月別アーカイブ: 2012年5月

Isabelle BOINOT(イザベル・ボワノ)展 Usagi pour toi 福岡店

イザベル・ボワノ展 Usagi pour toi

パリをモチーフにしたイザベル・ボワノの展示が、福岡のデザイニング展2012(5/13まで)催しの一つとして、福岡・天神のUsagi pour toiで開催中です。

一見すると、ペン画のようなイザベル作品。しかし。よく見ると、薄い紙に極細のペンで描いたイラストを描線ギリギリにカットして貼付けたコラージュになっています。

たとえば、「のみのいち」と題された作品では、かぶりものを脱ぐように、無表情な頭部を取り外した人物あるいは人形の姿が描かれています。ちょっとシュールですが、イザベルが展示あわせて蚤の市で撮った写真をよく見ると、よく似た表情のお人形の頭部が…。頭だけのお人形を見たとき、イザベルの頭の中にはどんな物語が生まれたのでしょうか? 離ればなれになった体の事を思ったのでしょうか?

ちょっと、日常から逸脱したようでいて、実は日本旅行の手帳「Sumimasen」に見るように、独特の感覚で切り取られた実際のパリが細部までしっかりと描かれています。どうぞ、イザベルのパリをじっくり鑑賞してくださいね。今後、日本でも活躍の予感のイザベル。どうぞ、今のうちにチェックを。

マンガ 福士千裕「せんねんとせんえん」

せんねんとせんえん

福士千裕「せんねんとせんえん」¥800

市場大介が編集したアンソロジー「素敵」や漫画同人誌「ハッシュマグ」などに作品を発表している福士千裕の作品集。

自身のサイトに発表した作品に、描き下ろしを大幅に加えて収録したものですが、編集にあたって新旧を組み合わされ、様々な断片が起承転結に関係なく、どこからでも読めてどこで終るともないような構成になっています。特にネームを作るわけでもなく、基本的に下書きすることなく1コマ描いてはつぎの1コマを考えて描くというような制作方法で、ボールペンやマジックを使った独特の線や質感、しかも絵とオノマトペの文字の線の質感も近く、すべての境界が溶け合ったような、これまでの漫画の文法を越境した不思議な作品。

同時期に発行された、「全感覚」に短編が収録されているほか、表紙も飾っています。

B6判102P

アート系自主雑誌『全感覚 TOTAL SENSE 2012 spring』

全感覚

「全感覚  TOTAL SENSE 2012 spring」¥420

美術家で、美術小冊子『appel』を発行し、同名のカフェ・ギャラリーを経堂で運営していた高橋辰夫さんが創刊した新雑誌。2010年に「全感覚派宣言」を発表して以来、美術展やライブ、出版を行ってきましたが、今後は年二回の予定で、この「全芸術」 を感覚的に漂う雑誌『全感覚』を発行の予定だそう。

1号では、3.11以降、あえてこの問題に直接言及する事から距離を置く佐々木敦に、その著書「未知との遭遇」とからめて、未知のものを含めた対象との向き合い方を尋ねる。かつて『appel』で佐々木敦インタビューを予定しながら発表の機会を逸した事もあり数年越しの企画の実現。また、常に変化し、自らの作品を分析し歴史に位置づける稀有なアーティスト中ザワヒデキにインタビュー。
【コンテンツ】
全感覚派宣言
福士千裕 漫画「もろ磯」+表紙
河田政樹「春の本・本の春」
佐々木敦インタビュー「未知と遭遇する時。」
あんまり 漫画「記憶しかない人」
二艘木洋行 アート
安永哲郎「春の音楽・春のわかれ」
中ザワヒデキインタビュー「美術家中ザワヒデキとは何者か」
クマリネ「全感覚マンガ」

A5判50P

創刊 BOOK5

BOOK5

BOOK5「ひとりでつくる、みんなでつくる」(トマソン社)¥500

「マンガ文献研究」の編集・発行人でもある松田友泉が、マンガ文献だけにおさまらないテーマやネットワークなど、様々なメディアに関する情報や記事を集めた“雑誌”形式のジンを創刊。特集は「ひとりでつくる、みんなでつくる」。雑誌をはじめるにあたって、先輩編集人たちにこのテーマをぶつけています。

<目次>
特集
ひとりでつくる、みんなでつくる
対談:『趣味と実益』平山亜佐子×『おてもと』猪俣貴寛
インタビュー:編集室屋上 林さやか
エッセイ:夏葉社 島田潤一郎「何もしたくない。」

連載
既刊新刊(鳩野恵介/栗山新)
松田友泉「食わず嫌いのマンガメシ」
左岸洋子「きょうも移動日和」
のむみち/切貼豆子「豆&のむの番台トーク」
小山力也「新刊屋ツアー・イン・ジャパン」
宇田智子「古本屋開店記」
南陀楼綾繁「献本は忘れたころにやってくる」

A5判横 32P