橋本倫史『ドライブイン探訪』(筑摩書房)¥1700+税
日本中に道路網が巡らされ、人と物の行き来が盛んだった時代、サービスエリアやパーキングとは別に、車やバイクで乗り付け、食事や休憩をとれる個人経営のお店がロードサイドに多数誕生しました。
しかし、地方の衰退や通信網の充実、旅客産業の発達…と様々な事情で平成が終ろうとする人、ドライブインも年老いた経営者たちの引退とともに姿を消してきています。
著者の橋本倫史は、2011年から北海道から沖縄までのドライブインに出向き、店の成り立ち、時代背景、歴史を丁寧に聞き取り、リトルプレス『月刊ドライブイン』に毎号2店舗ずつ12号にわたって、時代の移り変わりに翻弄されなが夫婦や家族で店を続けてきた人たちのレポートしました。
8年の時と、12冊のリトルプレスを通してまとめて取材内容を、単行本化にあたり加筆修正して、一冊にまとめました。
【目次】
まえがき
プロローグ
酪農とドライブインの町 直別・ミッキーハウスドライブイン
Ⅰ ハイウェイ時代
かつてハイウェイ時代があった 阿蘇・城山ドライブイン
東海道はドライブイン銀座 掛川・小泉屋
クルマで巡る遍路道 ドライブイン27
千日道路の今 奈良・山添ドライブイン
Ⅱ アメリカの輝き
一九六六年のピザハウス かつて都心にドライブインがあった
グッド・オールディーズ 平塚・ペッパーズドライブイン
オレンジ色の輝き エイアンドダブリュ株式会社
沖縄で感じるハワイ 本部町・ドライブインレストランハワイ
Ⅲ 花盛りの思い出
観光バスはどこまでも 能登・ロードパーク女の浦
レトロなオートレストラン 群馬・ドライブイン七輿
トラック野郎のオアシス 福島・二本松バイパスドライブイン
ドライブインのマドンナ 千葉・なぎさドライブイン
Ⅳ 移りゆく時代に
きたぐにの冬 青森・わかばドライブイン
目的地はドライブイン 栃木・大川戸ドライブイン
一本列島の夢 児島・ラ・レインボー
採掘のあとに 筑豊・ドライブインかわら
Ⅴ 店を続けること
霧に包まれた道 津山・ドライブインつぼい
雪に覆われた道 南魚沼・石打ドライブイン
海辺 岩手・レストハウスうしお
川辺 小山・ドライブイン扶桑
エピローグ
戦後 鹿児島・ドライブイン薩摩隼人
あとがき
参考文献
四六判320pages
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橋本倫史(はしもと・ともふみ)
1982年生まれ、広島県東広島市出身。ライター。
構成を担当した書籍に坪内祐三+福田和也『羊頭狗肉 のんだくれ時評65選』(扶桑社)、谷川俊太郎+箭内道彦+宮藤官九郎『ボクらの時代 自由になる技術 80歳詩人の言葉を聞く』(扶桑社)、宇野常寛+濱野智史『希望論―2010年代の文化と社会』 (NHKブックス)、向井秀徳『厚岸のおかず』(イースト・プレス)などがある。
2007年、リトルマガジン『HB』を創刊。その後もいくつかのリトルプレスを手がけ、2017年春に『月刊ドライブイン』を創刊。