月別アーカイブ: 2009年12月

石川次郎「PARADOGS」

paradogs

石川次郎「PARADOGS」 ¥380

 漫画家・石川次郎さんの一人ユニット”ペーパーエイト”が発行する、お手製コミック本(コピー、ホチキスどめ)。
 2009年は、次郎さんはパリと東京での展示、自費出版本の発行や傑作漫画選『GIRO』の発行と復活の年でしたが、それをしめくくるエンターテイメント性の高い作品がこのPARADOGSです。
 実生活でも犬のかわいらしさに癒されている次郎さんは、最近、イラストに漫画にと犬をよく描いていますが、今回、犬との交流は種や言葉を超えてサイケデリックなまでに深まります! 犬と感覚を共有するアーティストJIROOOOO!

 物語は、次郎さんの日常を連想させる仕事にあけくれる中年男と愛犬の生活は、いつしか、留守宅に残り飼い主の愛とごちそうに飢える愛犬が夢見る人間にとってかわる妄想や欲望と融合して、ドラッギーかつコミカルな様相を呈してゆきます。
 ハガキ大の小さな本ですが、コンピュータを使わない総手作業でもって、細部まで描きこまれているので、密度と満腹感は十分!
A6判36P

アナキズム文献カレンダー2010 大逆事件100年

TAIGYAKU100

アナキズム文献カレンダー2010 大逆事件100年 ¥1200

 2010年の大逆事件100年をテーマに、関連資料の図版を収録したカレンダー。

 い わゆる「幸徳事件」と言われる大逆事件に連座した幸徳秋水、管野須賀子、内山愚童ら、また海外からの連帯の声のほか、大逆事件以前の初期社会主義運動の展 開。また、幸徳事件のほかに大逆罪による死刑判決を受けた「難波大助」「朴烈・金子文子」「李奉昌」や戦後の反天皇制運動なども紹介。近藤文庫提供による 貴重な図版の数々。カレンダー部分には関係年表、巻末には各月の解説英文付き。

1月−幸徳秋水
2月−管野須賀子
3月−内山愚童
4月−大逆帖/大逆事件被害者への国際救援運動
5月−平民社・初期社会主義運動の拠点
6月−社会主義者最初の示威運動(電車事件)
7月−日刊「平民新聞」筆禍事件
8月−平民大学夏季講習会
9月−足尾鉱毒事件と社会主義者たち
10月−大逆事件を明らかにする戦後の取り組み
11月−幸徳事件以降の大逆罪犠牲者
12月−戦後反天皇制運動

LPジャケットサイズ 28P

アラザル vol.03

ARAZARU3

アラザル vol.03  ¥1000

  佐々木敦が主宰するインディペンデント・スクールBRAINZの批評家養成ギブス受講者を中心として作られた批評誌「アラザル」。当初の卒業制作的な雰囲気を脱して、エンターテイメント性を備えた、400P超の読み応えある文芸誌となってきました。年末年始、どちらかというと寝正月というご予定の方に、おすすめしたいです。

内容は—-
●一柳慧インタビュー:現代音楽の最重要人物・一柳慧の歩みとその音楽の思想を、6時間43,000字強の超ロング・インタビューで辿る。

●佐々木敦インタビュー:『ニッポンの思想』(講談社現代新書)を上梓した佐々木敦に、この本に関する質疑応答をしつつ、2010年刊行予定の『未知との遭遇』へ至る思考、そしてオルタナティブな批評のあり方などをインタビュー。

★論考11本
-「起筆と意味」
-山下望 「彼岸過ぎまでのラップ SEEDAのヘルズ・キッチンと、天国の門」
-dhmo 「☆★☆may fXXkin’ fXXkin’ fXXkin’ die☆★☆」
-畑中宇惟 「『放浪記』を語る前に考えること」 
-杉森大輔 「大友良英、その演奏と聴取の諸相」
-山本浩生 「独白in批評 〜『1Q84』≠鴻池神話・<種明かし>からの省察〜」
-「装いについてのノート」
-西田博至 「一柳慧のいる透視図 −−ニッポンの批評へ」(連載第2回)
-阪根正行 「現代小説解読講義:柴崎友香『その街の今は』」
-西中賢治 「我々の密室犯罪における一つまたは二つの考察」
-黒川直樹 「閨房の手ぐし〜杉浦日向子の百物語をよむ〜」

●分解批評〜映画『サマーウォーズ』/舞台『生きてるものはいないのか』『生きてるものか』

●スカイプdeディベート批評:1つのテーマに沿って批判・肯定派が論戦する「ディベート」をスカイプ上でトライ。テーマはソフィア・コッポラから三島由紀夫や性愛問題まで。

●NRK〜日本語ラップ研究所:いとうせいこうから最新のアンダーグラウンド・ヒップホップまで、執筆陣がオールナイトで語りつくしたドキュメント。

B6判440P

昭和プロレスマガジン19「昭和55年レスリングウォー前夜」

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昭和プロレスマガジン19「昭和55年レスリングウォー前夜」  ¥1000

 昭和55年の新日本プロレスと全日本プロレスの特集。プロレス界では、これといった大事件もなく、新日本プロレスの全日本プロレス化、外人バブル…と、新日本プロレスが勢いをつけ独走態勢に入る礎を築いた1年間にスポットをあてています。

Part1 存とミックの人間発言所
Part2 昭和55年ヒストリー 前編:16号に引き続き、昭和55年の一年間を新日本プロレスと全日本プロレスの関係を中心に検証。前年の「夢のオールスター戦」で提携もありかと思われた日本のプロレス界だったが、提携は実現せず、翌年には外人レスラーの引き抜き合戦…「レスリングウォー」へと発展してゆく
Part3 ねひつじのビデオ観戦記:NWA世界ヘビー級選手権「ジャイアント馬場VSハーリー・レイス」昭和55寝ン9月10日大津
Part4 昭和55年ヒストリー 後編:年末のタッグリーグ戦は全日本プロレスの看板番組であったが、この年から新日本プロレスも「MSGタッグ・リーグ戦」を新設し、全日本プロレスに興行戦争を挑む。そして猪木はNWAから脱退、世界統一構想を口にする。
Part5 新日本プロレス・シリーズの歴史 昭和55年
Part6 全日本プロレス・シリーズの歴史 昭和55年
資料 「ワールド・プロレスリング」放送記録 昭和55年

■連載■
海外ジャーナル 昭和55年編
昭和プロレス秘蔵コレクション・追加情報
昭和プロレス紳士録 TAKA.BOM.BA.YE氏

B5判106P
 

tolta 04

tolta4

tolta 04  ¥1000

 イタリア語のお菓子を意味するトルタ。詩を中心とした文芸同人誌ですが、お菓子の名前の通り、毎回、いろいろな素材をあわせて、色や形を変えて、毎回楽しい趣向を凝らしています。

 今回の特集は—
「14歳のための現代詩」

エッセイや詩■ゲスト執筆者(敬称略) 
北川透、瀬尾育生、福間健二、広瀬大志、 
杉本徹、田中宏輔、小峰慎也、安川奈緒、藤原安紀子、 
最果タヒ、文月悠光 

インタビュー■ 
藤原安紀子「言葉が勝手に動き出すように そそのかしたり、交通整理をするという 役目について」(聞き手:佐次田哲) 
小笠原鳥類「生き物のように 動きが発生するように 書くというのことについて」(聞き手:佐次田哲) 
佐々木敦(HEADZ)「何だかわからないものが 最高に好きで 現代詩は今すごく面白いということについて」(聞き手:河野聡子) 

詩■トルタ 
山田亮太 
河野聡子 

巻末■14歳年表、トルタかるた、年々カルタ(内田雉郎) 

イラスト■カワムライクヨ 
装丁■河野聡子 

 冊子状の本文をサンドウィッチにするように、表紙と裏表紙から屏風折に畳んだ目次や十四才年表(全長約4メートル)が展開されます。
 造本の仕上げは手作業でクラフト感がナイスです。

本体部分 148×148 136P

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