泉信行「漫画をめくる冒険」 ¥1680
漫画を巡るでなく”めくる”冒険、というタイトル通り、漫画をめくること、ページの連続しての漫画、コマからコマへと移動するその視覚効果、そしてそこに印刷されているものが表現する可能性…を論じた評論集。漫画というメディアを本、紙、線と点…という物質に解体する一方で、それを描き、鑑賞する側の視点を論じる新しい漫画論。
基礎理論にはじまり、作品論や作家論を超えてメディアやコミュニケーションの問題へと視点は広がってゆく。この巻で扱う主な作家は、浦沢直樹、小林尽、津田雅美、曽田正人。
サイトPiano Fire での漫画評論が注目され、ユリイカなどに執筆する泉信行の個人出版。
A5判164P
コンテンツは——
序 ページをめくる時々の体験――「本」という形状にひそむ力
〈本〉の形をした漫画
漫画の読み/描き
第一章 イメージをめぐる様々な視点――漫画には何が描かれ、何が描かれないのか?
読者には何が見え、何が見えないのか?
「誰でもない者」の視点
「誰か」の視点
コラム*同化と異化による主観表現
第二章 それは誰の主観(プライヴァシー)なのか?――漫画を「絵」で読む
私的な世界を描く
小林尽の手による世界――『School Rumble』のイメージ
描き手の意識、絵の意識、読み手の意識
津田雅美の手による世界――『eensy-weensyモンスター』のイメージ
ストリーム・オブ・コンシャスネス
すばるのつれていく世界――曽田正人『昴』のイメージ