月別アーカイブ: 2010年4月

トルコからやってきました! Masist Gul

masistgul1

masistgul3

masistgul2

masistgul4

masist4

トルコから、ご覧のように超個性的なアーティストの本が入りました!

Masist Gul(1947–2003):イスタンブールで生まれ活動した、アルメニア系アーティスト。300本を超える映画で脇役を演じる一方、ヴェールに包まれた私生活において膨大なコラージュやドローイング、詩を創作。しかし生前、その作品が展示、出版されることはありませんでした。80年代、彼は“Kaldirim Destani – Kaldirimlar  Kurdunun Hayati ”(Pavement Myth – the Life of the Pavement’s Wolf)という画期的な漫画形式の物語を創作、6巻からなるお手製本を作り上げましたが、これが2006年にイスタンブールのBASにより復刻され、初の出版となりました。

“Kaldirim Destani – Kaldirimlar  Kurdunun Hayati ”は、Masist Gul本人をモデルにした、ストリートに生きる男の物語。便所に捨てられ、魔女に拾われ、”便所ネズミ”と呼ばれて、虐待のうちに育った少年が、やがて魔女を血祭りにあげ、復讐し、ネズミでなく人間として生きようとするも、殺人罪でおたずね者となり、野犬と食べ物を争う路上&逃亡生活の果てについに捕まり、ムショ送りにされ…、といった波瀾万丈の人生が、なぜかストリートファイトを随所に挿入しながら、述懐されます。物語も常軌を逸してますが、バイオレンスなまでに力強い描写が圧巻。本の詳細については、また後ほど紹介します。

Stéphane Blanquet「La vénéneuse aux deux éperons」

veneneuse

Stéphane Blanquet「La vénéneuse aux deux éperons」(Editions Cornélius) ¥3150

「幸福の花束」「La Nouvelle aux Pis」に続く影絵物語で、テキストのない無言劇場。主人公の娘が、森に行くたびに、幻想の扉が開かれ、グロテスクな現実や性の目覚めと交錯し、白と黒の世界が虚実表裏一体をそのまま表現した不可思議な世界につれてゆかれます…。19センチ×26センチ 216P

veneneuse1

トレヴァー・ブラウンも自らのブログで影絵劇場ともいえる、この本とLa nouvelle aux pisを紹介。these two books were the most longed for and snapped up today – graphic novels told entirely without words and in silhouette – the books are also tactile delights with thick pages and recycled paper feelと言っています。

なお、今週末4月10日(土)午後3時より、タコシェにて、ステファン・ブランケのサイン会を行ないます。ブランケの出版ユニットUnited Dead Artistsから本を出している市場大介さんもゲストで参加の予定です。

東京スカイツリー専門誌登場! スカイツリーreport

skytree

スカイツリーreport no.1 2009冬  ¥200

引越を考え始めた時期に、スカイツリー建設計画を意識した編集人は迷う事無く、ツリーのお膝元に新たな物件をおさえ、工事の着工から完成までを見守ることに。今日のように塔が認められる前、つまり基礎工事からその模様を記録し、自らのブログ、スカイツリーtodayで公開中!

この創刊号では、基礎工事から240mまでの足跡を現場写真や塔の成長写真でしっかりレポート! 鉄筒の注入作業や夜間作業など、地元ならではの密着取材。さらには、地上観察に飽き足らず、ついにはウォッチャー仲間とヘリをチャーターして上空からの観察&撮影も敢行。また、スカイツリーを撮影するためのおすすめスポットの紹介や、地元の通だから知っている名所(というか知らないと確実に見落とすものばかり!)、スカイツリーが仲間入りすることになる世界の先輩塔レポートも。第一回は、塔の中の塔?エッフェル塔! もちろん現場主義の編集人は、この塔のためにパリを初訪問。その構造についてしっかり観て、人々をひきつける魅力のワケを分析しています。
B5判14P

なお、次号はタワー建築に大活躍のクレーンを特集したり、ドバイや上海の塔をレポートするそうで、ますます楽しみです!

天久聖一「味写入門」、味わい深く売れています

誰にでもある失敗写真を単なる失敗で終らせずに、そこから何かを読み取る—そんな発想をする人は決して少なくないのかもしれません。

photoratee

たとえば、Thomas Leluは「Le manuel de la photo ratée」(2007年 )で、実例をあげながら失敗の種類を、トリミングの間違い、無意味なテーマ、物悲しい表情…etc. というように分析、分類してゆきます。楽しかったパーティの1シーンも、後で写真を見たら、照明の関係もあってか、どこかうら悲しさ漂う、はめを外した姿だったりして…。タイトル通り、失敗の方法のマニュアルとなっています。

ajisya

そして天久聖一は、2004年から2008年にわたり「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載した「天久聖一の味写入門」で、「知らないあいだにへんなものが写ってた!」「なぜ撮ったのかまったく意図がわからない……」といった神様のイタズラとしか思えない写真を、視点を変えて鑑賞しています。宴会場で踊る人物の手前、無表情でカラオケマイクを握る人物を宴会レポーターに見立てたり、被写体の向こうにたまたま写り込んだ人の人生に思いを馳せたり。デジカメ以前、フィルムの時代だからありえた、現像されるなり、お蔵入りしていた写真から、意図せぬドラマや人生を読みとり新たな命を与えいます。こちらは、どちらかというと味わい方にポイントを置いた、鑑賞ガイド。巻末にはかせきさいだぁ三との対談も収録しています。

178×130 128P

Seiichi HAYASHI 「Elégie en rouge」フランス語版 林静一「赤色エレジー」

elegie_chd

Seiichi HAYASHI 「Elégie en rouge」林静一「赤色エレジー」フランス版 ¥2940

 今年に入って、エデイシォン・コーネリウスから発行された、フランス語版「赤色エレジー」が入荷しました。タイトルの通りに、”赤色”ということで、エディター側の提案で網版が赤色に差し替えられていますが、擬音の書き文字はそのままに、オリジナルを損なうことなく、まさに新装版といった趣きの「赤色エレジー」に仕上がっています。なので、すでに作品を御存知の方やお持ちの方にもオススメです。
 グザヴィエ・ギルベールによる解説もついています。
170×240 240P

elegie3