月刊ドライブイン vol.01 ¥463+税
交通網の発展とともに、街道沿いにできた駐車場つきの食堂やみやげもの店、ドライブイン。
近年、輸送の幹線が高速道路に移ったり、休憩所も商業施設化したり、道の駅の奮闘などで、昔ながらのドライブインは姿を消しつつあるが、ライター業の一方でインタビュー誌を自費出版してきた橋本倫史は2011年頃から、ドラインブインを巡る旅に出てインタビューを開始する。
学生時代に免許をとってバイクで旅した北海道を走り、酪農の町のドライブインで、ひとり店を切り盛りする90才すぎの女性に、町とドライブインの歴史、半生について尋ね、地元の図書館に残る資料でドライブインの始まりとピーク時の模様を遡る。
もうひとつのドライブインは、60年代にできた阿蘇のやまなみハイウェイの城山ドライブイン。九州横断道路としてオリンピックイヤーに観光のために作られたハイウェイのドライブインに嫁ぎ、旅行ブームやマイカーブームによる隆盛を経て、2012年の集中豪雨、16年の地震に見舞われる中、店の再開を望みながらおかみさんが逝ったことを再訪で知る筆者…。
ドライブインを支えてきたおかみさんたちを取材しながら、郷土史資料から歴史をひもといたり、当時の新聞などから、ドライブインの時代ーー道路が整備され、自動車が普及する60年代~70年代ーーを辿る。
「戦後という時間も七〇年以上が経ち、それをひとくくりに語るだけのリアリティを僕は持っていない。
でも、街道沿いに残るドライブイン一軒一軒の物語を拾い集めることで浮かび上がってくる風景があるのではないかと思ったのだ」
A5判44pages