月別アーカイブ: 2007年1月

『幽閉者』足立正生監督 イラスト展はじまりました


 35年ぶりの監督作品『幽閉者』の公開を記念して、足立正生監督が日本赤軍のメンバーとして逮捕拘留されていたレバノンの獄中で描いたイラストの展示を開始しました。
 赤・黄・紫…といった強烈な色で描かれた、塀の中の人々の様子、『幽閉者』のモデルでもあり同房の岡本公三氏の肖像(上の画像)や自画像のほか、囚われの心情を描いた幽体離脱状態or分身状態の囚人画、獄の外の恋人とお花畑を歩くロマンチックな空想画、暗号でラブメッセージを書いたイラストカードなどなど、獄中なのに鮮やかでロマンあふれるイラストがたくさん。
 投獄されて拷問を加えられながらも、主人公の前に古今東西の思想家たちや記憶の中の自分や家族・友人が現れて現実と妄想と記録とイスラエルやらアラブやら日本が入り混じった狂気の世界が現れる『幽閉者』にも通じる、陽性のパワーがあります。

 『幽閉者』は岡本公三氏の体験がモデルになっていますが、足立監督自身の獄中生活を描いた『塀の中の千夜一夜 アラブ獄中記』(愛育社)もお取り扱いしています。
『塀の中の懲りない面々』や『刑務所の中』のような獄中の日常の機微も描かれていますが、逮捕前に日本赤軍の活動の模様、囚人といえども一日一食の待遇はあんまりだと改善を求めてフランス革命のように囚人たちが蜂起した大事件、アラブ人気質に関する観察、さらに獄中結婚してしまった足立監督のロマンスの経緯などが綴られています。足立監督は日本とレバノンおよび世界の関係次第で自分たちの処遇が一変する緊張の中にありながら、囚人たちにマッサージや整体などを施しドクトルと親しまれ、ムショ内のドブロク(!)をごちそうになるなど意外にも楽しい獄中生活を送りつつ、一斉蜂起の際には日本赤軍で培った戦術を生かしてブレーン役になったり、獄中でも活躍! 

 そして映画のオフィシャルブック『テロリスト幽閉者』(愛育社)¥1680も先行発売中です。物語の背景となる日本赤軍のこと、監督と四方田犬彦氏や宮沢章夫氏との対談、出演者・田口トモロヲさんや荻野目慶子さんのインタビュー、若松プロの後輩でレバノンで同時に逮捕された赤軍メンバーの和光晴生氏の東京拘置所からの寄稿やシナリオほかが収録されています。
 また、タコシェにて前売り券+足立監督のイラストカードセット5枚セット+フライヤーの特別セットを¥1800で発売しております。
 
 尚2/2の公開前日にはなかのZEROにおいて、メイキング映像・土屋豊監督『幽閉者たち』の上映と足立監督+スペシャルゲスト(決定しましたらお知らせします)のトークショーを開催いたします。(以前に1/17とお知らせしましたが、内容の充実をはかり2/2に変更になりました) 入場料¥1000ですが、タコシェにて、前売りチケットやオフィシャルブックや監督の著作など関連書籍をお求めの方には割引料金にてご覧になれます。

牛若丸出版の本、いろいろ展示・販売します!


 建築雑誌の『10+1』や青土社の『現代思想』といった雑誌から、嶽本野ばらさんの単行本や工作舎の本などを手がけるグラフィックデザイナー松田行正さんが主宰する牛若丸出版の本は、松田さんの興味と趣味を盛り込んで年一回のペースで発行されるオブジェのような本です。
 UF0の図面(実際にUFOの模型を作れる型紙つき)、唐草模様の歴史と変遷、美しい工具(実はぜんぶ外科手術の道具)など、毎回、ちょっとかわったテーマをうんと凝った編集+デザインで見せてくれます。
 少部数ずつ作成して、刷り増すたびに、紙や刷り色が変わったりして変化してゆくのも面白く、タコシェでは、普段からお取り扱いがあるのですが、変わり具合も含めた牛若丸の本の展示と、松田さんのそのほかのお仕事の展示をいたします。
 現行の本はお求めいただくこともできます。

月光リニューアル!

『アラン』『月光』『月ノ光』『牧歌メロン』『ラッキーホラーショー』と、カルト雑誌を編集・発行してきた南原企画が、判型を変えて2年半ぶりに『月光』を発行しました!
月光24「映画の研究1」¥1000

 編集の潮田文(ex南原四郎)さんが映画についての特集を組みたいと構想するうちに、前号から2年半が経ち、ずんずんと映画の原理そのものを掘り下げた大仕事になってしまったのこと。
内容は—-
○草森紳一「「穴」のち、晴れ1」では花輪和一の漫画『浮草鏡』を通して、今や擬死語となった「狂氣」を考える。
○潮田文(ex南原四郎)「映画の研究1」:1895年、シネマトグラフ「動く機関車の映像」を見た人々は、その迫力に恐怖し、かつ熱狂した。シネマトグラフの評判は瞬く間に世界中に知れ渡ったが、本物の機関車をシネマトグラフに間違えるようなことは全くなかった。人々は映像を現実と混同しながら、現実を映像と混同することは決してなかったのである。この「謎の非対称性」を根源にまで追い詰めた「3年掛かり」の大論文。
○インタビュー宮崎皓一(with草森紳一):知られざる傑作写真集、『Scissorings』の作者、宮崎皓一と、そのプロデューサー役だった草森紳一へのインタビュー
○東玲子「ペットロス物語」:愛しきタランチュラを失って…
○伊井一郎「昭和芸界任艶録1」:「昭和」を生きた大衆芸能スターたちの貴重な聞き書き
○濡木痴夢男「緊縛エロチシズム考」:縄師」が綴る実践的SM論
○唐沢俊一・ソルボンヌK子「歌う雑物学」:姓名判断
○J・ウェルカー「やおいと、百合通信と、アメリカ人の僕」:アメリカ人のゲイの僕と、謎めく日本の少女たち
 などなど。
菊判変型160P

川島よしおさん最新同人誌「NKT」

川島よしお『NKT』 ¥525

 『漫画アクション』誌に、0歳にして酸いも甘いもかみわけた乳児おりんちゃんとその母の貧乏だけと楽しい四畳半二人暮らしを描いている川島よしおさんの、最新自費出版。
 萌えるマネージャー、ナオミの出現で桃栗高校が甲子園を目指す。すなわちNaomio Tsureteke Koushien。
 部員をMEGUMI派と小倉優子派に分けて紅白戦をさせるなど、かわいいけれどムチュククチャなナオミの采配に振り回されながら、彼らは果たして甲子園にゆけるのか??
部活の模様を4コマ漫画で綴ります。
A5判28P

駕籠真太郎さん 最新同人誌入荷

駕籠真太郎『印度で乱数 腐乱亭日常』 ¥630

 漫画家 駕籠真太郎さんの公式ホームページ“印度で乱数”において2006年8月から11月にかけて発表された日刊マンガコーナーからセレクトし作品に加筆修正した作品を中心に収録。ほかにも特殊イラスト、未発表おろしネタほか、2006年に開催された『不衛生博覧会』展示作品の図解などを収録しています。
 一コマ漫画のようにタイトル+イラストの構成、糞尿も出てくるブラックなのに、怖さや気持ち悪さを振り切った愉快痛快がたくさん。ミルフィーユをスパッと切断する大げさな装置やら、陰毛がどんどん伸びはじめた大人になったお菊人形、ミステリーサークル状態の脱毛=UFO迷惑駐車などなど、寺山修司の装置にも通じる??不気味と愉快を掛け合わせた発明の連続です!
 A5版80P