花輪和一「刑務所の前 3」 ¥1100
作者が自身のムショ体験を描いた「刑務所の中」に先立つ、下獄にいたるまでを描いた異色告白マンガ「刑務所の前」。といっても単なる実録マンガではなく、拳銃の不法所持で捕まった、ソノ実銃コルト・ガバメント修復の詳細な記録と、遥か昔–花輪作品からイメージされるあの中世!–の鍛冶屋の少女の物語と緻密かつ奔放な獄中手記が縦横無尽に同時進行で描かれてゆきます。
2巻目から約2年のときを経て、ようやく完結編3巻が出ました!
漫画を描き作品を送り出してきたその机上で着々と改造されてゆく拳銃、そしてひたひたと忍び寄る捜査の手! ついにやってきたガサ入れ&御用。おやじ少女”花子”ちゃんの姿を借りて描かれる銃マニアの喜怒哀楽に中世の少女の因果なお話が交錯。少女とオヤジ、中世と現在、火縄銃を扱う鍛冶屋の女の子の物語と漫画家の犯罪とが等価に描かれるミラクルワールド!
わざわざカラーで描かれた拘留中メモスケッチと描きおろし漫画「仮釈放」も加わり、祖父江慎さんによる金箔おしカバー&表紙のエンボス不動明王+タイトルの加工・表2/4のメタル感etcといったゴージャスなアートワークとあいまって圧巻です。
日別アーカイブ: 2007 年 12 月 9 日
本秀康さんの本、出ています–ワイルド・マウンテンvol.5 & レコスケくん
本秀康 「ワイルド マウンテン vol.5」¥630
隕石の落下によって中野区に隆起してできたワイルドマウンテン町。当時、地球防衛軍の隊長でありながら実は自らの不注意でこれを阻止できなかった菅菅彦は、この町の町長となり町の発展に寄与することで密かに償いを果たしています。幸い、菅彦の情熱的な働きでワイルドマウンテン町は新興住宅地として発展し、菅彦は住民たちからも慕われ、恋の成就も直前! 5巻目では、元職場の防衛軍とワイルドマウンテン町、防衛軍時代に好きだったマリちゃんと、町の未亡人との間で菅彦の気持が揺れ動きます。仕事か恋、自分の幸せか彼女の幸せか? そんなちょっと古典的な青春テーマの間で、男の虚勢も手伝っていつもありえな〜い??行動に走ってしまう菅彦。今回もその迷走ぶりが存分に発揮されて”あれれ”な方向にお話が進みますよ〜!
本秀康 「レコスケくん complete edition」¥1500
自身を投影したようなレコード大好き人間の喜怒哀楽を描いた本さんのシリーズもの「レコスケくん」。2001年に発売された作品に近作17編と初期テイク72P分を加えての完全版として再登場です。解説は安田謙一氏。