月別アーカイブ: 2019年7月

台湾発ドキュメンタリー漫画アンソロジー「熱帯季風 Monsoon vol.3 安静的戦地」

台湾発ドキュメンタリー漫画アンソロジー「熱帯季風 Monsoon vol.3 安静的戦地」(慢工出版 Slowork publishing) ¥3000+税

台中を拠点にするSlowork publishingがタイトル通りに東南アジアのアーティストたちのドキュメンタリー漫画を集めた雑誌Monsoon熱帯季風。
3号目は、その地理的な縛りを少し離れ、抽象的なテーマ「安静的戦地」(静かなる戦場)を掲げます。

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冒頭の必読古典作品紹介のコーナーでは、フランスで90年代のコミックムーブメントを牽引した作家の一人David Dの自伝的BDで
てんかんに罹った兄との関わりと描いた「大発作」と、オーストリアのUlli Lustがパンクスだった自身の17才当時を描いた
「If Today Is the Last Day of the Rest of Your Life」を紹介。
日本の映画監督・原一男の「ゆきゆきて神軍」も出てきます。

『異郷人』は、パレスチナで戦場の取材を続ける記者Versusの原作に新鋭漫画家の高妍(Gao Yan)が 作画を担当。

『安静的戦地』は鐘聖雄による、ベトナム人出稼ぎ労働者の失踪に関する報道を元にした漫画で、テクストを鐘聖雄が担当、アーティストの曽耀慶が作画を担当しています。

今回もそれぞれの作品にあわせて紙と印刷方法を変えた、サザイナー何佳興による美しい造本になっています。
ペンでなく筆を多用した作画、カリグラフィーにも通じたデザイナーによる造本設計…と味わい深い魅力に溢れています。

26cm×18.5ccm 158pages English/Chinese
カラーページが大半で、折り込みページやシルクスクリーンの綴じ込みページあり。


空想自叙伝をグラフィックノベル化 DIEGO LAZZARIN 「AMINOACID BOY AND THE CHAOS ORDER」

DIEGO LAZZARIN 「AMINOACID BOY AND THE CHAOS ORDER」 ¥ 2315+税

舞台美術を専攻した後、映像ジャンルで活動し、フランスのLe Dernier Criから画集も出版したイタリア人アーティストDiego Lazzarinの初グラフィックノベル。

自身の半生を、人間の行動を理解するために地球に送り込まれたエイリアンになぞらえた空想的自叙伝。
金属肉の有機的構造物として神によって作れたAmino(最初は、ちょっと根本敬の描くタケオ似)は、個々に生存理由を持ち欲望と意志を持って生きる人間を理解すべく神によって地球に送り込まれる。
そのミッションのために彼はDNAまで人間や動物に同化させグイグイと彼らの世界に入り込んでゆくのだが…。

17cm×24 cm 140pages フルカラー