八画文化会館叢書vol.10 服部亜弓『モーテル☆エロチカ 消し忘れ廃墟ラブホテル選集』

八画文化会館叢書vol.10 服部亜弓『モーテル☆エロチカ 消し忘れ廃墟ラブホテル選集』(八画出版部)¥1000+tax

著者の服部亜弓さんは、ここ10年ほどラブホの撮影をしているが、この昭和遺産のオープン当時の姿を知ることの難しさを痛感していた。

しかし、経営者の夜逃げなどで、備品もそのままに突然廃墟となった物件は、閉鎖当時の様子のみならず、崩れ落ちた部分から、さらなる過去に遡れることに気づき、廃ラブホの撮影にのめり込むようになったそう。

昭和40~50年代に列島各地で花開いた「ラブホテル」は、「サカサクラゲ」と呼ばれた連れ込み宿から進化し、アメリカの「モーテル」にも影響を受けつつ、日本特有の性愛空間として定着。
だが、1985年には、風営法改正による規制で「ラブホテル」から「ファッションホテル」へと移行し、回転ベッドや鏡張りなど趣向を凝らした部屋は減って、簡素化していった。

およそ20年の間に威容を誇った昭和遺産ラブホテルは、チープなのにゴージャス。ユーモラスなのにエロチック。
時代と顧客のニーズに応えて進化し、独特の性愛文化を繰り広げた。

現存するラブホが、ラブホの到達点なのに対して、廃ラブホは、進化の途中で、その時代の姿をとどめた遺跡。タイムトリップ空間に漂う、性愛のエネルギーとユーモアを味わうことができます。

A5判 横綴じ 32pages オールカラー