月別アーカイブ: 2016年11月

リチャード・マグワイア「HERE」

リチャード・マグワイア HERE

リチャード・マグワイア著 大久保譲訳「HERE ヒア」(国書刊行会)¥4000+税

80年代前半に登場した、ニューヨークのポストパンク・バンド、リキッド・リキッド(LIQID LIQUID)のオリジナルメンバー(B)であり、イラストレーター、グラフィック・デザイナー、コミック・ブック・アーティストとして活躍するリチャード・マグワイア。

彼が、そのプロトタイプ「HERE」を89年に雑誌「Raw」に発表してから25年の歳月を経て発表した完全フルカラーヴァージョン。2016年アングレーム国際漫フェスティバル最優秀作品賞受賞。

日本版発売記念の安田謙一とのトークショーによれば、リチャード・マグワイアは1コマの中に、複数のコマを設けて異なる時代の同じシーンを描くという方法を、当時のウィンドウズ画面と、自身の父親が5人の子供たちを家の中の名時場所に同じフォーメーションで撮影して記録していた事から思いついたそう。

リチャード・マグワイア HERE

89年にRawに掲載されたオリジナル版

リチャード・マグワイア HERE

マグワイア兄弟の集合写真?も挿入された居間のシーン

Rawに掲載したものは、その手法を明確に提示した6ページのモノクロ版だったが、完全版は300ページとなり、作者が育ったニュージャージーを舞台に、本を開いた形を部屋のコーナーにみたてて
マグワイア一家の居間?も含めたひとつの部屋を通して、その過去=紀元前30億年50万年から、未来の22175年にいたるまでの壮大な地球の歴史を描いている。

25年の歳月をかけて、HEREを書籍として完成させたリチャード・マグワイアは今後、また別のテクニックを使ったVR版にとりかかっているそうで、HEREはさらに壮大な広がりを見せてくれそうです。

《国書刊行会の紹介文》
窓と作りつけの暖炉のほかには何もない部屋、左上には2014年という数字。ページをめくると、1957・1942・2007……と様々な年代の同じ空間が現れ、さらに異なった年代の断片が共存・混在していく。そして紀元前30億50万年から22175年まで、ある家族の記憶の数々が地球の歴史と一体となって圧倒的なビジュアルで奏でられていく――リチャード・マグワイア『ヒア』はある部屋の一角の物語であり、地球の黎明期から遥かな未来まで、この空間で起こる無数の出来事の物語である。コミック形式の画期的なヴィジョンの完成形として、このジャンルの最大の発明家の一人が送りだす、まったく新しい文学、究極のグラフィック・ノヴェル/アート・ブック、そして深遠なる哲学の書にして驚異の書物がついに登場!
*日本版特別附録:1989年オリジナル版・2000年版「ヒア」と、クリス・ウェアのエッセイなどを収録。

B5判変型300pages(国書刊行会)オリジナル版を含む小冊子つき。

リチャード・マグワイア HERE

トークショー Mangasick+キッチュ「台湾オルタナティブカルチャー事情

台湾オルタナティブカルチャー事情

台北の漫画喫茶/ギャラリーMangasickの二人のオーナー、黄廷玉さんと黄鴻硯さんをタコシェに迎え、近ごろ気になる台湾のオルタナティブカルチャーについて、同じく台湾出身で、漫画雑誌キッチュ編集長の呉塵罡(ジンカン)さんを通訳兼助っ人にお話を伺います。

mangasick店内

Mangasick。畳敷きの部分もある、貸本喫茶コーナー。

Mangasickは2013年に漫画喫茶として台北に開店。台湾をはじめ中国語圏のコミックに加え、日本のオルタナ系漫画・アートを紹介しながら、昨年からギャラリーを併設し、ムライ、真珠子、逆柱いみり、原田ちあき、池野詩織といった日本の作家を含めた展覧会を定期的に開催しています。

ほかにも、黄廷玉さんは高野文子や五十嵐大介、黄鴻硯さんは駕籠真太郎などの漫画作品の翻訳を手がけ、台湾の書籍流通サイトでも書評を発表したり、逆柱いみり画集「蜃楼紀」などの書籍の編集・発行、台湾のイラストレーター周依のイラストを用いたワンピースのプロデシュース…と、出版やアートの現場で様々な活動を行っています。

Mangasickは台湾と日本のオルタナティブカルチャーに通じ中文、和文で情報を発信する貴重な文化交流の場になっています。

一方、総合漫画雑誌キッチュ編集長・呉塵罡(ジンカン)さんは、京都を拠点にアカデミズムと出版の世界で日本と台湾の新旧の作家の(再)発見に力を注いでいます。

kitsch 7号

12月に発行予定の最新号。ワイズ出版が発行元となり全国流通になる新生創刊号。

このお三人に、日本の読者にわかりやすく、注目する台湾の作家や作品を具体的にあげながら、漫画、アート、音楽にまたがる台湾のオルタナティブシーンについてお話していただきます。

2016年11月19日(土)午後7時開始 (6時30分より開場)
タコシェにて
入場料 1200円(お茶菓子+小冊子つき)
定員 20名

トークショーおまけ

ゆう(玉)さんによるコミック小冊子と台湾菓子つめあわせ

1時間30分ほどのトークの後に、親睦交流タイムもありますので、お時間のある方はそのまま参加してください。

台湾ZINEコーナーで、台湾作家の作品をご覧いただいたり、ご購入いただけます。(台湾ZINEコーナーは11月15日〜20日の限定となります)

※なお、当日はイベントのため、一般の営業は18:00までとなります。

札幌発のホラー系年刊誌 花輪和一、森雅之、工藤正樹、根本尚、森環etc.「怪奇 2016年 創刊号」

怪奇 2016年 創刊号

「怪奇 2016年 創刊号」 ¥741+税

北海道在住の漫画家たちの作品で構成した怪奇ホラー系年刊漫画誌。
花輪和一が巻頭イラストを寄稿しているほか、編集発行人の工藤正樹をはじめ根本尚、なで拓瀬、池田匠ら漫画家も短編漫画を寄稿。
叙情的な少年少女漫画を描く森雅之や、絵本など手がける森環夫妻まで怪奇漫画に挑み、蔦木俊二やTECHNO MENSESなどのアルバムジャケットなどを手がける異色アーティストFumicsも参加。
文芸ものや怪奇系漫画古書エッセイもあり。
ホラー怪奇系の作家はもちろん、そうでない人も怪奇に寄せてのバラエティ豊かな作品集です。

A5判148pages

怪奇 2016年 創刊号 怪奇 2016年 創刊号 怪奇 2016年 創刊号

服部昇大「日ポン語ラップの美ー子(び〜こ)ちゃん」

日ポン語ラップの美ー子ちゃん

服部昇大「日ポン語のラップの美〜子ちゃん」¥500+税

70年代~90年代の雑誌の裏表紙を飾った懐かしの?ペン習字講座の広告マンガ「日ペンの美子ちん」の形をかりて、『今日のテラフォーマーズはお休みです。』などの漫画家・服部昇大が、初心者にもわかりやすく、マニアも納得な小ネタを効かせてネット上で発表した、日本語ラップのガイドを冊子にまとめたもの。

音楽フリーペーパー『UNGA!』に連載の日本語ラップ音源レビュー「あたらしい日本語ラップ」や、日本語ラップのパンチラインをクイズ形式で紹介する「日常で使える日本語ラップパンチライン」も収録。

日本語ラップを愛する美ー子ちゃんが、日本語ラップの先駆者いとうせいこうをはじめ、RHYMESTER、田我流、TOKONA-X、MSC、Creepy Nutsら、日本語ラップアーティストの名曲/名盤を解説してゆく。

A5判40pages

「本と町と人」をつなく雑誌 ヒトハコ 創刊号 2016年 秋

ヒトハコ 創刊号

ヒトハコ 創刊号 2016年秋(ビレッジプレス)¥900+税

本好きたちが、自分で選んだ古本を一箱ずつ持ち寄って、町のそこここで一日だけの本屋を開き、訪れた人たちに町歩きと本を楽しんでもらう『一箱古本市」。
2005年に東京・谷根千ではじまったこのイベントは10年の間に全国各地に広まり、地域の本好きたちの交流イベントへと成長。

イベントの発起人、ミスター一箱古本市ともいえる編集者の南陀楼綾繁と5人の地域編集者が10年間のブックイベントを通して築いたネットワークを軸に本から派生するさまざまなテーマを扱う雑誌「ヒトハコ」を創刊。
「本と町と人」をつなぐ、本の現場、町に根ざした本屋さんの誕生や、イベントの生成など、本のある現場からの声を届ける雑誌です。

目次

◆ホンバコ(エッセイ欄)
半空文学大賞について 岡田陽介
本屋で歌う 世田谷ピンポンズ
本と門と玉手箱 下村信人
街の本屋さんをつなげるサイト 中川充

◆特集 一箱古本市の楽しみ
・一箱古本市とわたし 石井ゆかり(『12星座シリーズ』)

・店主・主催者 なんで一箱古本市やってるの!?
田中あけみ 三木早也佳 オカノヨウコ 山本拡樹 石垣純子 荒澤久美

・ひと顔古本市 レインボーブックスさん 一箱古本市に200回出た男 構成 水野喜之

・助っ人さん座談会 一箱古本市を一番楽しんでいるのは私たちかも!?
古月 日田南 祭田よしこ 司会 ひな菊の古本

◆対談 アートブックターミナル東北 わたしの本づくり
ばったりたおれ屋×ぬまり 構成 清水真介

◆開店まで 第1回 富山 ひらすま書房
本を読まない人にこそきてほしい 本居淳一

◆一箱古本市徹底レポート 第1回
天神さんで一箱古本市(京都府長岡京市)
・全力でフツーを楽しむイベント 中村明裕
・店主さんの見た「天神さんで一箱古本市」 1003 book3355
・店主さんへのアンケート
・全箱ざっと見!+店主さんひとこと

◆わたしの本のまち
新潟県魚沼地方 おざわようこ

◆ヒトハコ解体新書
・啖呵売ふう「私のコアキーナ流儀」 放浪書房 富永浩通
・いろんな工夫 こんな箱もあります!
モロ古書店 Bar Book Box おねいもと

◆本のある一日
アスカ・O 亀貝太治 とろぶかずこ 佐藤ジュンコ tentent 樋口達也 くりもとみき 工藤陽之

◆熊本地震と本
・3か月後の日記
明日はどんな本が 舒文堂河島書店 河島康之
散髪に行く日 モラトリアム ナカムラ佳子
チェーホフ忌 伽鹿舎 加地葉
本を待つ人がいる 本熊本実行委員 木村晴美
まだ本は読めない BARてれすこ 古田雅義

・東京→熊本 移住する古本屋 古書汽水社 佐藤慶太

◆本屋が訊く本屋のこと 第1回
訊く人 Title 辻山良雄
答える人 汽水空港 モリテツヤ

◆メール対話 ブックイベントのはじめかた、区切りかた
Book! Book! Sendai 前野久美子× 海の見える一箱古本市 佐藤友理

◆地域雑誌の肖像 第1回
鹿児島市 『under’s high』編集長・植村隆博さん  聞き手 小村勇一

◆本+αの可能性 第1回 本と宿
長野 街に愉しいハコをつくる 栞日 菊地徹
佐賀 泊まれる図書館「暁」 ひとつ星 白石隆義

◆リレー連載 わたしの手放せない本 第1回
古本いと本 伊藤かおり 森絵都『カラフル』

◆対談 本が地域にできること
鎌倉幸子×南陀楼綾繁

◆一箱古本市の記録 2016年1月~8月

◆マンガ おたぐちのほんほん劇場(1)

◆6JUMBOPINSの妄想ブックフェス!
イラスト ひうち棚

A5判80pages