35年ぶりの監督作品『幽閉者』の公開を記念して、足立正生監督が日本赤軍のメンバーとして逮捕拘留されていたレバノンの獄中で描いたイラストの展示を開始しました。
赤・黄・紫…といった強烈な色で描かれた、塀の中の人々の様子、『幽閉者』のモデルでもあり同房の岡本公三氏の肖像(上の画像)や自画像のほか、囚われの心情を描いた幽体離脱状態or分身状態の囚人画、獄の外の恋人とお花畑を歩くロマンチックな空想画、暗号でラブメッセージを書いたイラストカードなどなど、獄中なのに鮮やかでロマンあふれるイラストがたくさん。
投獄されて拷問を加えられながらも、主人公の前に古今東西の思想家たちや記憶の中の自分や家族・友人が現れて現実と妄想と記録とイスラエルやらアラブやら日本が入り混じった狂気の世界が現れる『幽閉者』にも通じる、陽性のパワーがあります。
『幽閉者』は岡本公三氏の体験がモデルになっていますが、足立監督自身の獄中生活を描いた『塀の中の千夜一夜 アラブ獄中記』(愛育社)もお取り扱いしています。
『塀の中の懲りない面々』や『刑務所の中』のような獄中の日常の機微も描かれていますが、逮捕前に日本赤軍の活動の模様、囚人といえども一日一食の待遇はあんまりだと改善を求めてフランス革命のように囚人たちが蜂起した大事件、アラブ人気質に関する観察、さらに獄中結婚してしまった足立監督のロマンスの経緯などが綴られています。足立監督は日本とレバノンおよび世界の関係次第で自分たちの処遇が一変する緊張の中にありながら、囚人たちにマッサージや整体などを施しドクトルと親しまれ、ムショ内のドブロク(!)をごちそうになるなど意外にも楽しい獄中生活を送りつつ、一斉蜂起の際には日本赤軍で培った戦術を生かしてブレーン役になったり、獄中でも活躍!
そして映画のオフィシャルブック『テロリスト幽閉者』(愛育社)¥1680も先行発売中です。物語の背景となる日本赤軍のこと、監督と四方田犬彦氏や宮沢章夫氏との対談、出演者・田口トモロヲさんや荻野目慶子さんのインタビュー、若松プロの後輩でレバノンで同時に逮捕された赤軍メンバーの和光晴生氏の東京拘置所からの寄稿やシナリオほかが収録されています。
また、タコシェにて前売り券+足立監督のイラストカードセット5枚セット+フライヤーの特別セットを¥1800で発売しております。
尚2/2の公開前日にはなかのZEROにおいて、メイキング映像・土屋豊監督『幽閉者たち』の上映と足立監督+スペシャルゲスト(決定しましたらお知らせします)のトークショーを開催いたします。(以前に1/17とお知らせしましたが、内容の充実をはかり2/2に変更になりました) 入場料¥1000ですが、タコシェにて、前売りチケットやオフィシャルブックや監督の著作など関連書籍をお求めの方には割引料金にてご覧になれます。