日別アーカイブ: 2021 年 11 月 12 日

翻訳文芸誌 BABELZINE vol.2

翻訳文芸誌 BABELZINE vol.2 ¥1500+tax

英語圏を中心としたSF・幻想文学・変な小説を翻訳するサークル「バベルうお」の同人誌。

最近の作品を中心とした翻訳小説11編と、主宰者である白川眞氏の評論「単数Theyの発明と翻訳の可能性」を収録しています。

:::収録作品は::: (概要はバベルうお様のサイトより)

◎G・V・アンダーセン「シュタインゲシェプフ」藤川新京 訳
石に生命を吹き込む創造者ギルドの駆け出し職人ハーツェルが初めての仕事で修復することになったのは三百年前の巨匠ドゥルアンの手がけた異形の石像アンブロワーズだった。戦間期の揺れるドイツを舞台に青年の友情と恋を描くほろ苦い物語。世界幻想文学大賞受賞作。

◎マシュー・クレッセル「ラブ・エンジン・オプティマイゼーション」藤川新京 訳
あなたのことはあなた自身よりもよく知っている。主人公サムはクラウドから収集した個人情報を駆使してジェーンの心を射止めようとするが思わぬ横槍に見舞われる。ビッグデータ時代の恋愛をテーマにしたテクノ・サイコ・サスペンス。

◎ホリス・ジョエル・ヘンリー「アウター」平海尚尾 訳
放射線によって歪められた美しいビーチ。放射線によって歪められた住民たち。心優しい少年トゥーゼンは底知れぬ怒りを抱えて怪物アウターへと変貌していく。カリブ海から届いた鮮烈な短編。

◎フラン・ワイルド「輝きのみが残されて」藤川新京 訳
見たものを次々と植物に変身させてゆく奇妙な夢。人間嫌いの植物学者・ガニット博士は夢の謎を解き明かすために立ち上がるが……バラードやカヴァンを思わせる冷たく美しい終末譚。

◎セス・フリード「メンデルスゾーン」白川眞 訳
あの夏、ぼくの父さんは巨大アライグマとライバルになった。平穏な日常を取り戻すべく、家族はアライグマと対決する。もう戻らない少年時代の、ひと夏の冒険。

◎ラフィアット・アリユ「いつまでも夫に愛されるための五八のルール」西村取想とシタギセール=カオル 訳
夫に愛されるために呪術の力を借りたイマンが体験する恐怖の夫婦生活。散りばめられたブラックユーモアに思わず笑っていたはずが、絶望的な幕引きに思わず心が翳る。

◎A・T・グリーンブラット「バーニング・ヒーロー」藤川新京 訳 人体発火能力を望まずして手に入れた公認会計士のサムは人助けを志して地元の能力者チームに参加するがうまくいかないことばかり。果たして彼は憧れのヒーローになれるのか?ユーモラスで少し切ない異色のスーパーヒーローストーリー。《ネビュラ賞ノミネート》

◎レティー・プレル「新鮮な空気」藤川新京 訳
肉体のくびきを逃れて仮想世界に移住した母と息子。永遠の生と自由を約束され何一つ不満のない暮らしを送るはずだった二人だが…… シンギュラリティ後の世界でなお手に入らないものをめぐる親子のすれ違いを描き、重い読後感を残す物語。

◎ジェラール・クラン「終止符」西村取想 訳
いまだ知られぬ居住可能惑星を探して宇宙空間を漂う宇宙船のなかで起こる怪奇現象。後にフランスSF界の重鎮となるクランが若かりし頃に思い描いた、「物語」のその先とは!?

◎アンディ・ドゥダック「イムノ・シェアリングの時代の愛」川端冷泉 訳
致死的な感染症が蔓延した世界で、愛はどのようにその形を変えるのか。来るべき一つの未来の可能性を描く、病気と愛の物語。《ユージイ・フォスター記念賞ノミネート》

◎ヤツェク・ドゥカイ「レム外典」藤川新京 訳
再構成された作家の仮想人格、それが外典。ポーランド、ドイツ、日本で生み出された三体のスタニスワフ・レムの外典のたどる数奇な運命をつづる架空の本の書評という形で描かれた現代ポーランドSF界の俊英による究極のレム・トリビュート!

評論○「単数Theyの発明と翻訳の可能性」白川眞
今話題の単数Theyについて。翻訳に向き合うにあたって単数Theyをどう捉えたらいいのか、実際にどのように使われているかとともに解説。

A5判 246 pages
発行:週末翻訳クラブ・バベルうお
2021.11.5
※発行にあわせてvol.1も増刷されました