホシワールドを生み出す小宇宙へ――。
[対談]山岸凉子×諸星大二郎

諸星大二郎に聞く95の質問
略年譜
諸星大二郎主要作品解説

[選・文]斎藤宣彦

諸星大二郎全335作品初出誌&単行本データ

B5判変型 144pages

諸星大二郎の世界 諸星大二郎の世界

あまみのラブホ探訪 vol.3 インタビュー 終末トラベラー× hotel アイネ

あまみのラブホ探訪 vol.3 インタビュー 終末トラベラー× hotel アイ

あまみのラブホ探訪 vol.3 インタビュー 終末トラベラー× hotel アイネ ¥600+税

終末トラベラーことあまみによる、昭和遺産ラブホテルを記録する同人誌。
法律や条例、経営難、高齢化などの要因が重なり絶滅の瀕するラブホが現存するうちに記録すべく奮闘する筆者が、その活動が縁で、思い入れ深いhotelアイネのオーナーやスタッフへのインタビューが実現。

ホテルの歴史や今昔、日常業務、メンテナンスについて、風営法で敷地外に看板が出せなくなってからの工夫やら、アイネならではの凝った内装について、今後の生き残りを賭けた展開などを伺う。
温泉をひたり、テレビ画面も大きくしたり、カラオケ+照明を充実させたりエンターテイメント要素をふんだんに盛り込むアイネのサービス精神。鏡の間の鏡をいつもピカピカにしておくだけでも、たいへんなのだそう…。

ゴージャスな鏡の間、万華鏡のような室内で回転するベッド、ビーナスが誕生しそうな貝殻を模したお風呂などなど、それぞれ異なる意匠のお部屋の写真もたくさん収録されています。

A5判30pages オールカラー

アパレルレーベルと純喫茶とアートのコラボジン aosansyoの本「純喫茶アパレル」編

aosansyoの本

aosansyoの本「純喫茶アパレル」編(ドグマ出版)¥463+税

2011年にスタートした、衣服や布雑貨のレーベル「aosansyo」は、「生活に新鮮なスパイスを与える」をスローガンに、年2回、テーマを決めてコレクションを発表している。デザイナー自らがプリントするシルクスクリーンをほどこしたアイテムの展開や、毎回の意匠がユニーク。

この冊子は、純喫茶をテーマにしたコレクションを純喫茶の魅力とともに伝えるもの。
箔を使ったシルクスクリーンの特殊印刷のカトラリーが光るシャツやワンピースとそのメイキング、架空の「純喫茶アパレル」のアイテムのイラストをプリントしたTシャツ、パフェやクリームソーダ、トースト、オムライスなど喫茶店メニューのイラストがちりばめられたカーディガンetc.
コースターやロゴハンカチなどのオリジナルグッズや、その制作舞台裏が公開されています。

あけたらしろめのイラスト、香山哲の喫茶店漫画、八画文化会館による旅客機をモデルにした喫茶店ルポから、架空のメニューの図解、川端星仕の青写真、大福書林の瀧亮子による純喫茶のインテリア解説、喫茶店漫画レビュー(山川直人/一杯の珈琲から)などの読み物も収録されています。

アパレル×喫茶×漫画×建築×終末観光etcのミックスとなっています。

A5判52pages