月別アーカイブ: 2019年6月

3D スコープで見る北朝鮮写真集 Matjaž Tančič「3DPRK」 (2nd edition)

Matjaž Tančič「3DPRK」 2nd edition(Jiazazhi press)¥4444+tax

北京在住のスロベニア人写真家Matjaž Tančič(マティアシュ・タンチチュ)によって2014年に数回にわたり訪れた北朝鮮で撮影された作品群。

ツアーガイド、学校の生徒たち、お店の店員や、清掃員、新婚カップル、空手家、アコーディオン奏者など、様々な人々が、ゆかりの場所で写真におさまっており、双眼鏡のような付属のグラスに、写真をセットして一枚一枚鑑賞します。

映画ポスターが背景になっていたり、街並や建物にもレトロ感があふれ、ディテールまで味わい深いです。
昔の絵はがきのような印刷の粗い仕上げも、その空気にマッチしています。

Matjaž Tančič(マティアシュ・タンチチュ)
1982年生まれ。北京とリュブリャナ(スロベニアの首都)を行き来しながら活動。
雑誌「Mladina」でフォトジャーナリストとしてキャリアをスタート。
2009年、 グーグルフォトグラフィープライズで最終選考に選出される。
2012年、スロベニアプレスアワード受賞。
2013年、ソニーワールドフォトグラフィーアワードの3D部門において受賞。

上海のJiazazhi発行。

233mm x 70mm x 68mm、シルクスクリーンプリントのケース入り。(English/ Chinese)
66枚の3Dカードと、ブックレットとグラスが入っています。マグネット式でふたがとまります。

大人ごはん vol.3 「ひとりの時間を考える」

大人ごはん vol.3 「ひとりの時間を考える」(Incline)¥1000+tax

クラウドファンディングと取材で2年の歳月をかけて完成した「大人ごはん」第3号。

「日々の暮らしは、盛んに報道されるセンセーショナルな事件、ドラマチックな愛憎劇、大文字の政治経済、美しくおしゃれに整えられた暮らしとは程遠く、もっと雑多で、淡々としたものの積み重ねでできています」(前書きより)というわけで、編集長の足のむくまま気のむくままに出会った、その日常が気になる方たちに取材しています。

第一特集「ひとりの時間を考える」は、植本一子、ツレヅレハナコ、高橋順子の3人の女性が登場。
パートナー亡き後のひとりごはん、あるいはひとり晩酌の達人…、それぞれのひとりの時間との向き合い方を食を通して聞きます。

第二特集は「小豆島で農村歌舞伎を観てきました」。
島の人たちによる島の人たちの娯楽「農村歌舞伎」を通して、まかない・おもてなし弁当作りを含めた舞台裏や村の暮らしを見つめ、文化とコミュニティの関係について考えます。

ほか「何食べていきてる?」には、ラテンアメリカ文学の旦敬介と画家の門内ユキエ夫妻宅でのアフロブラジル料理、鶴谷香央理の漫画「元気が出るもの」などなど。

A5判112pages


Tetsunori TAWARAYA 俵谷哲典 「FINGERPRINTS」

Tetsunori TAWARAYA 俵谷哲典 「FINGER PRINTS」(COLOUR CODE)¥2500+tax

カナダのトロントを拠点とするリソの工房+発行元COLOUR CODEから出版された、リソグラフジン。

MONITOR、TELESCOPE, BONOCULARSに続く作品で、透明な表紙に指紋のプリント、その下にはリソの多色刷りがあって、重なることで複雑な絵柄と配色を作り出しています。

細かい点描を含む不思議なクリーチャーたちのデッサンを蛍光ピンクやイエローといった鮮やかな色を含むプリントがランダムな大きさの紙片にプリントされコイルで綴じられており、プリントもブックデザインも凝りに凝った一品です。

19cm×24cm 32pages 4色刷り 650部限定
(各ページ4色印刷ですが、色の組み合わせはページごとに異なります)

mini kus! #78 キクチヒロノリ Hironori Kikuchi 「House to House」

mini kus! #78 キクチヒロノリ Hironori Kikuchi 「House to House」 (kus!)¥370+tax

ラトビアのコミックアンソロジー Kus!が本誌とは別に発行する、1アーティストの1作品を24ページの小冊子で紹介するmini kus!シリーズからキクチヒロノリの作品が出ました。

「House to House」家の中に飾られている家の絵画。その家を訪ねると、そこには、また別の家の絵があり…と家から家へと巡る旅。
コミックを描くときのポップなキャラクターや色使いの中にアルケミカルなモノクロな家やモチーフが出てきます。

A6判24pages

中西章文 遺作集「夢の途中」

中西章文 遺作集「夢の途中」(青林工藝舎)¥1650+税

1982年ガロでデビューから、90年まで同誌に作品を発表しながら、志し半ばの99年に42才の若さで他界した中西章文の遺作集。

中西文章は57年高知生まれ。
高校卒業後に上京、79年頃から『駅弁ひとり旅』でおなじみのはやせ淳の元でアシスタントを勤め、82年「夢の中」でガロにてデビュー。
8年間に11本の作品を発表し、97年に帰郷して闘病生活を送る中で2本の作品を描くも、念願の単行本化が叶わぬまま他界した。

師であるはやせ淳が作品をまとめて発行することを企画、twitterで遺族や関係者の連絡先を探す呼びかけが拡散され、没後20年にあたる2017年、単行本化が実現。

ガロに掲載された11本と闘病中に描いた未発表作2本に加え、アシスタント仲間や家族、編集人のはやせ淳の文章が収録されています。

デビュー作「夢の中」も、闘病中に描いた掌編「ベラスケスの視線」ともに、夢と現実、虚像と実像とが入れ籠のように重なり、視点の転換が続くうちに虚実の区別がつかなくなってゆく状況を描き込んでいます。

A5判240pages
はやせ淳先生の献辞とサイン入り