みなさん、ラトビアってどこにあるか御存知? バルト海に面した、バルト三国の真ん中、リトアニアとエストニアに挟まれた国で、1991年にソ連から独立して、今はEUに加盟しています。
ソ連から独立後も、ラトビアのコミックは子供向け、歴史もの、風刺が中心で出版点数も少なかったのですが、そこにやって来たマンガ好きのスイス人が、芸術系コミックを紹介しようとして2007年に創刊したのがこのkuš!だそう。外国の有名作家にも原稿を依頼し、内外の作品を広く掲載する中で、自国の作家も育ち、展示やワークショップも行なううちに、後続のコミック誌も生まれ、規模こそ小さいが活況を呈してきたラトビアのコミックシーン。その地域性とエネルギーが伝わるコミック誌kuš!とš!が届きました。kuš!とラトビアのマンガシーンについては田中六大さんが発行する漫画同人誌uzo♯11に特集が組まれていますので、詳しくはそちらをご参照ください。
二誌の違いは、kuš!を発行する上で経済的なピンチに見舞われたとき、なんとか継続しようと、サイズを小さく(それに伴い送料も削減)したのがš!。どちらもタイトルはラトビア語で「ねえ」「ちょっと」という意味だそうです。判型こそ、小さくなりましたが、収録作品とペース数は増え、クオリティはアップ! 編集人のDavidさんは今後も状況に応じて雑誌の形も実験してゆきたいと前向きです。
二誌はこれまでにキクチヒロノリ、田中六大、香山哲など日本の作家の作品も収録しているほか、場所柄か、東欧、北欧の作家も多く紹介しています。言語は英語で、印刷はオールカラー。コミックというより絵本、あるいはBDっぽい作品も収録されていてヴァリエーションも豊富、グラフジンとしても楽しめて、と〜ってもお得です。
上の画像は最新号のš!10号。表紙はポーランドの漫画家Maciej Sieńczyk。この号は「sea stories」がテーマなのですが、この人、大型船の船長が手袋をとると指が赤児になっていて、イクメンしながら航海するなんていう妙な状況を渋いタッチで描いていたり、謎の漂流物が海から流れ着くお話を描いていたり…と妙です。
また、日本から参加した香山さんは2色で描いていて、いつものタッチと違った印象が。
バックナンバーも含めて入荷しましたので、各号についての詳しくはこちらをご覧ください(¥300〜¥800)。お求めのお客様にkuš!特製ポストカードをプレゼントします!