中ザワヒデキ「現代美術史 日本篇 1945-2014」(ART DIVER)¥1500+税
リトルプレス「近代美術史テキスト」を発展させて、世界の美術史の流れの中に日本の現代美術史を相対的に位置づけ、解説した美術史テクスト。これまで、商業美術あるいはイラストとして美術史の中で語られることが殆どなかったヘタうまを再評価したり、二艘木洋行、chim↑pom、カオスラウンジなどSNSを使って活動をする今日の作家まで網羅したり、中ザワヒデキの視点によって、日本美術史がわかりやすく再編集されています。
【目次】
Chapter 1 1945-1954
シュルレアリスムと多様性ー敗戦後の美術状況
1a 美術家の戦争責任問題
1b ヴェネツィア・ビエンナーレへの参加
1c 「重い手」、レアリスム論争、岡本太郎
1d ルポルタージュ、密室、瀧口修造と実験工房
Chapter 2 1955-1959
前衛ー具体、九州派、アンフォルメル
2a 具体
2b 九州派
2c 前衛と地方性
2d アンフォルメル旋風
2e アンフォルメルと東洋
Chapter 3 1960-1963
反芸術ーネオ・ダダとハイレッド・センター
3a ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ
3b 読売アンデパンダン展の廃止
3c ハイレッド・センター
3d 日本のポップ・アート
3e ゼロ次元
Chapter 4 1964-1979
還元主義と多様性ーもの派、概念派、美共闘
4a 日本概念派(1)オブジェを消せ
4b 日本概念派(2)トリックス・アンド・ヴィジョン
4c もの派
4d 美共闘、ポスト概念派、ポストもの派
4e 絵画回帰
Chapter 5 1980-1984
脱前衛ー80年代アヴァンギャルドと日本グラフィック展
5a 日本のポストモダニズム: 内部と外部
5b 内部: 80年代アヴァンギャルドと新表現主義
5c 外部: ヘタうまと日本グラフィック展
5d ポストモダニズムと循環史観
Chapter 6 1985-1994
再現芸術ー関西ニューウェーブから東京シミュレーショニズムへ
6a 森村泰昌と関西ニューウェーブ
6b 東京シミュレーショニズム前夜
6c 東京シミュレーショニズム(1)村上隆と中村政人
6d 東京シミュレーショニズム(2)小沢剛と会田誠
Chapter 7 1995-2009
マニエリスムと多様性ー悪い場所、スーパーフラット、マイクロポップ
7a 快楽主義とマニエリスム
7b ひそやか系、スタジオ食堂、昭和40年会
7c 悪い場所、スーパーフラット、方法
7d 美と価値とインフラ
7e マイクロポップ、美術内美術、チン↑ポム
Chapter 8 2010-2014
搾取前衛ーフクシマ前後の表現主義と反表現主義
8a 二艘木洋行と第四表現主義前夜
8b カオス*ラウンジと2010年の風景
8c フクシマ以後の表現主義的動向
8d フクシマ以後の反表現主義的動向
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奇しくも2014年秋、フランスのセットSèteのMIAM(Musée International des arts modestes)において、湯村輝彦をはじめ「ヘタうま」の系譜の日本人アーティスト約50人の作品を紹介する展示、その名も「Heta-Uma」が開催されました(2015年3月1日まで)。写真は地中海に面したリゾート地セットの街の中の広告塔(コロン・モリス)に登場した湯村輝彦の“ヘタうまビーチ”のポスター!! 日本の内外で「ヘタうま」再評価の時期が来ているようです。