関根美有「いままでのまりちゃん」(エベレストライブラリ)¥571+税
「ママール・フ・モモール、なりに」や「ずばぬけたバラ」などのジンがタコシェでも人気で、アックス新人賞佳作を受賞した関根美有さんの最新作品集が届きました。
自主制作したコピー誌「まりちゃん」(2010刊)、「もっとまりちゃん」(2011刊)、「やっとまりちゃん」(2012刊)をまとめて、おまけマンガと解説をつけたものです。
公務員のまりちゃんは、いつでもどこでも、どうでもいいようなことに考えを巡らす、空想世界と現実を行き来するような女の子。
それは小さい頃に、お母さんがお父さんと別れて家を出ていってしまったり、学生時代に勉強熱心でなくバンドでドラムなどやっていたことと関係あるのかもしれないし、あまり関係ないのかもしれない。
とにかく、まりちゃんは、ごはんを作ったり、日常の音を拾い集めながら、街や職場で誰かを観察したり、本を探したり読みながら、突然、空想の世界や過去や未来に飛んで、解決というゴールを目指すでない考えを巡らせます。
そんなまりちゃんに通じる、エベレストライブラリによる解説の文章もまた魅了的。
(まりちゃんがドラム担当だったことから)「ドラマーはバンドの背中を見守る観察者である。
観察者は考察者となる」など、その視点は日常のリズムをしっかり刻みながら、観察、考察する作者にも重なります。読者はまりちゃんや関根さんの思考を辿りながら、気持ちよく日常を逸脱して再び日常にソフトランディングすることができるのです。
※最初の説明の際に、解説文を作家によるものとしておりましたが、編集・制作を担当するエベレストライブラリスタッフブロガーさんによるもものです。お詫びして訂正いたします。
A5版104pages
「Prologue-Gymenopédie-」でも関根さんの作品がご覧になれます。