日別アーカイブ: 2016 年 12 月 22 日

アパレルレーベルと純喫茶とアートのコラボジン aosansyoの本「純喫茶アパレル」編

aosansyoの本

aosansyoの本「純喫茶アパレル」編(ドグマ出版)¥463+税

2011年にスタートした、衣服や布雑貨のレーベル「aosansyo」は、「生活に新鮮なスパイスを与える」をスローガンに、年2回、テーマを決めてコレクションを発表している。デザイナー自らがプリントするシルクスクリーンをほどこしたアイテムの展開や、毎回の意匠がユニーク。

この冊子は、純喫茶をテーマにしたコレクションを純喫茶の魅力とともに伝えるもの。
箔を使ったシルクスクリーンの特殊印刷のカトラリーが光るシャツやワンピースとそのメイキング、架空の「純喫茶アパレル」のアイテムのイラストをプリントしたTシャツ、パフェやクリームソーダ、トースト、オムライスなど喫茶店メニューのイラストがちりばめられたカーディガンetc.
コースターやロゴハンカチなどのオリジナルグッズや、その制作舞台裏が公開されています。

あけたらしろめのイラスト、香山哲の喫茶店漫画、八画文化会館による旅客機をモデルにした喫茶店ルポから、架空のメニューの図解、川端星仕の青写真、大福書林の瀧亮子による純喫茶のインテリア解説、喫茶店漫画レビュー(山川直人/一杯の珈琲から)などの読み物も収録されています。

アパレル×喫茶×漫画×建築×終末観光etcのミックスとなっています。

A5判52pages

アレクサンダー・ゾグラフ作 ハル吉訳「爆撃地セルビアからの手紙」

アレクサンダー・ゾグラフ「爆撃地セルビアからの手紙」

アレクサンダー・ゾグラフ作 ハル吉訳「爆撃地セルビアからの手紙」(峠の地蔵出版)¥1400+税

かつてバルカン半島にあったユーゴスラビアは90年代に入ると、スロベニア、マケドニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ…と、各地域が紛争を経て次々に独立。そこからあぶれたセルビア人がコソボに移住したことから、アルバニア住民の反発を招き、98年に、過激派のコソボ解放軍とユーゴスラビアおよびセルビア軍が対立し、コソボの自治回復を支援するNATOの介入を招き、セルビアは空爆にさらされた。

本作は、1999年のNATOによるセルビア空爆中に、漫画家ゾグラフが、友人の漫画家クリス・ウェア(『ジミー・コリガン』が有名)に、当事者としての週刊漫画を描いてはどうかと勧められ、爆撃のさなかに海外の雑誌やウェブサイトに掲載された1ページ完結漫画集。

爆撃の危険の中、限られた情報の中で、漫画家は事態を冷静に見詰める一方で、「僕はただ漫画を描きたいだけなんだ。悪夢から目覚めさせてくれ」と訴えたり、アイロニーたっぷりに爆弾の種類を描き分けたり、停電中に自分の内なる声に耳を傾けたり、はたまた友人のロバート・クラムが夢に出てきたり…。

爆撃への恐怖と不安はたまた、紛争に対する無力感だけでなく、創作や漫画への想い、日々の暮らし、などが、プロパガンダや圧力の下にもかかわらず驚くほど冷静かつリアルに描かれた、著者の代表作で、何カ国語にも翻訳されたもの。特徴的なタッチも、読みすすむにつれて、クセになってきます。

今回、本書の訳者で発行人のハル吉が、国際的に活躍するセルビアを代表する漫画家のひとりであるゾグラフにダメもと?で出版の企画を申し込んだところ快諾され、原書にはない、セルビア地図や脚注、インタビューも付して出版の運びとなった。
巻末インタビューでは、自作のみならず、セルビアの漫画シーンについても言及しています。

A5判120pages

爆撃地セルビアからの手紙