河野聡子「あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ」外国文学読書案内2013-2018

河野聡子「あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ」外国文学読書案内2013-2018 ¥1000+税

文芸誌TOLTAを発行する河野聡子が、2013年〜2018年の約5年間にわたって西日本新聞に寄稿した、海外文学の案内に、ユリイカに掲載された書評加えてをまとめたもの。

新聞記事は、860字という紙幅の関係で、書評というより、作品の概要と注目ポイントを紹介する案内という内容で、ここ5年の海外文学を俯瞰したり、本選びの参考になります。

もともと、二段組800ページの長編ロベルト・ボラーニョの『2666』の書評の引き受け手がなく、著者に依頼が舞い込んだという書評。

当初は、編集側からの依頼の本を紹介していたが、途中から候補作を提案するようになり選書段階から関わるようになったそう。

タイトルの「あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ」はロシア未来派の詩人フレーブニコフの詩からとったものであると同時に、好みや気の向くままに選んだ本以外からもたらされる豊かさを読者と分かち合いたいという思いが込められています。

カレン・ラッセル『レモン畑の吸血鬼』
ミハイル・エリザーロフ『図書館大戦争』
閻連科『愉楽』
ソフィア・サマター『図書館島』
ミハル・アイヴァス『黄金時代』
ジュリー・オオツカ『屋根裏の仏さま』
チャイナ・ミエヴィル『オクトーバー―物語ロシア革命』
レアード・ハント『ネバーホーム』
ジェローム・フェラーリ『原理―ハイゼンベルクの軌跡』
エドウィージ・ダンティカ『デュー・ブレーカー』
ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』
ミシェル・ウェルベック『服従』
W・G・ゼーバルト『鄙の宿』
クレア・ビショップ『人工地獄』
ダン・サヴェージ『キッド―僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか』
エマニュエル・キャレール『リモノフ』
ワシーリイ・アフチェンコ『右ハンドル』
アンドレア・ウルフ『フンボルトの冒険―自然という〈生命の網〉の発明』
ヘレン・マクドナルド『オはオオタカのオ』
ダーグ・ソールスター『ノヴェル・イレブン、ブック・エイティーン』
バーバラ・ビム『幸せのグラス』
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』
アンナ・カヴァン『われはラザロ』
トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』
ミュリエル・スパーク『あなたの自伝、お書きします。』
コリン・バレット『ヤングスキンズ』
ジョン・ウィリアムズ『ブッチャーズ・クロッシング』
ロベルト・ボラーニョ『2666』
レオ・ペルッツ『聖ペテロの雪』
イタロ・カルヴィーノ『最後に鴉がやってくる』
ルスタム・カーツ『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』
ハリ・クンズル『民のいない神』
ウラジーミル・ソローキン『氷』
リチャード・パワーズ『オルフェオ』
ジョージ・ソーンダーズ『リンカーンとさまよえる霊魂たち』
タンクレード ヴォワチュリエ『貧困の発明 経済学者の哀れな生活』
甘耀明『鬼殺し』
残雪『最後の恋人』
パク・ミンギュ『ピンポン』
マイク・ライトウッド『ぼくを燃やす炎』
マヤ・ルンデ『蜜蜂』
ジュール・ヴェルヌ『蒸気で動く家』
ロード・ダンセイニ『ウイスキー&ジョーキンズ』
マイケル・オンダーチェ『ビリー・ザ・キッド全仕事』

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