ヴァージニア・ウルフをみんなで読む文芸同人誌「かわいいウルフ」

文芸同人誌「かわいいウルフ」¥1800+tax

難解な文体を持つモダニスト
フェミニズムの先駆者
レズビアン
自殺を遂げた非業の作家

そんなイメージを持つ作家ヴァージニア・ウルを読み進むにつれ、シリアスな中にも、かわいさ━━ユーモアや残酷さ、乙女な心や、生を追究する明るさ━━を発見した編・著者 小澤みゆきが多くの人とウルフを読むことで、そのかわいさと魅力をわかちあうために発行した文芸誌。

作家や作品の紹介にはじまり、作品毎の頻出語の分析と視覚化、ウルフの翻訳家・片山亜紀のエッセイ、同じく翻訳家・西崎憲インタビュー、『灯台へ』のディナーに登場するメーンディッシュ「牛肉の赤ワイン煮込み」を作品(とgoogle)を手がかりに再現するお料理コーナーまであるかわいい内容。

エッセイ、インタビュー、テキスト分析、音楽、料理、創作、翻訳、まんが、イラスト、20人以上の寄稿者の感想文と様々なアプローチでウルフを味わいます。

内容情報
まんが:Who is Virginia Woolf?
解説:ウルフ長編作品への招待
分析レポート:形態素解析でみるヴァージニア・ウルフの文章
『ダロウェイ夫人』の音楽たち〜万霊節の調べ〜 翻訳家 片山亜紀氏 寄稿エッセイ
わがままの中にある普遍性〜西崎憲インタビュー〜 翻訳家 西崎憲氏 インタビュー
創作:『滾り(たぎり)の瞬間 moments of boiling』
調理レポート:『灯台へ』の料理を作ってみた
翻訳:『Kew Gardens キュー・ガーデン』
特集①感想企画:ウルフのティーパーティー 寄稿者21名によるウルフ作品の感想文
特集②鑑賞企画:オルランド・ア・ラ・モード
小説『Orlando』の映像および舞台化の5作品のレビュー
翻訳:『夫・レナードへの最期の手紙』

B5判160pages(カラーページあり)

佐賀の商店街を記録したZINE 東 成実「呉服元町商店街」

東 成実「呉服元町商店街」 ¥1500+tax

著者は佐賀市在住のWebデザイナー。
かつて佐賀市四大マーケットと呼ばれたバラック商店街の中で唯一、現存する呉服元町商店街『中央マーケット』に惹かれ、その景観を記録しようと、フィルムカメラ片手に、商店街の一軒一軒のお店を取材して、その成り立ちやこだわり、続けてこられた理由などをまとめました。

丁寧にききとったお店の話は、それぞれ素朴で、たとえばーーー
退職して夫婦ではじめたカフェ、学生たちの食卓として連日開店する定食屋、「ぼけ防止」と言いながら作業を続ける餃子屋etc.という具合ですが、並べてみると、平成から令和にかけての商店街の姿が浮かびあがってくるよう。
また、年季の入ったメニュー、飲食店でみんなに読まれた漫画本棚、店主の趣味を反映して店内に貼られた写真、雑多な備品が無造作に収まった店の奥など、著者が切り取った風景もすべて商店街らしく懐かしい。

A5判82pages

さくらいみか「旅に出たくな〜る しまね’19」

さくらいみか「旅に出たくな〜る しまね’19」¥650+tax

島根生まれ、デイリーポータルZ等のライターをしたり、趣味の少女雑誌収集が高じて『りぼん』の同人誌を発行したり、編み物作品を作るさくらいみかさんによる島根(+鳥取西部)ガイド。
島根を案内するのは、著者手編みの人形キャラです。

表紙に「どうでもいい情報満載」とある通り、通常のガイドブックにはない情報、島根県人の本音やピンポイント情報が気前よく放出されています。

冒頭「島根ってどこ?」では、他県民に「砂丘あるところですよね」と言われがち、とその地味さを自覚して、鳥取との位置関係を説明して、地図上の位置確認からスタート。あわせて、マップに松江城と城下の言い伝えを盛り込むなど豆知識を授け、他の地域からのアクセス情報も丁寧に説明しています。

ほかにも、東京23区920万人に羽田空港ひとつ、対して人口124万の山陰に空港5つ問題からの空港使いこなし術。山陰にしかないチェーン店の酒屋「酒ゴリラ」の看板のゴリラが店ごとに微妙に異なること、島根でしか買えないパンやお菓子、はるさめ入り茶碗蒸しなどのローカルフード紹介etc.とエピソード満載。

多くは、著者が長年当たり前に思っていたけれど、島根を出てはじめて全国的には普通じゃないことに気付いた、ご当地ものたち。

いくつかの観光コースもご提案。現在のmapでなく80〜90年のmapもあったり、地元目線の貴重な島根が体験できます。

A5判46pages

八画文化会館叢書vol.11 けんちん『ゲタバキ団地観覧会』

八画文化会館叢書vol.11 けんちん「ゲタバキ団地観覧会」(八画編集部)¥1000+tax

ゲタバキ団地とはーー
昭和30年代、1階に商店や事務所、上層階に住宅が入った建物をゲタバキ住宅と呼んだことから、著者のけんちん氏は同時代に建てられた公団や公営住宅の総称として「ゲタバキ団地」を採用。

覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、著者は電気風呂愛好家として、この八画文化会館叢書シリーズのvol.9で200軒の電気風呂を案内していますが、同時に団地が好きすぎて、自身も団地に住み、200人以上の団地引っ越しをサポートしてきた団地ソムリエでもあります。

そんな氏が関西圏を中心に2005年から2019年にかけて撮影したゲタバキ団地の写真とともに、その魅力を伝えます。
一階の商店の看板、エントランスのタイル、屋上の遊具、地形にあわせた壁面デザインなど、ディテールまで、個々の物件の注目ポイントを紹介しています。

街中に多くあるゲタバキ団地。これを知ったら、まち歩きがこれまでよりちょっと楽しくなるかも!?です。

A5判 横綴じ 32pages オールカラー

八画文化会館叢書vol.10 服部亜弓『モーテル☆エロチカ 消し忘れ廃墟ラブホテル選集』

八画文化会館叢書vol.10 服部亜弓『モーテル☆エロチカ 消し忘れ廃墟ラブホテル選集』(八画出版部)¥1000+tax

著者の服部亜弓さんは、ここ10年ほどラブホの撮影をしているが、この昭和遺産のオープン当時の姿を知ることの難しさを痛感していた。

しかし、経営者の夜逃げなどで、備品もそのままに突然廃墟となった物件は、閉鎖当時の様子のみならず、崩れ落ちた部分から、さらなる過去に遡れることに気づき、廃ラブホの撮影にのめり込むようになったそう。

昭和40~50年代に列島各地で花開いた「ラブホテル」は、「サカサクラゲ」と呼ばれた連れ込み宿から進化し、アメリカの「モーテル」にも影響を受けつつ、日本特有の性愛空間として定着。
だが、1985年には、風営法改正による規制で「ラブホテル」から「ファッションホテル」へと移行し、回転ベッドや鏡張りなど趣向を凝らした部屋は減って、簡素化していった。

およそ20年の間に威容を誇った昭和遺産ラブホテルは、チープなのにゴージャス。ユーモラスなのにエロチック。
時代と顧客のニーズに応えて進化し、独特の性愛文化を繰り広げた。

現存するラブホが、ラブホの到達点なのに対して、廃ラブホは、進化の途中で、その時代の姿をとどめた遺跡。タイムトリップ空間に漂う、性愛のエネルギーとユーモアを味わうことができます。

A5判 横綴じ 32pages オールカラー