ついに完結 花輪和一「刑務所の前 3」

花輪和一「刑務所の前 3」 ¥1100

 作者が自身のムショ体験を描いた「刑務所の中」に先立つ、下獄にいたるまでを描いた異色告白マンガ「刑務所の前」。といっても単なる実録マンガではなく、拳銃の不法所持で捕まった、ソノ実銃コルト・ガバメント修復の詳細な記録と、遥か昔–花輪作品からイメージされるあの中世!–の鍛冶屋の少女の物語と緻密かつ奔放な獄中手記が縦横無尽に同時進行で描かれてゆきます。
 2巻目から約2年のときを経て、ようやく完結編3巻が出ました!
 漫画を描き作品を送り出してきたその机上で着々と改造されてゆく拳銃、そしてひたひたと忍び寄る捜査の手! ついにやってきたガサ入れ&御用。おやじ少女”花子”ちゃんの姿を借りて描かれる銃マニアの喜怒哀楽に中世の少女の因果なお話が交錯。少女とオヤジ、中世と現在、火縄銃を扱う鍛冶屋の女の子の物語と漫画家の犯罪とが等価に描かれるミラクルワールド!
 わざわざカラーで描かれた拘留中メモスケッチと描きおろし漫画「仮釈放」も加わり、祖父江慎さんによる金箔おしカバー&表紙のエンボス不動明王+タイトルの加工・表2/4のメタル感etcといったゴージャスなアートワークとあいまって圧巻です。