日別アーカイブ: 2009 年 7 月 22 日

田中小実昌、北村紀子、田中りえ「ブレーメンのわすれもの/ブレーメンのおとしもの」

ブレーメンのわすれもの

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田中小実昌、北村紀子、田中りえ「ブレーメンのわすれもの/ブレーメンのおとしもの」  ¥735

 20年近く前の夏、ブレーマンに滞在していた田中りえを訪問した父・小実昌と、友人の画家・北村紀子。バス好きの小実昌につきあって連日、路線バスで街を回った北村が帰国する際に、小実昌は原稿用紙に書いた詩を贈った。その詩は北村家で長らく眠っていたが、りえの話を聞いて思い出した北村が掘り起こし、またブレーメンで北村がりえに贈った絵とともに一冊の小さな本にまとめられた。

 その経緯を書きながら、りえは当時のことを回想したり、父の作品の中からブレーメンに関する記述を拾い、元気だった父や幼かった息子や友達を想い、来し方行く末を眺める。文章を綴るうちに、それもまた絵本にしたくなり、自らの絵をつけて同じサイズの本にまとめ、父娘とその友人による時空を超えた2冊組コラボが実現した。
 ながらく、忘れられていた父の詩と友人の絵の組み合わせは”わすれもの”編。父や友人が書いたり描いていたときの自らの空白を取り戻すような娘の文章は”おとしもの”編。レアな小実昌ポエム(未発表)を原稿用紙ごと直筆で掲載し、三人の筆遣いが伝わる掌編です。
 文庫の田中小実昌「新編 かぶりつき人生」(河出文庫)の編集も手がけた須川善行による編集で、よるひるプロより発行されました。

変A6判 並製 20頁+28頁 2冊クリアポケット入り(分売不可) オールカラー