西潟浩平「カストリ雑誌創刊号表紙コレクション」(カストリ出版)¥2900+税
戦後間もなく(昭和21〜24)に発行された大衆紙は、性的モチーフを実話や物語、読物などに含み、3号も出ずに消えてゆくことから、3合飲むと酔いつぶれる闇市のカストリ焼酎になぞらえて、カストリ雑誌と呼ばれました。
後年、粗悪な造りで闇市に出回った風俗雑誌というイメージが強いこれらの雑誌ですが、戦中に貯蔵していた紙を使用したり、それまでの出版流通システムがGHQにより閉鎖されたなどの理由で闇に出回ることになったり…と、実物は後づけのイメージと異なるものもありヴァラエティ富んでいました。
そんな短期間に溢れ出して消えていった、様々な大衆紙の創刊号の表紙ばかり116点を西潟コレクションから選び、オールカラーで1ページ1表紙で収録。戦後の解放感と吹き出る欲望、カオティックな文化状況が伝わってきます。
当時人気の、あるいは後に活躍する作家やアーティストたちが多数寄稿していて、巻末のリストや資料を見るのも発見の連続です。