月別アーカイブ: 2011年7月

Le Tampographe Sardon(ル・タンポグラフ・サルドン)

Le Tampographe Sardon

ショパンやドラクロワ、オスカー・ワイルド、モディリアニ、エディット・ピアフ、そして没後40年を迎えたばかりのジム・モリスンも眠るパリ東部の墓地、ペール・ラシェーズ(このサイトで墓地巡りやお墓参りもできます!)近くに、スタンプ創作のサルドンのアトリエはあります。ここで彼は、コンピュータからプレス器、グラインダー、電動ノコなどを使ってオリジナルスタンプを制作しているのです。

stampenstein

(ボリス・カーロフ版のフランケンシュタイン、作品名:Stampenstein  サルドンのサイトよりお借りしました)

彼のスタンプは古いポルノグラフィの中のイラストや、フランケンシュタイン(ボリス・カーロフバージョン)やバンパイア(クリストファー・リーバージョン)を使ったちょっとクラシックな趣きのものもあれば、口に出しすのも憚られるお下品な言葉やメッセージのシリーズがあったり、そうかと思うと彼の故郷の街並と人々とか“奇妙な果実”のなる樹木のような胸を打つ景色、あるいは人や動物などをパートごとに分解して押しながらいくらでも動きや大きさをを変えられる不定形なものもあって、スタンプを押す人も彼の創作や悪戯に参加する楽しさを味わえるのです。上のサルドン自身が持って見せている骸骨のスタンプもパーツが別れているので、自由に骸骨を走らせたり踊らせることができて、何通りにも押してみたくなります。

Le Tampographe SardonLe Tampographe Sardon

(貴重な初期の手彫りスタンプを、実際に押してもらう)

かつては、ゴムに彫刻刀で直接、彫っていたそうですが、最近は、絵柄をフィルムに転写、それを元に凸型を作成。この凸型を使ってさらに固い型を作り、この型にゴムを当て熱を加えながらプレスしてスタンプのゴム部分を作ります。できあがったゴム部分は形に沿ってハサミでカット、強力な両面テープで台に固定します。木製の台はゴムの形にあわせて糸鋸でトリミングするこもあれば、金属製の台のものを使うこともあったりで、作品によって違います。

Le Tampographe Sardon

(ゴムを整形するための凹型)

Le Tampographe Sardon

(工房の中は、スタンプの持ち手や台でいっぱい)

さて、サルドンは、サインに代わるマイはんこをみんなが持っている日本に興味を持っていて、自身のスタンプが海を渡って日本に行くことを喜んでくれました。彼は自身のブログでも「特別注文は受け付けない」と明言し、自身の作りたい絵柄やオリジナルのみを制作してますが、ラインナップの中から遠く日本に旅立つスタンプの細部を微調整したり奇麗に包装して用意してくれました。ひとつひとつ、うまくゴムに型が刻まれているか、台との組み合わせはどうするか、毎回アレンジを加えながら手作業で仕上げます。

Le Tampographe Sardon

(作業する匠)

Le Tampographe Sardon

(展覧会では、大小様々なスタンプそのものもオブジェとして展示されますが、そんな展示品も工房のあちこちに)

と、アトリエのお話が長くなりましたが、次回はタコシェの店頭でお求めいただけるスタンプを紹介します!お楽しみに。

2009年に、パリのLa Maison Rougeの部屋をスタンプでいっぱいにした展示“Usage de Faux”(画像をクリックするとその迫力が少し伝わるかと)

平山亜佐子純粋個人誌 「趣味と實益 第壹號」

趣味と實益 第壹號

平山亜佐子純粋個人誌 「趣味と實益 第壹號」¥500

『20世紀 破天荒セレブ ありえないほど楽しい女の人生カタログ』、『明治 大正 昭和 不良少女伝 莫連女と少女ギャング団』などの著書を持つ平山亜佐子さんが創刊した純粋個人誌。執筆、編集、デザイン、すべてを一人で手がけています。

テーマは自分中心主義。”自分で見たもの聞いたもの感じたもの考えたものを信用する、それのみに生きるのが本誌の提唱する自分中心主義” とのことで、その精神の根底には、明治の奇人たち、『大菩薩峠』を執筆する一方で夥しい自費出版を行なった中里介山の個人雑誌『峠』、あるいは反骨のジャーナリストで生涯雑誌を出し続けた宮武外骨らのスピリットが流れています。また文字や見出しのデザインなども、明治なテイスト。

内容は平安時代から現代まで落書(らくしょ)の歴史を総まくりする「落書」、明治の奇人に自分中心主義を学ぶ「明治奇人生活誌」、兎吉(筆者のぬいぐるみ)のお見合い相手募集の「つりがき」、電話にまつわる奇妙な話を集めた「電話奇譚」、初めての場所を探検する「剽碌お目見得探検」、言葉で現代を探る「当世流行語辭林」、その他「不真面目広告」「自分中心俚諺集」漫画「すかたん商會」など。

A4判20P(表紙含む)

イラスト集 Pierre La Police 「ATTATION!」

ATTATION!表紙

イラスト集 Pierre La Police 「ATTATION!」(Editions Cornélius) ¥1575

作者ピエール・ラ・ポリスは、パリ在住の作家ですが、顔写真や生年や出生地をはじめとしたプロフィールも公開されていない謎の存在です。20年ほどのキャリアがありますが、テキストのみのインタビュー記事やコメントを目にすることはあっても、自身がメディアに登場したことはありません。かといって孤高の存在ではなく、むしろ、そのアノニマス性によって、漫画、イラスト、コラージュ&ビデオアート、現代美術(個展、グループ展)と様々なジャンルやメディアで活動、昨年にはiphone用のコミックも発表しました。

ピエール・ラ・ポリスの世界については、数年前になりますが、雑誌AFTER HOURSのALTERNATIVE COMICのコーナーに紹介された山田祐史さんの文章を引用してご紹介しましょう。「彼が作り出す世界は、ジャーナリズム、さまざまなジャンルの大衆文化、B級フィルム等の記憶から生まれたひとつの”宇宙”だと言えます。決してシリアスになりすぎず、ナンセンスで可笑しくてキッチュ、素朴さも漂う作風が斬新であり、それらの作品にはメッセージ性、告白、個人的見識などは見られず、イラスト、写真、テキスト、映像などを使った、観る人が独自に解釈することにより、その作品は展開を続けてゆく仕掛けが施されています」

このイラスト集は98年に出版され、長らく再版を待たれていましたが、編集者、作家ともに初版で心残りがった部分も含めて大幅に改訂しての再登場となりました。

ATTATION!

ATTATION!

ATTATION!

14cm×16cm 96P

また、同時に他の旧作も改訂して出版されています。

l'acte interdit

Pierre La Police「Nos meilleurs amis et l’acte interdit」(Editions Cornélius) ¥1470人間にとっての最良の友、わんちゃんをはじめとした動物たち。アニマル・ラバーであるピエール・ラ・ポリスが、わんちゃんたちへの接し方や禁忌事項を図解します。途中、突然、ゾウアザラシの説明が挿入されたり、我らが友、鳥たちのイラストなども入っています。愛らしくも、何考えてるのかなー、な表情や仕草の犬たちが印象的な、キモカワイイ系動物イラスト集。
14cm×16cm 96P


なお、ピエール・ラ・ポリスが初期から描いてきたフォンゴールとテミステクル兄弟が活躍する冒険コミックシリーズの最新ストーリーが、この作家にとっての初のiPhone/iPad用コミックとして昨年、発売になりました。お試し版がこちらからご覧になれます。

les practiciens de l'enfernal

フランス語バージョン

英語バージョン


BLACK PAST

BLACK PAST

BLACK PAST(シャドウ・クラスタ)¥1500

新時代のミクスチャーマガジン。これまで語られなかったBLACK PAST(黒歴史)を語るというコンセプトのもと、多岐にわたる年代、ジャンルの書き手たちが、歴史を検証、新たに書き上げる事を目指した文芸系雑誌。

内容は—-
【対談】宇野常寛×虚淵玄 『すれ違いの先にある奇跡——キャラクターの死と倫理・表現空間とセクシュアリティ・新たな時代の物語』
【小説】十文字青『BLACK CROSS BLUES 黒†青』挿絵:Tomo
【小説】間宮緑『Re-play:「博士と怪人」』挿絵:諸本めおと
【批評】坂上秋成『流体現実の時代——インターネット以降の世界認識について』
【小説】杉田u『Dark Past』
【小説】ケタ『パロディライン』
【インタビュー】中森明夫『「祭り」としてのアイドル——松田聖子から『AKB48』まで』
【小説】王雀孫『ヴィーナス・ハルシネーション』挿絵:ロウ
【小説】森田季節『黒歴史少女アルル』挿絵:朝倉颯
【批評】村上裕一『受胎の記憶——ループと忘却のメカニズム』
【座談会】
『Girls! Boys! 覆面黒歴史座談会』’90s〜’00sカルチャー年表付
【小説】しねあい『ふつうの言葉で』
【批評】橘一成『成熟と上演、あるいはレッテルからの逃走』
【小説】不見湍『我が名は†curaudo†』
【エッセイ】田村柑橘『リア充とエロゲ——処女厨を超えて』
【漫画】街田竹生『むりゃかみゆうの不詳』

【レビュー】
『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(峰尾俊彦)
『僕は友達が少ない』(峰尾俊彦)
『残酷な神が支配する』(唐沢衣織)
『淫魔の乱舞』(峰尾俊彦)
『リリィ・シュシュのすべて』(八木皓平)
『アントワーヌとコレット/二十歳の恋』(しねあい)
『放浪息子』(八木皓平)
『さよなら絶望先生』(しねあい)
『君が望む永遠』(唐沢衣織)
『天使のいない12月』(唐沢衣織)

A5判232P

昭和プロレスマガジン24「ワールド大リーグ 第3弾!」

昭和プロレスマガジン24

昭和プロレスマガジン24「ワールド大リーグ 第3弾!」¥1000

昭和44年の第11回ワールド大リーグ戦。二番手の座に甘んじていた猪木が「今年は優勝を狙う」と宣言して開幕した大会だが、相変わらず本命は馬場で、猪木は対抗と予想された。しかし、猪木は四つ巴の決勝に勝ち、初めてワールド大リーグ戦を制覇し馬場に並ぶ。しかし、その裏にあった事情とは…?

あけて45年、前年後の猪木の優勝でBI時代が到来。今回のリーグ戦では、馬場はトロフィー奪回、猪木は連勝と、それぞれの思いを胸にリーグ戦に臨んだが、番狂わせの末に勝利を掴んだのは…?

46年、馬場と猪木はどちらが強いか? ファンの関心がこの一点に集中する中、年二回制がはじまり、リーグ戦は過酷に。星を争い、両者同点で決勝に進出したその日、控え室で日本プロレス史に残る事件がおこる。
46年末、馬場と協力して経営改革を目指した猪木は、「会社乗っ取り」のレッテルを貼られ、選手会から除名、日本プロレスからも追放処分に。猪木が抜けた日本プロレスは、馬場と坂口の二枚看板で新路線を打ち出すが、TV局との確執も芽生え、遂に崩壊。これが最後のWリーグとなった。

ーーという昭和44年から47年のワールド大リーグを振り返りながら、ついには、妄想の第15回ワールド大リーグを語る番外編まで収録。試合のデータと結果を網羅した、ワールド大リーグ戦熱戦譜も収録。

B5判106P