月別アーカイブ: 2019年8月

山田勇男 6年ぶりの新作漫画「白い夢」

山田勇男「白い夢」(虹霓社)¥1500+tax

ヨーロッパを拠点に、8ミリフィルムにこだわり続ける稀有な映像作家・山田勇男氏の新たな幻想譚『白い夢』が、ドイツより到着。

挿絵、書き文字(ヤマヴィカフォント)、映像と既存の枠に収まりきらない多彩な活動を続ける山田勇男氏の新作は漫画。

漫画としては、2013年に発表された「午前三時に蝋燭の火が蒼ざめる」以来、6年ぶりの新作となります。
孤独を抱え、夜の闇に溶けるように一人彷徨う男を描いた詩画集のような漫画。手描きの原稿のままに、ベタの色ムラまでそのままに印刷されています。

作品を描くきっかけは—
つげ義春さんとご一緒したある席でのこと。「社会人の仲間入りをした二十歳を過ぎたあたりに、此の世に生きていくのがつらく、函館にあるトラピスト男子修道院に入って、俗世間を離れ、沈黙と祈りの生活に憧れた話しをさせてもらったところ、つげさんも中学生の頃、家に居るのがつらく、いつも通る高い塀のその向うに修道院があり、そこで暮していたかった話をしてくれた」
「その時の話のくだりで突然私は、修道院をモチーフに漫画を描きます、と、つげさんの前で勝手に宣言してしまった」(あとがきより)

A4判 20pages 糸ミシン綴り 初版100部
寺村摩耶子さんによる書き下ろしエッセイ「闇の発明」を印刷した特製カード(裏は本書の一場面)を封入
(特製カードはなくなりましたら終了となります)

ヴァージニア・ウルフをみんなで読む文芸同人誌「かわいいウルフ」

文芸同人誌「かわいいウルフ」¥1800+tax

難解な文体を持つモダニスト
フェミニズムの先駆者
レズビアン
自殺を遂げた非業の作家

そんなイメージを持つ作家ヴァージニア・ウルを読み進むにつれ、シリアスな中にも、かわいさ━━ユーモアや残酷さ、乙女な心や、生を追究する明るさ━━を発見した編・著者 小澤みゆきが多くの人とウルフを読むことで、そのかわいさと魅力をわかちあうために発行した文芸誌。

作家や作品の紹介にはじまり、作品毎の頻出語の分析と視覚化、ウルフの翻訳家・片山亜紀のエッセイ、同じく翻訳家・西崎憲インタビュー、『灯台へ』のディナーに登場するメーンディッシュ「牛肉の赤ワイン煮込み」を作品(とgoogle)を手がかりに再現するお料理コーナーまであるかわいい内容。

エッセイ、インタビュー、テキスト分析、音楽、料理、創作、翻訳、まんが、イラスト、20人以上の寄稿者の感想文と様々なアプローチでウルフを味わいます。

内容情報
まんが:Who is Virginia Woolf?
解説:ウルフ長編作品への招待
分析レポート:形態素解析でみるヴァージニア・ウルフの文章
『ダロウェイ夫人』の音楽たち〜万霊節の調べ〜 翻訳家 片山亜紀氏 寄稿エッセイ
わがままの中にある普遍性〜西崎憲インタビュー〜 翻訳家 西崎憲氏 インタビュー
創作:『滾り(たぎり)の瞬間 moments of boiling』
調理レポート:『灯台へ』の料理を作ってみた
翻訳:『Kew Gardens キュー・ガーデン』
特集①感想企画:ウルフのティーパーティー 寄稿者21名によるウルフ作品の感想文
特集②鑑賞企画:オルランド・ア・ラ・モード
小説『Orlando』の映像および舞台化の5作品のレビュー
翻訳:『夫・レナードへの最期の手紙』

B5判160pages(カラーページあり)

佐賀の商店街を記録したZINE 東 成実「呉服元町商店街」

東 成実「呉服元町商店街」 ¥1500+tax

著者は佐賀市在住のWebデザイナー。
かつて佐賀市四大マーケットと呼ばれたバラック商店街の中で唯一、現存する呉服元町商店街『中央マーケット』に惹かれ、その景観を記録しようと、フィルムカメラ片手に、商店街の一軒一軒のお店を取材して、その成り立ちやこだわり、続けてこられた理由などをまとめました。

丁寧にききとったお店の話は、それぞれ素朴で、たとえばーーー
退職して夫婦ではじめたカフェ、学生たちの食卓として連日開店する定食屋、「ぼけ防止」と言いながら作業を続ける餃子屋etc.という具合ですが、並べてみると、平成から令和にかけての商店街の姿が浮かびあがってくるよう。
また、年季の入ったメニュー、飲食店でみんなに読まれた漫画本棚、店主の趣味を反映して店内に貼られた写真、雑多な備品が無造作に収まった店の奥など、著者が切り取った風景もすべて商店街らしく懐かしい。

A5判82pages

さくらいみか「旅に出たくな〜る しまね’19」

さくらいみか「旅に出たくな〜る しまね’19」¥650+tax

島根生まれ、デイリーポータルZ等のライターをしたり、趣味の少女雑誌収集が高じて『りぼん』の同人誌を発行したり、編み物作品を作るさくらいみかさんによる島根(+鳥取西部)ガイド。
島根を案内するのは、著者手編みの人形キャラです。

表紙に「どうでもいい情報満載」とある通り、通常のガイドブックにはない情報、島根県人の本音やピンポイント情報が気前よく放出されています。

冒頭「島根ってどこ?」では、他県民に「砂丘あるところですよね」と言われがち、とその地味さを自覚して、鳥取との位置関係を説明して、地図上の位置確認からスタート。あわせて、マップに松江城と城下の言い伝えを盛り込むなど豆知識を授け、他の地域からのアクセス情報も丁寧に説明しています。

ほかにも、東京23区920万人に羽田空港ひとつ、対して人口124万の山陰に空港5つ問題からの空港使いこなし術。山陰にしかないチェーン店の酒屋「酒ゴリラ」の看板のゴリラが店ごとに微妙に異なること、島根でしか買えないパンやお菓子、はるさめ入り茶碗蒸しなどのローカルフード紹介etc.とエピソード満載。

多くは、著者が長年当たり前に思っていたけれど、島根を出てはじめて全国的には普通じゃないことに気付いた、ご当地ものたち。

いくつかの観光コースもご提案。現在のmapでなく80〜90年のmapもあったり、地元目線の貴重な島根が体験できます。

A5判46pages

八画文化会館叢書vol.11 けんちん『ゲタバキ団地観覧会』

八画文化会館叢書vol.11 けんちん「ゲタバキ団地観覧会」(八画編集部)¥1000+tax

ゲタバキ団地とはーー
昭和30年代、1階に商店や事務所、上層階に住宅が入った建物をゲタバキ住宅と呼んだことから、著者のけんちん氏は同時代に建てられた公団や公営住宅の総称として「ゲタバキ団地」を採用。

覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、著者は電気風呂愛好家として、この八画文化会館叢書シリーズのvol.9で200軒の電気風呂を案内していますが、同時に団地が好きすぎて、自身も団地に住み、200人以上の団地引っ越しをサポートしてきた団地ソムリエでもあります。

そんな氏が関西圏を中心に2005年から2019年にかけて撮影したゲタバキ団地の写真とともに、その魅力を伝えます。
一階の商店の看板、エントランスのタイル、屋上の遊具、地形にあわせた壁面デザインなど、ディテールまで、個々の物件の注目ポイントを紹介しています。

街中に多くあるゲタバキ団地。これを知ったら、まち歩きがこれまでよりちょっと楽しくなるかも!?です。

A5判 横綴じ 32pages オールカラー