日別アーカイブ: 2011 年 11 月 24 日

飯沢耕太郎「石都奇譚集 ストーンタウン・ストーリーズ」と「石都詩篇集」

石都詩篇集

『石都奇譚集 ストーンタウン・ストーリーズ』の刊行一周年を記念して、飯沢耕太郎さんの詩とドローイングのペーパー『石都詩篇集』がサウダージブックスさんで作られました。

編集した淺野卓夫さんは、震災後の落ち着かない日々の中、「石都奇譚集」を何度となく読み返したそう。飯沢さんとともに、石の都ザンジバルを旅した彼は、雨期には大洪水で電気や物資が不足する島で、夜の闇に死者の影が徘徊する幻想を抱く一方で、人々が人生を謳歌する姿にも触れ、“寂さびしさに裏打ちされた幸福”を感じたそう。そこで、宮城出身で、実家が被災し、その後『アフターマスー被災後の写真』を刊行した飯沢さんに、「ザンジバルから被災後の日本へ」のテーマで詩を依頼し、このペーパーを作ったそうです(デザイン原田潤)。

「石都奇譚集」をお求めのお客様にこのペーパーを差し上げます。

石都奇譚

飯沢耕太郎「石都奇譚集 ストーンタウン・ストーリーズ」(サウダージブックス/港の人)¥1680

写真評論家・飯沢耕太郎による、東アフリカ・タンザニアから沖合30Kmほど離れたインド洋に浮かぶ隆起珊瑚の島ザンジバルに滞在した2008年4月半ばから6月末までの幻想的なアフリカ紀行。

石造りの旧市街(ストーンタウン)をさまよう著者が、現実と幻想が交差するスタイルで描くショート・ストーリーズ。
「今日のストーンタウンは読めない文字で書かれた手紙である。だが明日になれば、小径と建物の不規則な連なり、まるで暗号のようなそのカリグラフィは、くっきりした意味を備えた文章として,私の目の前にあらわれるはずだ」とあるように、読めない文字を読むような眼差しで、道行く猫たち、女たちが身にまとう衣装ブイブイ、そして、ときに死者たち…を眺め記してゆく。
著者による写真もテクストの間、間に挿入されています。

●目次 石都奇譚集のための道標

三角形 Triangle / 猫男 Catman / ブイブイ Buibui / 隠れんぼ Hide and Seek / ウフングオ Ufunguo / 記号 The Sign / 夜の蛸 Octopus at Night / 大雨季 Mashika / 兄弟 My Brother / 二つ頭 Two Heads / 野兎と胃袋 The Hare and the Stomach / 烏革命党 The Crows Revolutionary Party / 作業 The Work / モンキー・ツアー Monkey Tour / 世界の臍 The Navel of the World / ウフングオ2 Ufunguo 2 / 大停電 Blackout / 樹霊 Tree Spirits / 泣く女 Crying Woman / 死者たち The Dead / 静かな夜  Silent Night /クワヘリ Kwa Heri / キンコ・カッシーノ Kinko Cassino / あとがき

四六判変型 160P サウダージブックス/港の人

Berlin! Berlin!! Berlin!!! (2)

berlin photo guide

Berlin photo guideの冒頭で、著者の成田圭祐さんは、書いている。

「再開発が急速に進むベルリンでは、ショッピング・モールや無表情なビルが、街の空き地や隙間を着々と埋めつつある。観光ガイド本に従って歩くベルリンはますます退屈になったが、そのような街の表面の下や裏では相変わらず、「もうひとつのベルリン」が息づいている。

「もうひとつのベルリン」と言ってもそこは、様々な層が折り重なっているから、そこに足を踏み入れた人の関心や趣向にしたがって、無数に枝分かれしていくし、いつの間にかベルリンからはみ出して広がっていきもする。だから、このジンで紹介できているのは、僕の関心に沿った、「もうひとつのベルリン」のほんの一部に過ぎない、というのは、当たり前のことだけど大事なことなので、いちおう念のため書いておく。

実際にこのジンを携えてベルリンに行く人がいたらうれしいし、このジンによって、少しでも「ベルリン」が、あなたの中で魅力的に響くようになったら、それもまたうれしい。」

肝心のジンを携えるのは忘れてしまったのだけど、ベルリンの街を歩くと、いまも建物の全面を使った壁画を見ることができるし、激しく重ねばりしたポスターたちにインターネット時代といえ紙と印刷の威力を感じたり、あやしい雰囲気にひかれて迷い込んでみるとヒッピー村みたいなスクウォットみたいなスペースにも入るこめる…。

この街で、シルクスクリーンを使っての出版活動をしているイタリア人フランチェスコさんによると、「市の管理でスクウォットも減ったし、アーティストたちが入りこんでた場所の中には公的アートスペースになった所もあって、様変わりした」のだそう。

市内には素人レベルからプロまで様々なレベルのアート活動を支える公的施設があったり、倉庫やかつてのプールなどのスペースを使った版画制作のデモンストレーションや展示イベントも行われて表現活動が行われている模様。(くわしくは次回)

berlin photo guide

Berlin Photo Guideは、自主管理のカフェ・バーやスペース、スクウォット、グラフィティおよびストリート・アートなどを写した24枚の写真を糸口にしながら、観光ガイド本には載らないベルリンのオルタナティブなスポットや情報を紹介していくジン。

成田圭祐/遊動社/A判モノクロ28P

たこぶえ 3号

たこぶえ3号 表紙

たこぶえ 3号 ¥600

主にコミティアなどの即売会で活動中の漫画同人サークル「たこぶえ」。
構成メンバーはアマチュアから漫画家のタマゴそしてプロまでと流動的。

コンテンツは—-
「コケムシ」龍望
「他人の話」窓ハルカ
「よあけ」黒井大黒
「イン ランド」イシデ電
「ポスト世界が変った日」大野冷
「知らないおじさん」山本崇一朗
「ネバーランドへGOGO」永美太郎
「まめ太」七重彩
「国道さん」笠辺哲

表紙のイラストとタイトルはエキポシ加工、ミシン綴じで、本文の紙の色、インクの色も様々の楽しいデザイン。
B5判68P

ところで「たこぶえ」って、どういう意味かな?と、調べてみると、アメリカの有名なねずみに似た幻のキャラクターが…。ますます、不思議な誌名ですね。

たこぶえ3号