中西章文 遺作集「夢の途中」

中西章文 遺作集「夢の途中」(青林工藝舎)¥1650+税

1982年ガロでデビューから、90年まで同誌に作品を発表しながら、志し半ばの99年に42才の若さで他界した中西章文の遺作集。

中西文章は57年高知生まれ。
高校卒業後に上京、79年頃から『駅弁ひとり旅』でおなじみのはやせ淳の元でアシスタントを勤め、82年「夢の中」でガロにてデビュー。
8年間に11本の作品を発表し、97年に帰郷して闘病生活を送る中で2本の作品を描くも、念願の単行本化が叶わぬまま他界した。

師であるはやせ淳が作品をまとめて発行することを企画、twitterで遺族や関係者の連絡先を探す呼びかけが拡散され、没後20年にあたる2017年、単行本化が実現。

ガロに掲載された11本と闘病中に描いた未発表作2本に加え、アシスタント仲間や家族、編集人のはやせ淳の文章が収録されています。

デビュー作「夢の中」も、闘病中に描いた掌編「ベラスケスの視線」ともに、夢と現実、虚像と実像とが入れ籠のように重なり、視点の転換が続くうちに虚実の区別がつかなくなってゆく状況を描き込んでいます。

A5判240pages
はやせ淳先生の献辞とサイン入り