日本のzineや本を展示販売する台北のMangasickさんのイベント「我們活在Zine(與其他)的地獄裡」で行った台湾でみつけた、楽しい本や雑誌を少し紹介します。
まず、台湾の古都、台南は中正区の”正興街”周辺のお店が集まって、町おこしのための資金調達を目的に創刊されたタウン誌「正興聞 」の第二弾の日本語版。仙台のブックカフェ・火星の庭の前野久美子さんに教えていただいたのですが、 まず編集会議とかターゲット読者層とかマーケッティングとおよそかけ離れているのにびっくり。かといって読書を置いてけぼりにせず、屈託なく正興街と”俺たち”のよさを紹介しています。
まずは、巻頭の編集長の言葉ーー
創刊の際の注意事項が引用されていますが
発売から一週間で500部を販売したそうですが、「600冊になる前、僕たちは実力を見通されたくないため、そこでとめました。(楽しんだことでよし!)」
こうして、2号目は「できる限りプロを目指すほか、限界を破ることも求めています」とのことで、なんと英語版や日本語版を制作。表紙にも「やるしかない!! 世界と繋がるために雑誌を作るのが大変」の文字が見えます。
ご近所のお店の料理上手な女将さんたちを起用しての表紙と得意の家庭料理の特集、家電量販店のキャンペーンで休日にコーヒーの無料配布を行い近所のカフェが影響を受けた事件の顛末、台南市政府からの広告依頼にお手上げな様子やら、おばあちゃんの日本語講座(”〜から、しょうがない”、という言い回しの例文に”私はきれいだから、しょうがない”なんていうのがあったりして!)、 わがまち正興街への愛とおもてなし精神にあふれた本です。ちょっとアバウトな誌面づくりや日本語も微笑ましく、このおおらかさや屈託のなさに、ツッコミを入れる事がいかにみみっちいかと思えるくらい清々しくエネルギッシュなタウン誌で、読んだら正興街に行きたくなります。