日別アーカイブ: 2019 年 2 月 5 日

脇田敦「SMAP 王の物語」

脇田敦「SMAP 王の物語」¥2000+税

ロフトプラスワンの店長を経て、ラジオの株番組のディレクターや日本語教師を経てサッカー関係の著作もある脇田敦による斬新なSMAP論。

ジャニーズ帝国のスターシステムの中で、マッチ、光GENJIについて「王者」に君臨し、国民的人気を得たSMAP。
奇しくも、昭和天皇の病状が公表された88年に、Jrによる結成されたSMAPは、今上天皇が生前退位の意向を示した16年に解散しました。
著者は、ジャニーズの王たちも、王室や皇室のように、アーティスト個人の意志を超えたシステムや合意の中で生まれ、やがて退く存在とみなし、その過程を、社会や歴史、皇室、日米関係そしてSMAP自身が発信する歌詞などから、縦横無尽に読み解いてゆきます。

次代の王「嵐」が台頭し、トップ交代劇の中で「No1にならなくてもいい、もともと特別なOnly one」と、自らの存在感を改めて示したのが「世界に一つだけの花」であるように、SMAPの世界観を作るクリエーターとともに築いた王の物語を振り返ることで、「嵐」の活動休止もまた、少し違ってみえてくるかもしれません。

皇室や王室でも、絶対君主から、交流と平和に軸足を移したようにアイドルの在り方も時代とともに変化してきました。
時代の終わりとシンクロして、テレビの中の王たちが退位するこのタイミングにぜひ!

A5変型218pages

月刊ドライブインが一冊にまとまりました! 橋本倫史『ドライブイン探訪』

橋本倫史『ドライブイン探訪』(筑摩書房)¥1700+税

日本中に道路網が巡らされ、人と物の行き来が盛んだった時代、サービスエリアやパーキングとは別に、車やバイクで乗り付け、食事や休憩をとれる個人経営のお店がロードサイドに多数誕生しました。
しかし、地方の衰退や通信網の充実、旅客産業の発達…と様々な事情で平成が終ろうとする人、ドライブインも年老いた経営者たちの引退とともに姿を消してきています。

著者の橋本倫史は、2011年から北海道から沖縄までのドライブインに出向き、店の成り立ち、時代背景、歴史を丁寧に聞き取り、リトルプレス『月刊ドライブイン』に毎号2店舗ずつ12号にわたって、時代の移り変わりに翻弄されなが夫婦や家族で店を続けてきた人たちのレポートしました。

8年の時と、12冊のリトルプレスを通してまとめて取材内容を、単行本化にあたり加筆修正して、一冊にまとめました。

【目次】

まえがき
プロローグ
酪農とドライブインの町 直別・ミッキーハウスドライブイン

Ⅰ ハイウェイ時代

かつてハイウェイ時代があった 阿蘇・城山ドライブイン
東海道はドライブイン銀座 掛川・小泉屋
クルマで巡る遍路道 ドライブイン27
千日道路の今 奈良・山添ドライブイン

Ⅱ アメリカの輝き

一九六六年のピザハウス かつて都心にドライブインがあった
グッド・オールディーズ 平塚・ペッパーズドライブイン
オレンジ色の輝き エイアンドダブリュ株式会社
沖縄で感じるハワイ 本部町・ドライブインレストランハワイ

Ⅲ 花盛りの思い出

観光バスはどこまでも 能登・ロードパーク女の浦
レトロなオートレストラン 群馬・ドライブイン七輿
トラック野郎のオアシス 福島・二本松バイパスドライブイン
ドライブインのマドンナ 千葉・なぎさドライブイン

Ⅳ 移りゆく時代に

きたぐにの冬 青森・わかばドライブイン
目的地はドライブイン 栃木・大川戸ドライブイン
一本列島の夢 児島・ラ・レインボー
採掘のあとに 筑豊・ドライブインかわら

Ⅴ 店を続けること

霧に包まれた道 津山・ドライブインつぼい
雪に覆われた道 南魚沼・石打ドライブイン
海辺 岩手・レストハウスうしお
川辺 小山・ドライブイン扶桑

エピローグ
戦後 鹿児島・ドライブイン薩摩隼人

あとがき
参考文献

四六判320pages
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橋本倫史(はしもと・ともふみ)
1982年生まれ、広島県東広島市出身。ライター。
構成を担当した書籍に坪内祐三+福田和也『羊頭狗肉 のんだくれ時評65選』(扶桑社)、谷川俊太郎+箭内道彦+宮藤官九郎『ボクらの時代 自由になる技術 80歳詩人の言葉を聞く』(扶桑社)、宇野常寛+濱野智史『希望論―2010年代の文化と社会』 (NHKブックス)、向井秀徳『厚岸のおかず』(イースト・プレス)などがある。
2007年、リトルマガジン『HB』を創刊。その後もいくつかのリトルプレスを手がけ、2017年春に『月刊ドライブイン』を創刊。

新生総合マンガ誌 キッチュ 第2号 -特別リレー漫画/ガロのまんが道/台湾特集-

新生総合マンガ誌 キッチュ 第2号 -特別リレー漫画/ガロのまんが道/台湾特集-(ワイズ出版)¥1200+税

同人誌から、発行元をワイズ出版に移し、流通販路を広げての新生キッチュの第2号、通算8号目!

今回は、藤原カムイ企画、世代を超えた5人の作家、藤原カムイ 花輪和一 ほし埜、日高トモキチ 阿部洋一によるリレーマンガ『須弥山』が実現!

また台湾カルチャー紹介も充実、台湾でブームの廃墟探索をはじめ、ANTENNA牛魚 / 葉明軒 / nyaroro /李隆杰ら台湾作家探訪、台湾の歴史を描いた連環画を紹介。

ガロのまんが道は、前回のガロ元副編集長白取千夏雄氏に続いて、現在アックスを発行する青林工藝舎の手塚能理子インタビューを掲載。

【マンガ作品】
『須彌山』藤原カムイ 花輪和一 ほし埜、日高トモキチ 阿部洋一
『夏天吃挫冰』ムライ
『宝くじ女子!』透村
『真面目なんかじゃない』瀬戸響生
『パピリオと死体泥棒第3話』おがわさとし
『SHAPESHIFTER』R・リンドストロム
『らくがき』シゲカンジ
『創世記第11章』ひさうちみちお
『浦島太郎子』Morpho
『やらせろばかやろこのやろ』石川次郎
『今夜、バーで』画:風狸けん 原作:川上大典
『大海原に×をこけば』もぷ子
『遠く』森雅之
『12月の手紙』森環

【特別インタビュー】
●「“ガロ”のまんが道・後編 手塚能理子編」
取材・構成:呉 塵罡(ゴジンカン)

【台湾特集】
●巻頭グラビア『台湾の天外天劇場』廃墟探索部

●『台湾漫画家大探訪』
ANTENNA牛魚 / 葉明軒 / nyaroro /李隆杰
聞き手:呉塵罡(ゴ ジンカン) 構成協力:洪文茜(アカネ

●『台湾を描いた連環画を読む』加部勇一郎

【写真エッセイ】
「京都の死にたい場所」 吉村智樹
「視界の端〜モトコーに咲く花隈ソファーズ〜」市田響

【小説】
『なんば恵比寿座物語 第三話 ゴッドファーザー』 紺野まこと(イラスト:モツ子)
『国際探偵 — チェイス・オブ・ザ・ワールド 中編』關眼陣梧(イラスト:ヒノデエイジュン)
『『愛すべき廃人たち』浅倉俊樹(イラスト:沢渡鳶)』
『名探偵ブロッくんとお城のおばけ』土居豊(イラスト:鬼山龍宿)

【タイトル題字】 平田弘史
【表紙イラスト】 ANTENNA牛魚
【表紙デザイン】 セキネシンイチ制作室

A5判288pages