画家のノート「四月と十月」お取り扱いはじめました

「四月と十月」vol.15 ¥525

 劇場やギャラリーに行ったとき、作家自身によるご来場者への挨拶をかねた簡単な作品の背景や近況を語る文章って、本や雑誌のレビューや紹介文と違って、デッサンのように肩肘はらずに物事の輪郭や特徴を浮かびあがらせるもので、親密さを感じますよね。
 「四月と十月」はまさに、そんな画家から鑑賞者への私信のようで、美術の見方に刺激を与えてくれる、アーティストたちの同人誌です。
 その時の画家の思索や近況を綴った文章と、それにシンクロする習作があわせて寄稿されており、創作の過程を垣間みることができます。
 毎年四月と十月の年に二回(この号は十二月になってしまったけど)、タイトル通りに出されています。たくさんの作品の図版が掲載されていますがカラーページはありませんが、完成された作品を紹介するより、作品に関する考えや気持ちを言語化して絵と文の間を行き来することで作品が完成される創作過程を記録する面白さに重点がおかれているためだと思いますので、ぜひ一度手にとってじっくり見てください。
 構成は毎号、画家が最近の関心事や思うことと、それにシンクロした習作を合わせて寄稿する「アトリエから」と、展示や取材の報告や連載から構成されています。
 15号の内容は—
『アトリエから」:
 パソコン検索に慣れてしまい、暗算が得意な人が算盤をはじく仕草をしながら計算するように、みつからないものがあるとコントロールキーとFを押さえる動作が身についてしまったが実際に頭の中で算盤をはじいている前者と何も頭の中で変化してない後者とは違う…という考えから創造力のある指の仕事を形にした宇田敦子さんの文と作品は、鍵と鍵穴のように文と絵がピッタリ合い、作者の意図に頷かされます。
 また、須曽さんは古代人に還ったつもりで数字を考案。
 牧野さんは創刊号に掲載した「アンチラベの郵便局」を描きに、再びマダガスカルの高原を訪問。路上でスケッチしていると現地の人たちが次々に寄ってきて画家を取り囲んでにこにこ口々に感想を述べ、建物に掲げられた国旗に色を入れたとたんに歓声があがる、というなんとものどかな様子を紹介。そのときに描かれた絵を含む三葉のスケッチも掲載されています。
 執筆者—稲村かおり、宇田敦子、大熊健郎、金田実生、川原真由美、久家靖秀、工藤志穂、末藤夕香、鈴木安一郎、須曽明子、瀬沼俊隆、宗誠二郎、田口順二、原陽子、牧野伊三夫
 ほかには—●鈴木伸子「東京風景 都電の走る風景」
●クウネルなどのデザインを手がける有山達也が自身の絵を使って装丁した単行本を語る「装丁の中の絵 アクション派」 
●町の看板などの言葉に注目する新連載で古書店アクス店主上野朱の「モノたちのコトバ 社交嬢求む」
●牧野伊三夫「仕事場訪問 鈴木安一郎と富士山」
●一條美由紀「ドイツ美術学校留学記 愛しのマリアンネ」最終回
●青木隼人「音の巣 朝と音楽」
●蝦名則「美術の本 戦争画の様々(二)」えびな書店店主による美術書の紹介。長野県上田市には、野見山暁治らの尽力で、兵役に招集され戦士した画学生たちの遺作を集めた美術館「無言館」があるが、その周辺の若き画家たちの残した文献を紹介。
●須曽明子「古墳部活動記 諏訪・八ヶ岳を訪ねて」
●言水ヘリオ「画廊の外の展覧会 大城スージグヮー週末美術館」
など。
A4変型 100P
 「四月と十月」のホームページもすてきです! カチカチってスイッチを入れると電飾が点滅したりして。