日別アーカイブ: 2020 年 9 月 27 日

大平飛翔「消えない」「錆びた自転車」

大平飛翔「消えない」¥300+tax

存在感のない青年、時村くんが、ある日、夜道でひとりの見知らぬ女の子に声をかけられるのだが
彼女の正体は…

二人の出会いとつかの間のやりとりを寡黙に、ただただ描きこんだ短編。
そのタッチこそが印象的。

A5判20pages


大平飛翔「錆びた自転車」¥500+tax

本に託して届けたつもりの気持ちがあまりに伝わらず、伝わらないまま、あまりに待ち続けた挙げ句の返却の顛末。

何もないのに、思いだけがどんどん蓄積してゆく….その重みが愚直なまでに塗り重ねられたペンで描きこまれたベタや陰影から伝わってきます。

B5判18pages

安田謙一「ライブ漫筆」 装画・イラスト:辻井タカヒロ

安田謙一「ライブ漫筆」 装画・イラスト:辻井タカヒロ (誠光社)¥1500+tax

「ロック漫筆家」安田謙一が「ミーツ・リージョナル」に連載中のライブ評「人間ライブが資本主義」をまとめたもの。2013年5月から2020年5月までの間の85本を収録。

音源が残っていない越路吹雪の公演について書いた演芸評論家・安藤鶴夫の文章を読んだときに、その音が聞こえたきたように、あるいは紅白歌合戦の実況をAMラジオで聴いていた子供の頃、沢田研二が曲の途中で行った鳩を出すマジックを伝えた「沢田さんが鳩を出しました」を耳にした瞬間のように、
曲目や演奏が大事なのは承知のうえで、”そこじゃない”ライブのライブたる部分までを綴った名人芸のメドレーです。

コロナ禍での制作は、みんなで密になって声をあげていた、ライブの当たり前を「何でもないようなことが、幸せだったと思う」作業でもあったそうで、ひょっとするとポストコロナ、新しい生活が定着した後、本書は未来の民俗学的資料になったり、これからの音楽体験の愉しみを模索するヒントになるかもしれません。

掲載ライブ(下記は一部・全体は目次画像参照)
バート・バカラック/恵比寿★マスカッツ/エルヴィス・コステロ/水谷千重子/KIRINJI/民謡クルセイダーズ/クレイジーケンバンド/宇崎竜童/シャムキャッツ/憂歌団/ものまねショウ/松浦真也の吉本新喜劇/MOCKY/ジェフ・ミルズ/ピチカート・ワン/柴田聡子ほか

A6判262pages (誠光社)
辻井タカヒロの挿画部分はリソグラフ印刷になっています。