日別アーカイブ: 2016 年 2 月 26 日

台湾でみつけた本やzine (3) MURAI短編漫畫自選集

murai短編漫画自選集

自主制作〜一般単行本、展覧会など広く活動する漫画家MURAIさんのMangasickでの展示にあわせて、同店で作られた中訳の台湾版作品集。B6判48ページの小さな冊子で、「ムチープーシャアダン」「お礼に卵をあげよう」「白日夢」「ナスカ」などの短編を収録。

ペンネームからして、年齢や性別不詳な感じのムライさんですが、作品の舞台も”アジアのどこか”や”異国”の雰囲気のせいか、中訳されたセリフも絵柄に馴染んでいます。Mangasick店長で、高野文子さんの「棒がいっぽん」や五十嵐大介「リトル・フォレスト」などの訳者でもある黃廷玉さんが訳を担当し、日本側からはキッチュの編集者の呉塵罡氏が文字編集で加わり、言葉と文字の置き換えへの配慮が感じられます。

murai短編漫画自選集

台湾でみつけた本やzine (2) Formosa Bookstore Guide Map 2016 福爾摩沙書店 地圖手冊

Formosa bookstore guide map

Formasaとは台湾の別称。漢字で福爾摩沙と書きます。この冊子は、台湾独立書店文化協会による、台湾全土のインディペンデントな書店のガイドブック。新旧の新刊・古書店を、外観写真、営業時間や住所などのデータと短いコメントで紹介しており、巻末には地図がついているので、台湾の書店巡りには便利です。

formosa bookstore guide map

formosa bookstore guide map

台湾でみつけた本やzine (1) 正興聞 No.2

日本のzineや本を展示販売する台北のMangasickさんのイベント「我們活在Zine(與其他)的地獄裡」で行った台湾でみつけた、楽しい本や雑誌を少し紹介します。

正興聞

まず、台湾の古都、台南は中正区の”正興街”周辺のお店が集まって、町おこしのための資金調達を目的に創刊されたタウン誌「正興聞 」の第二弾の日本語版。仙台のブックカフェ・火星の庭の前野久美子さんに教えていただいたのですが、 まず編集会議とかターゲット読者層とかマーケッティングとおよそかけ離れているのにびっくり。かといって読書を置いてけぼりにせず、屈託なく正興街と”俺たち”のよさを紹介しています。

まずは、巻頭の編集長の言葉ーー

創刊の際の注意事項が引用されていますが

正興聞 編集長の言葉

発売から一週間で500部を販売したそうですが、「600冊になる前、僕たちは実力を見通されたくないため、そこでとめました。(楽しんだことでよし!)」

こうして、2号目は「できる限りプロを目指すほか、限界を破ることも求めています」とのことで、なんと英語版や日本語版を制作。表紙にも「やるしかない!! 世界と繋がるために雑誌を作るのが大変」の文字が見えます。

ご近所のお店の料理上手な女将さんたちを起用しての表紙と得意の家庭料理の特集、家電量販店のキャンペーンで休日にコーヒーの無料配布を行い近所のカフェが影響を受けた事件の顛末、台南市政府からの広告依頼にお手上げな様子やら、おばあちゃんの日本語講座(”〜から、しょうがない”、という言い回しの例文に”私はきれいだから、しょうがない”なんていうのがあったりして!)、 わがまち正興街への愛とおもてなし精神にあふれた本です。ちょっとアバウトな誌面づくりや日本語も微笑ましく、このおおらかさや屈託のなさに、ツッコミを入れる事がいかにみみっちいかと思えるくらい清々しくエネルギッシュなタウン誌で、読んだら正興街に行きたくなります。

正興聞

正興聞

正興聞