リチャード・マグワイア著 大久保譲訳「HERE ヒア」(国書刊行会)¥4000+税
80年代前半に登場した、ニューヨークのポストパンク・バンド、リキッド・リキッド(LIQID LIQUID)のオリジナルメンバー(B)であり、イラストレーター、グラフィック・デザイナー、コミック・ブック・アーティストとして活躍するリチャード・マグワイア。
彼が、そのプロトタイプ「HERE」を89年に雑誌「Raw」に発表してから25年の歳月を経て発表した完全フルカラーヴァージョン。2016年アングレーム国際漫フェスティバル最優秀作品賞受賞。
日本版発売記念の安田謙一とのトークショーによれば、リチャード・マグワイアは1コマの中に、複数のコマを設けて異なる時代の同じシーンを描くという方法を、当時のウィンドウズ画面と、自身の父親が5人の子供たちを家の中の名時場所に同じフォーメーションで撮影して記録していた事から思いついたそう。
Rawに掲載したものは、その手法を明確に提示した6ページのモノクロ版だったが、完全版は300ページとなり、作者が育ったニュージャージーを舞台に、本を開いた形を部屋のコーナーにみたてて
マグワイア一家の居間?も含めたひとつの部屋を通して、その過去=紀元前30億年50万年から、未来の22175年にいたるまでの壮大な地球の歴史を描いている。
25年の歳月をかけて、HEREを書籍として完成させたリチャード・マグワイアは今後、また別のテクニックを使ったVR版にとりかかっているそうで、HEREはさらに壮大な広がりを見せてくれそうです。
《国書刊行会の紹介文》
窓と作りつけの暖炉のほかには何もない部屋、左上には2014年という数字。ページをめくると、1957・1942・2007……と様々な年代の同じ空間が現れ、さらに異なった年代の断片が共存・混在していく。そして紀元前30億50万年から22175年まで、ある家族の記憶の数々が地球の歴史と一体となって圧倒的なビジュアルで奏でられていく――リチャード・マグワイア『ヒア』はある部屋の一角の物語であり、地球の黎明期から遥かな未来まで、この空間で起こる無数の出来事の物語である。コミック形式の画期的なヴィジョンの完成形として、このジャンルの最大の発明家の一人が送りだす、まったく新しい文学、究極のグラフィック・ノヴェル/アート・ブック、そして深遠なる哲学の書にして驚異の書物がついに登場!
*日本版特別附録:1989年オリジナル版・2000年版「ヒア」と、クリス・ウェアのエッセイなどを収録。
B5判変型300pages(国書刊行会)オリジナル版を含む小冊子つき。