イ・ミンション著 すんみ・小山内園子訳「私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない」

イ・ミンション著 すんみ・小山内園子訳「私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない」(タバブックス)¥1700+税

2016年にソウルの繁華街にある江南駅で起きた“女性なら誰でもよかった”という動機で女性が刺殺された事件。

古い習慣の中で抑圧されていた女性たちは、これをきっかけに、可視化された女性嫌悪、性差別に対して声をあげはじめました。
著者は、言語や翻訳の専門家の立場から、実践的な言葉の問題として差別について語る上での問題点と対処例をこの本で示しています。フェミニスト論というより、技能書、マニュアルです。

差別について話すとき、これまでの社会習慣や危機回避・処世術として女性自身が意識的/無意識的に受け入れてきた抑圧や恐怖について解明しながら、自らに苦痛や我慢を強いることを防ぎながら、効果的に語る方法を実践的に提示します。

外国語の文法や基本例文を覚えたら、作文や会話で使いながら身につけるように、あるいは、水泳をはじめるときに水に対する恐怖を取り除き、基本フォームを習ったら体が覚えるまで練習するように、実践可能な技能書、会話術の書として読むことができます。
性差別を(特に男性)と語る場合の問題パターンが挙げられているので、きっと使えるフレーズ、しっくりくる受け答えがいくつかみつかると思います。

独立系の新興出版社から発売され、韓国フェミニズムムーブメントのきっかけになった話題の本です。女性が声をあげはじめたお隣の国のこれからにも注目。

内容ーーー

日本の読者のみなさんへ イ・ミンギョン
はじめに

Ⅰ. セクシストに出会ったら 基礎編

0.あなたには答える義務がない
―話すのを決めるのはあなた
1.心をしっかり持とう
―差別は存在している
2.「私のスタンス」からはっきりさせよう
―フェミニストか、セクシストか
3.「相手のスタンス」を理解しよう
―セクシストか、フェミニストか
4.断固たる態度は必要だ
―あなたを侵害するものにNOを
5.あなたのために用意した答え
―何もかも「女性嫌悪」!
6.効果がいまひとつの言い返し
―セクシストに逆効果な対応とは

Ⅱ. セクシスト(にダメ出しする 実践編

7.あなたには答える義務がない、再び
―きっぱり会話を終わらせる方法
8.それでも会話をつづけるのなら
―誤解している相手との会話法
9.いよいよ対話をはじめるなら
―あなたを尊重しはじめた相手との会話法
10.話してこそ言葉は増える
―練習コーナー
11.ここまでイヤイヤ読んできた人のためのFAQ

四六判228pages タバブックス