『石都奇譚集 ストーンタウン・ストーリーズ』の刊行一周年を記念して、飯沢耕太郎さんの詩とドローイングのペーパー『石都詩篇集』がサウダージブックスさんで作られました。
編集した淺野卓夫さんは、震災後の落ち着かない日々の中、「石都奇譚集」を何度となく読み返したそう。飯沢さんとともに、石の都ザンジバルを旅した彼は、雨期には大洪水で電気や物資が不足する島で、夜の闇に死者の影が徘徊する幻想を抱く一方で、人々が人生を謳歌する姿にも触れ、“寂さびしさに裏打ちされた幸福”を感じたそう。そこで、宮城出身で、実家が被災し、その後『アフターマスー被災後の写真』を刊行した飯沢さんに、「ザンジバルから被災後の日本へ」のテーマで詩を依頼し、このペーパーを作ったそうです(デザイン原田潤)。
「石都奇譚集」をお求めのお客様にこのペーパーを差し上げます。
飯沢耕太郎「石都奇譚集 ストーンタウン・ストーリーズ」(サウダージブックス/港の人)¥1680
写真評論家・飯沢耕太郎による、東アフリカ・タンザニアから沖合30Kmほど離れたインド洋に浮かぶ隆起珊瑚の島ザンジバルに滞在した2008年4月半ばから6月末までの幻想的なアフリカ紀行。
石造りの旧市街(ストーンタウン)をさまよう著者が、現実と幻想が交差するスタイルで描くショート・ストーリーズ。
「今日のストーンタウンは読めない文字で書かれた手紙である。だが明日になれば、小径と建物の不規則な連なり、まるで暗号のようなそのカリグラフィは、くっきりした意味を備えた文章として,私の目の前にあらわれるはずだ」とあるように、読めない文字を読むような眼差しで、道行く猫たち、女たちが身にまとう衣装ブイブイ、そして、ときに死者たち…を眺め記してゆく。
著者による写真もテクストの間、間に挿入されています。
●目次 石都奇譚集のための道標
三角形 Triangle / 猫男 Catman / ブイブイ Buibui / 隠れんぼ Hide and Seek / ウフングオ Ufunguo / 記号 The Sign / 夜の蛸 Octopus at Night / 大雨季 Mashika / 兄弟 My Brother / 二つ頭 Two Heads / 野兎と胃袋 The Hare and the Stomach / 烏革命党 The Crows Revolutionary Party / 作業 The Work / モンキー・ツアー Monkey Tour / 世界の臍 The Navel of the World / ウフングオ2 Ufunguo 2 / 大停電 Blackout / 樹霊 Tree Spirits / 泣く女 Crying Woman / 死者たち The Dead / 静かな夜 Silent Night /クワヘリ Kwa Heri / キンコ・カッシーノ Kinko Cassino / あとがき
四六判変型 160P サウダージブックス/港の人