藤宮史 木版漫画集「或る押し入れ頭男の話」

藤宮史 木版漫画集「或る押入れ頭男の話」

藤宮史 木版漫画集「或る押入れ頭男の話」(青林工藝舎)¥2000+税

大学に入り、一人暮らしをはじめたものの、人間不信から、ひきこもりになり、白昼夢想にふけり「押し入れの中で暮らしてみたい、いっそ自分自身が押し入れになってしまえば、煩わしい人間関係に悩むこともない」と念じつつ、うたた寝からさめてみると男の頭は押し入れになっていたーーー

そんなカフカの「変身」のようにはじまり、人間存在を問う作品。
迂闊にも孤独を手に入れたいと思った男が、その容貌もあって、現実世界に翻弄され陥穽に落ちてゆく姿を描きます。人間から押し入れ人間、やがてほぼ押し入れ、そして……、緩慢に消滅へと向かう数奇な男の物語。

前作「黒猫堂商店の一夜」収録作と、この本の収録作を制作するのに10年を費やしたそう。ゆっくり濾過されるように歳月をかけて形になった、寡作な作家の貴重な作品集。

A5判上製144pages

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 タイトルと表紙のワンポイントは型押し