日別アーカイブ: 2017 年 9 月 13 日

80年代台湾を描いた漫画+イラスト Gao Yan 高妍「1982」

Gao Yan 高妍「1982」¥1800+税

かつての台湾の何でもない日常や景色を描いた漫画小冊子とA4判ポスター集。

10葉のポスターには、今は台湾では絶滅してしまった台湾豹虎や高砂豹の別名を持つ雲豹や台湾犬などの動物たち、ローカルでレトロな風物とともに人々が描かれています。

作者のGao Yanは台北出身のデザインを専攻する学生。96年生まれの彼女が、古書店で働いているときに「これは6年前の私たちーーー」という書き込みとともに1982年+台湾人の名前が記入された、アメリカの写真家パトリシア・シモンズのPortraits of Taiwan in the year of dragonをみつけたことから、歴史の上では特別な年ではない82年を中継点に、写真家の視点や息づかいを感じとり、かつての台湾の何でもない日々が積み重なって作られた歴史、歴史に記録されない日々や自分の知らない台湾に思いを馳せ、情緒豊かにポスターを描きます。

また漫画冊子では「雨」と題して、台湾でたくさん目にするスクーターの情景の中に父と娘の姿を描きます。亡き祖母への父の想いを察しながら、その死を思い出させる事柄には触れずに、二人乗りの父の背中に顔をうずめる少女の姿から、他愛ない日常の中に人々の歴史があることを語りかけてくれます。

台湾には、親が亡くなったときに婚約中の子供は100日以内に結婚するか、1年先まで待つという
ならわしがあるそうで、これに従って自身の両親が祖母の死から間もなく結婚し、やがて作者自身が誕生した経緯に、生と死の連鎖を感じつつ、漫画の中でも歴史の一部をなす、何でもない日常を詩的に表現したのだそう。

漫画冊子 17.5×12.5cm 16pages
ポスター 27cm×19cm 10枚
英訳ペーパー 28×40cm
活版印刷厚紙ホルダー入り 29.7cm×19.2cm ポストカードカードつき

坂口尚「12色物語」

坂口尚「12色物語」(マンガ作品保存会)¥10000+税

1995年、49才の若さで逝去した漫画家・坂口尚の名作短編集「 12色物語」の新装復刻本。

緑のイメージから「生」をテーマに描かれた『朝凪』、白のイメージから孤高の芸術家魂を記した『雪の道』、黄のイメージから牧歌的で軽やかな恋を顕わした『ひまわり畑』など、12の色からイメージする、様々な人々、さまざまな国を舞台に紡がれる連作漫画。
坂口尚の圧倒的な画力、豊かな詩情、緻密な構成力をご堪能ください。

●坂口尚
高校在学中の1963年に虫プロダクションへ入社。
アニメーション作品『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『リボンの騎士』等で動画、原画、演出を担当した後フリーとなり
69年に漫画雑誌『COM』にて『おさらばしろ!』で漫画家デビュー。70年代後半の漫画界における”ニューウェーブ”の潮流の先駆的存在として活躍。24時間テレビのスペシャルアニメ『100万年地球の旅 バンダーブック』『フウムーン』等で、作画監督、設定デザイン、演出等を担当。
1980〜90年代に『石の花』『VERSION』『あっかんべェ一休』の長編3部作を発表した。

A5判 300部限定

本作を創作する際に作家がプロットや構成などをメモしたり、キャラクターの下描きをした創作ノートから構成した冊子「12色物語 創作ノート」、2016年の展覧会の展示作品に解説などを付したカタログ「はじめての坂口尚展」もございます。