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イザベル・ボワノ展(3)イザベルと食

オリジナルレシピを図解した”Mes recettes”(わたしのレシピ)シリーズを出版しているイザベル。

左が最新刊の“Mes recettes pour le goûter”(わたしのおやつレシピ)。4月17日のフランスでの発売に先駆けて日本で先行販売です!お菓子やデザート系のレシピ本。 そして右が“Mes recettes à emporter”(わたしのおでかけレシピ)。これはおもたせやおみやげ、あるいはアウトドアやお弁当向きの軽食やお菓子レシピ集。(ともに1300円)

mes recettes

表紙も見返しもイザベルのイラストをちりばめたかわいい本デザイン、身近な材料で簡単に作る事ができる料理やお菓子がいっぱい。

mes recettes onigiri

鮭をソテーしてお鍋でご飯を炊いて作るオニギリも!米粒をひとつひとつ描いたり、ごはんをグリップする手の感じ、このイラストが、なんともいえません…。

mes recettes atelier

レシピ以外にも、お料理やお菓子を楽しくする、ラッピングやラベル、飾りも紹介。包装紙などを使って作る事ができますよ…。

テクストはフランス語ですが、材料も作り方もすべて図解していて、分量、温度、時間などもその部分ごとに書き込まれているので、お菓子作りに慣れた方なら図を見ながらほぼ作れます。また用語も限られているのでフランス語初心者でも読めますよ。

ところで、美味しいものが好きなイザベルは、ただお料理を作ったり食べるだけでなく、こんなコラージュも作っています。

美の裏に潜む、ビューティ・サロンの施術のどこかグロテスクなイメージと、お肉を加工する料理のイメージが結びついたり、あばたの肌とサブレ生地が、ホクロと小豆が頭の中でシンクロしてしまうようです。

そんな“いけない”食のイメージを、偶然にも数年前にパリでイザベルの著書SUMIMASENに興味を持ってから、親交を深めてきた和菓子創作ユニットのwagashi asobiさんが、今回の東京の展覧会のために和菓子にしてくれます。HARCOZAの展示では、デコネイルアートに魅せられたイザベルのため、指の和菓子を創作。見た目のインパクと、つまみあげたときの触感のリアルさ、にもかかわらず味わったときのやわらかい苺の甘みが大好評でした。職人の技でもって思い切り遊んでくれました。はたしてMon Paris展の初日にはイザベルのパリから何が出来るのでしょう!?

和菓子

3月31日(16:00〜)のオープニング・パーティでは、和菓子を味わいながら、イザベルの作品を見てくださいね。レシピについての質問、サイン、なんでもお気軽にお声をかけてください。

イザベル・ボワノ展(2)イザベルのジン

美大生の頃から、一人でジンを作っていたイザベル。数部だけのジンを自ら配布する事もあれば、書店やギャラリーで販売したり。出力やコピーだけでなく、よく見ると部分、部分にコラージュがほどこされていて、同じタイトルでも一冊一冊違っていたりもします。

今回、東京で2つの展示を行うにあたって、イザベルはそれぞれの会場のテーマに関連したお手製ジンをパリのアパルトマンでせっせと作って持ってきてくれました!

mon paris zine

「Mon Paris」 ¥1400 (ミニ画集Mon Paris+ミニ写真集+パリの地図+メトロの地図+(ランダムに)雑誌などの切り抜きが透明袋に入っています)

展示のために描き下ろしたイラストを収録したミニ画集Mon Pari(A5判16P オールカラー)と、お気に入りの場所やアイテムを撮った写真集(A5判16P オールカラー)に、ガイドつきのマップA4がセットになっています。よく行くスーパー、欠け人形や割れ人形が並ぶ不気味だけどノスタルジックな蚤の市、昭和な感じ?レトロ文具を買いにゆくお店、夏場は男も女も日焼けに精出す公園(たまに全裸と間違えそうなGストリングだけの男も出現)、など、イザベルが目にするパリの景色がイラストや写真で紹介されています。日本語を勉強中のイザベルですが、マップにつけた解説は自身が日本語で書いています。それぞれ、ランダムに古雑誌などの切り抜きも入っています。冊子とマップはそれぞれ青、赤、白の表紙で、フランス国旗と同じトリコロールになっています。タイトルまわりはヴィンテージのラベルやスタンプを使って仕上げられています。80部限定、No、サイン入り。

(クリックで拡大してご覧になれます)

 

これ それ あれ

「これ それ あれ 」¥1500(ミニ画集+ミニ写真集+ミニコラージュ集)

「これ」は、イザベルが日本で見つけた楽しい造形物の写真。空き缶用のゴミ箱の二つ並んだ穴が人の顔に見えたり、私たち日本人が見逃していたおかしな造形や、お店の看板に描かれたマスターの絵など珍キャラなどを集めています。(A5判16P オールカラー)

「それ」はイザベルが惹かれる日本のもののデッサン集。正しくお箸を持つ手、デコったネイルや盛りまくった髪の毛、ハケや茶筅、おろし金など昔ながらの道具、花などを象った和菓子、蓮根、しめじなど和の野菜、着ぐるみになったゆるキャラ…、などなどが丁寧な線画となっています。(A5判16P モノクロ)

「あれ」はコラージュ集。エステやネイルなど美容系の広告のビフォー/アフター写真や、施術写真から、美の裏側の世界を垣間見たイザベルは、美顔写真と食肉などを組み合わせた、ちょっと奇形的なコラージュを作りました。ホクロが小豆にみえたり、肌に塗り込む特殊なジェルはローストビーフにかけるソースに通じたり、美と食はイザベルの頭の中で連鎖してゆきます。美容も料理も背後にグロテスクさを持つ行為として結びついてしまうようです。(A5判16P オールカラー)

80部限定、No、サイン入り。

イザベル・ボワノ展(1) 作家紹介

イザベル ポートレード

3月に来日して、代官山のHARCOZAとTaco chéで展示をするアーティスト、イザベル・ボワノ〜タコシェのDMでぬいぐるみのクマちゃんの手をひいてパリを歩いている人物〜とその作品について、少しずつ紹介してゆきます。

イザベル・ボワノ(Isabelle Boinot)

76年生まれ。フランス西部の町ニオール出身、パリ在住のアーティスト。アングレームの美術大学を卒業後、イラスト、グラフィック、出版を中心に活動を開始。デッサンやコラージュ、刺繍、映像など多岐にわたる表現で、フランスはもとより、日本、スウェーデン、アメリカでも作品を発表。

グラフィックマガジン「Frédéric Magazine」の編集・発起人の一人としても、展覧会や出版を通してフランスのグラフィックシーンの第一線で活動。イタリアや日本旅行を記録した手帳を書籍化した「Prego」「すみません」、オリジナルレシピを自ら図解した料理本「私のおでかけレシピ」(Mes recettes à emporter)などが好評。新聞・雑誌に作品を提供する一方で、ジン活動も行う。

この4月には“わたしのレシピ”シリーズの第二弾「わたしのおやつレシピ」が発売の予定ですが、なんとフランスに先駆け、展示にあわせて日本で先行発売されます!

こちらが、わたしのおでかけレシピのサンプル

震災後に、日仏学院がフランスの作家やアーティストたちに呼びかけた「日本に寄せる80分のメッセージ」(1アーティスト約1分)のためにイザベルが製作したアニメ。

作家ホームページ http://i.boinot.free.fr/index.htm

イザベルの来日を記念して、そのインタビューとフランスのグラフジンについての記事を掲載したwebフリーペーパー「メランコフ6号」こちらからダウンロードして読めます!

メランコフ6

Berlin! Berlin!! Berlin!!! (2)

berlin photo guide

Berlin photo guideの冒頭で、著者の成田圭祐さんは、書いている。

「再開発が急速に進むベルリンでは、ショッピング・モールや無表情なビルが、街の空き地や隙間を着々と埋めつつある。観光ガイド本に従って歩くベルリンはますます退屈になったが、そのような街の表面の下や裏では相変わらず、「もうひとつのベルリン」が息づいている。

「もうひとつのベルリン」と言ってもそこは、様々な層が折り重なっているから、そこに足を踏み入れた人の関心や趣向にしたがって、無数に枝分かれしていくし、いつの間にかベルリンからはみ出して広がっていきもする。だから、このジンで紹介できているのは、僕の関心に沿った、「もうひとつのベルリン」のほんの一部に過ぎない、というのは、当たり前のことだけど大事なことなので、いちおう念のため書いておく。

実際にこのジンを携えてベルリンに行く人がいたらうれしいし、このジンによって、少しでも「ベルリン」が、あなたの中で魅力的に響くようになったら、それもまたうれしい。」

肝心のジンを携えるのは忘れてしまったのだけど、ベルリンの街を歩くと、いまも建物の全面を使った壁画を見ることができるし、激しく重ねばりしたポスターたちにインターネット時代といえ紙と印刷の威力を感じたり、あやしい雰囲気にひかれて迷い込んでみるとヒッピー村みたいなスクウォットみたいなスペースにも入るこめる…。

この街で、シルクスクリーンを使っての出版活動をしているイタリア人フランチェスコさんによると、「市の管理でスクウォットも減ったし、アーティストたちが入りこんでた場所の中には公的アートスペースになった所もあって、様変わりした」のだそう。

市内には素人レベルからプロまで様々なレベルのアート活動を支える公的施設があったり、倉庫やかつてのプールなどのスペースを使った版画制作のデモンストレーションや展示イベントも行われて表現活動が行われている模様。(くわしくは次回)

berlin photo guide

Berlin Photo Guideは、自主管理のカフェ・バーやスペース、スクウォット、グラフィティおよびストリート・アートなどを写した24枚の写真を糸口にしながら、観光ガイド本には載らないベルリンのオルタナティブなスポットや情報を紹介していくジン。

成田圭祐/遊動社/A判モノクロ28P

Berlin! Berlin!! Berlin!!! (1)

ペ・デ・フェ展覧会(クリックで拡大します)

いま、東京のあちこちのギャラリーやショップで、日独交流イベント『Wir Kinder von UENO ZOO』が行われています。そのうちのひとつに、来春タコシェで展示を予定しているロリータ絵画のStu Meadさんも参加します。なんと、会場は中野ブロードウェイの中、妖精系ロリータファッションのお店pays des feesさんで、11月29日から12月28日の会期になります。

そんなわけで、勝手に連動企画ベルリン特集を行うことにしました。第一回は、ステュミィドさんのアトリエを紹介します。

ステュさんのアトリエはパンキッシュなエリアの、住まいと兼用したアパートの中にあります。手足に障害のあるステュさんは、机の上にお手製パレットを固定し、主要な色はパレットの端っこに並べた固定したフタつき容器に詰め替えるなど、カスタマイズしています。フタつきなのは、乾燥を防ぐためだそうです。イーゼルにもお菓子の空き箱がついていて、カンバスが奥に行き過ぎないよう底上げするのに使っています(写真の左端にちょっとだけ見えます)。そうすることで、カンバスの端まで描きやすくなるからだそう。というように、コックピットのように手の届く範囲に様々なものが計算して置かれたアトリエから、あのかわいいロリータちゃんたちが生まれていたんですね! ステュさんは、ここで、ロリータたちの絵のほかに、肖像画などを時間をかけて丹念に描いています。

ステュさんのアトリエ

ステュミィドの本はタコシェで現在、Frank Gaardとの共著になる「MEN BEG」をお取り扱いしています。

そして、ペイ・デ・フェさんでの展示の詳細はこちらをどうぞ