脇田敦「SMAP 王の物語」

脇田敦「SMAP 王の物語」¥2000+税

ロフトプラスワンの店長を経て、ラジオの株番組のディレクターや日本語教師を経てサッカー関係の著作もある脇田敦による斬新なSMAP論。

ジャニーズ帝国のスターシステムの中で、マッチ、光GENJIについて「王者」に君臨し、国民的人気を得たSMAP。
奇しくも、昭和天皇の病状が公表された88年に、Jrによる結成されたSMAPは、今上天皇が生前退位の意向を示した16年に解散しました。
著者は、ジャニーズの王たちも、王室や皇室のように、アーティスト個人の意志を超えたシステムや合意の中で生まれ、やがて退く存在とみなし、その過程を、社会や歴史、皇室、日米関係そしてSMAP自身が発信する歌詞などから、縦横無尽に読み解いてゆきます。

次代の王「嵐」が台頭し、トップ交代劇の中で「No1にならなくてもいい、もともと特別なOnly one」と、自らの存在感を改めて示したのが「世界に一つだけの花」であるように、SMAPの世界観を作るクリエーターとともに築いた王の物語を振り返ることで、「嵐」の活動休止もまた、少し違ってみえてくるかもしれません。

皇室や王室でも、絶対君主から、交流と平和に軸足を移したようにアイドルの在り方も時代とともに変化してきました。
時代の終わりとシンクロして、テレビの中の王たちが退位するこのタイミングにぜひ!

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