月別アーカイブ: 2017年4月

櫛野展正「アウトサイドで生きている」

櫛野展正「アウトサイドで生きている」(タバブックス) ¥1800+税

専門の美術教育を受けず、美術業界のシステムの外で独自の活動を続ける特異なアーティストとその作品に魅了され、アウトサイダーアートのキュレーションを行い、自身も規制の美術業界とは一線を画した活動を行う決意表明としてアウトサイダー・キュレーターを名乗る櫛野展正が18人のアーティストを取材・紹介。

70才すぎて写真とMacをはじめた自撮りおばあちゃん、大量の死んだ甲虫を使って武者人形を作るおじいちゃん、10代からの食べたものを詳細な絵で記録する中年男性、河川敷の草を刈ってキャラを描く路上生活者…外からの情報や評価を気にせず、自らの意志と方法で表現を続ける人々を各地に訪ね、”自らを生きる”ことを問う。

福祉施設での就職を機に、アート活動支援を始め、鞆の津ミュージアムの開館に携わりキュレーターとして活動する中で、障害者だけでないアウトサイダーアート「極限芸術~死刑囚の表現~」「ヤンキー人類学」などを企画するようになった作者だが、ミュージアムが障害者の作品を中心とした場所への原点回帰を打ち出したことで独立し、2016年、アウトサイダー専門ギャラリー・クシノテラスをオープン。福祉と美術の間で模索を続けるキュレーターが
「障害がない」ゆえに既存の福祉制度でとりあげられず、美術界でも評価されない周縁アーティストたちの人生に迫った渾身のドキュメンタリー。

目次————-

はじめに
クイーン・オブ・セルフィー 西本喜美子
妄想キングダム  遠藤文裕
隠密ツーリスト  熊澤直子(忍者ぶきみ丸)
怪獣ガラパゴス天国  八木志基
昆虫メモリアル  稲村米治
ラーテルになりたい  ラーテルさん(あなぐまハチロー)
ドローイングディズ  辻修平
路上の果て  爆弾さん
お水のカラクリ道  城田貞夫
極彩色のラッキーハウス  小林伸一
落書きラビリンス  野村一雄
進化するデコ街道  山名勝己
ヲタの祝祭  武装ラブライバー(トゥッテイ)
記憶を包む極小絵画  大竹徹祐
草むらの親善大使  藤本正人
あの味を忘れない  小林一緒
進化を続ける愛の砦  大沢武史
仮面の奥の孤独 創作仮面館

世界を治癒する者 解説:花房太一
おわりに
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●櫛野展正(くしの・のぶまさ)
日本唯一のアウトサイダー・キュレーター。1976年生まれ。広島県在住。
2000年より知的障害者福祉施設で介護福祉士として働きながら、
広島県福山市鞆の浦にある「鞆の津ミュージアム」 でキュレーターを担当。
2016年4月よりアウトサイダー・アート専門ギャラリー「クシノテラス」オープンのため独立。
社会の周縁で表現を行う人たちに焦点を当て、全国各地の取材を続けている。
クシノテラス http://kushiterra.com

四六判304pages
カラー136ページで、関連作品の図版も多数収録しています。

『ぼくトンちゃん 完全版』(エランド・プレス)発売記念 いましろたかしサイン会

2017年4月29日(土)15:00から約1時間

いましろたかしの名作アクション活劇漫画『ぼくトンちゃん』に44ページの大幅描き下ろしを加えた『ぼくトンちゃん 完全版』(エランド・プレス)発売を記念して、タコシェにてサイン会を行います。

4月26日(水)より発売予定の同作品をタコシェにてお求めのお客様にサインをいたします。
ご購入の際に整理券をお渡しします。番号順にサインを受け付けます。

4月29日(土)午後3時より、約1時間ほどの予定です。
当日参加も可能ですので、今年のゴールデン・ウィークはトンちゃんでスタート!!!

いましろたかし
1960年、高知県生まれ。漫画家。
1986年、「ビジネスジャンプ」で デビュー。諦念と情熱の入り交じった独特の作風で知られ、各界のクリエイ ターにも熱烈なファンが多い。著作多数。代表作に『初期のいましろたかし』 『デメキング』『トコトコ節』『釣れんボーイ』『化け猫あんずちゃん』な ど。2015年には、初の絵本『あそこまで いってみよう』も発表。現在、 「月刊コミックビーム」にて『新 釣れんボーイ』連載中。

『ぼくトンちゃん完全版』
悩みはつきない、されど……生きる!!
97 年から翌 98 年にかけて「Weekly 漫画アクショ ン」にて連載、2002 年にエンターブレインより単行本 化され人気を博したいましろ流アクション漫画の傑作が、大幅描き下ろしを加え、待望の復刻!!

ブタ仙人のもとで修行に励む子熊のトンちゃんと兄弟子・牛山五郎。
ふたりの奮闘の日々は一見、牧歌的に映るも、ときに人生の深淵を覗かせる。
44ページにも及ぶ追加描き下ろしパート「地獄会議の章」では、トンちゃんが、強大な敵を相手に仙界クマとしての潜在能力をついに開花!
行けども尽きぬ苦悩の道。はたしてふたりの修行の行方は――。

A5判176pages 本文2色
¥1450+税

ナギサプロ 怪奇短編集『生きている霊魂』

 

ナギサプロ「生きている霊魂」(梵天劇画会)¥600+税

凡天太郎と、『墓場鬼太郎』4巻以降(いわゆるニセ鬼太郎)の作者・竹内寛行の
プロダクションワークとして最も充実期にあるナギサプロの怪奇短編3作を収録。肉体を失いながらも、霊魂は他者の肉体に宿ったり姿を変えて、果たせなかった想いを成就させたり…する怪奇ものですが、そこはナギサプロ、お色気を加えることも忘れていません。

収録作品はーーー
●凡天太郎と渚プロ『生きている霊魂』
(芸文社「漫画天国」1968年7月25日臨時増刊号 サイケデリック怪奇コミック特集)

●凡天太郎andナギサプロ『仮面の天使 第二話「妖木」』&全話ダイジェスト
(集英社「週刊明星」1968年9月29日号~10月20日号連載)

●製作:ナギサプロ 画:竹内寛『妖説 紅しぐれ』
(新星社「漫画パック」1968年8月1日号)

【読み物】
田中多美子さん(凡天太郎夫人)インタビュー続編
※竹内寛行がチーフを務めたナギサプロ~凡天太郎プロダクションへの変遷とともに、時代のせいか、豪傑や猛者揃いなのかアシスタントたちの破天荒ぶりまで奥様によって明かされます。

街灯紙芝居から三流劇画への変化の激流を泳いた梵天太郎プロダクションの作品や関連資料は劇画史をひもとくうえでも貴重です。

A5判54pages

OhBoy! 75 2017 March 「Must Go Seoul 2017」

OhBoy! 075 2017 March「Must Go Seoul 2017」¥833+税

ファッション写真家のキム・ヒョンソンが「動物福祉と環境を考える」ことを目的に2009年に創刊したファッション文化雑誌、OhBoy!。

年に10回発行される定期発行物で、号ごとの特集は、ファッション、都市(NY、パリ、ベルリン、バルセロナetc.)、書店、雑誌、ジン、そのときどきのソウル最新情報、地球環境やエシカルな生活、などなど。これに、セレブ達のグラビア、スローライフや動物福祉のメッセージ、写真、イラストなどが加わり構成されています。

進行形のカルチャーと地球環境や動物との共存に関心を向けてもらうべく、アイドルやセレブを起用したファッション写真とデザイン性の高い誌面でも話題となっています。

75号は、MUST GO SEOUL 2017で、今、訪ねるべきソウルのショップを紹介。ベリタリアンレシピやワンちゃんの里親募集の加えてキム・ミンジェ、チョン・ソミ、2PMも登場。

22.7cm×30cm 96pages

新しくできたOhBoy!のショップも紹介されています

ただのファッション写真でなく、動物愛護のメッセージも発信しています。

ICHASU イチャス「SUKAPONTAN」

ICHASU イチャス「SUKAPONTAN」¥926+税

芸大在学中はデザインを専攻し、オモチャを改造して作品を作ったいたが、卒業制作でマンガを制作したのを機に、おちゃらけキャラが自由に生きるPOPな世界を、なめらかでクリアな線と鮮やかな色使いで描いてきたアーティストICHASU。

コミックに登場するようなキャラクターを描きながら、5年ほど、漫画から遠ざかっていた彼女が
2016年大阪excubeでの個展で、久々にマンガを描きました。

おいしいものに目がない主人公が、その空腹を探知した謎の「句売る句助け隊」にいざなわれ、旅に出るのですが、なかなかおいしいものに辿りつけぬまま紆余曲折のうちに神様と出会うものの、主人公と登場人物たちは神様に翻弄されて…とんでもない体にされてしまうのでした。

フリーキーなまでに奇想天外、数ページにわたって描かれる絵巻物のような構成…
杉浦茂やキクチヒロノリ、ネルノダイスキなどが好きな人にオススメかも。ポップでダイナミックなICHASUの世界をお楽しみください。