日別アーカイブ: 2021 年 11 月 11 日

Mayeul Vigouroux 「La Manticore ラ・マンティコール」

Mayeul Vigouroux 「La Manticore ラ・マンティコール」¥3273+tax

タイトルのManticoreとは、ライオンの胴と人の顔と蠍の尾をもつ伝説上の人喰い怪物。

暴君である女王ユスラの出産に立ち会った夫グフランは、妻のミソジニーを怖れ、とりあげられたばかりの女児を見るや「立派な男の子だ!」と妻を労い、すぐさま兄弟のもとに子供を送り出し、男子として養育させる。シャミルと名付けられたその子は、叔父のもとで大事に育てられ、礼儀作法から学問、戦術などの教養を身につけてゆくが、衣服の下に隠されたもう1つの自分のアイデンティティに苦悩するようになる。

成長して、母を訪ねたシャミルは、突然、許嫁がいる同盟国の王女ジョティとの政略結婚を言い渡され、国を出るものの、破いた衣服に自身の血を塗り、Manticoreに襲われて亡くなったことにして、姿を消して漂泊の旅に出た。
行き着いた町の公衆浴場で、居合わせた女性に、男性でもあり女性でもある自身の苦悩を告白し、ケアを受けたシャミルは、風の噂で自分が去った後、母が病にたおれ、国が乱れ、ジョティも姿を消したことを知り、彼女を探し出し、陰謀が渦巻く城へと乗り込む。

自身のアイデンティティや運命に苦悩する一方で、学びや癒しを得ながら、邪悪な力と闘い母と向き合い、自らの居場所を探すシャミルの様子を、架空の国を舞台に寓話のように描きます。シャミルの不安や苦悩やときとしてManticoreの姿になって登場します。

著者のMayeul Vigourouxは、ENSAD(国立高等装飾美術学校)に学び、神話や寓話、中世の装飾写本などに着想し、卒業制作のためにこの作品を制作。細部に施された様々な装飾模様の美しさや、絵巻物のように一つのコマに異なる時間のレイヤーが重ねて描かれているのが印象的です。
Atelier Quintalで多色リソ印刷されています。

34cm x 27 cm ミシン綴じ 48pages フランス語

宇野亞喜良画集 KALEIDOSCOPE

宇野亞喜良画集 KALEIDOSCOPE(グラフィック社) ¥4500+tax

2021年現在、88才の宇野亞喜良先生ご自身が選んだ「俳句」から着想を得て描いた新作ばかりの画集。

キャンバスに石膏を塗り、下地をつくってから描き重ねるという独自の手法を用い、2020年から2021年の約2年間で描き上げたた44の新作を収録。
大島依提亜のデザインで、コールドフォイル、蛍光色、色紙に白刷りなど印刷技巧を凝らして、グラフィックデザイナーでもあるアーティストの持ち味を遺憾無く発揮した豪華画集となっています。

タイトル通り、光や見る角度によって表情が変化したり輝く仕様になっています
初版特典として、ポストカード3葉が封入されています。

:::目次:::

蛇の衣/百合/風神/笑い猫/ラビリンス/龍の耳/花筏/ピアソラ/月光/大運河/雛罌粟/寒けれど/ふる池や/桃の邑/薔薇/オフェーリア/笛稽古/初蝶/亀鳴き/孔雀/襤褸市/蛞蝓/くちなは/松蝉/龍の落し子/柳の芽/象の皺/新月/雪をんな/金色の午後/枯山/仏法僧/遠き雷/夏色/西鶴/の雪女郎/夏帽/後の月/犀/恋/半長靴/薔薇盗人/秋の暮/蝸牛

俳句はいま 高橋睦郎
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A4変形 上製 56pshrd 函入り
2021.11.25