泉信行「漫画をめくる冒険 下巻」(ピアノ・ファイア・パブリッシング)¥1890
好評のうちに、品切れとなり、長らく増刷が待たれていた「漫画をめくる冒険」が、電子書籍時代にあえて、コマのシークエンスから成り立つ漫画という表現を改めて考えるべく?増刷されました。
本書は、漫画の読み方ではなく、漫画の読まれ方を検証する漫画読本。上巻では漫画を紙とインクからなるメディアとして、ページやコマの連続の中でいかに知覚されるかについてを述べた基本編でしたが、下巻ではさらに掘り下げて、より多くの作品を例に挙げ、コマの流れ、構図、パース、アングルなどを見ながら、作品の読まれ方を検証している。
これは、頭から湯気が出ていたら怒りとか、電球が絵がレテいたらヒラメキというようなお約束とは違ったレベルで、漫画がどのように知覚と結びついているかを考察したもの。
内容は—–
下巻の序 眺め・ながら・得ていくもの
ながく[永]
ながむ[詠]
ながれ[流]
第三章 視線の力学
読者のまなざし
アングル 傾いていく視線
ベクトル 向きとその強さ
『アレクサンドロス』の東制と西帰
第四章 漫画の読み方
漫画の文法
主体と客体
読み方から見え方まで
対談 夏目房之介×泉信行
終章 時間における人間
読書のおもいで
情報と情熱の保存
巻末資料 Ⅰ 空間すなわち時間
Ⅱ アングル揺動の八要因
Ⅲ ベクトルの効果
下巻解説「”あなた”のための漫画論」(さやわか)
みなもと太郎、スコッチ・マクラウド、板垣恵介、山野一、萩尾彬、荒木比呂彦、本宮ひろ志、長谷邦夫、手塚治虫、菅野博之、津田雅美、夏目房之助、浦沢直樹、島田英次郎、高野文子、安彦良和、ジョージ・マクマナス、吉住渉,赤松健、島本和彦、富樫義博、今日マチ子、乙ひより、大友克洋、高橋留美子、小林尽、富沢ひとし、赤塚不二夫らの作品を例にあげて検証。
A5判216P