漫画」カテゴリーアーカイブ

武富健治習作コレクション『掌編集』 入荷

武富健治『掌編集』¥525

 『鈴木先生』で知られる武富健治さんは、少年時代から友人と漫画の同人誌を作ったり、大学漫研の部内誌で作品を発表し、現在でも胡蝶社名義で作品を自費出版を続け、自ら編集者・解説者となり自作を眺め磨きをかけて独自のキャリアを築いてきましたが、そのシリーズの最新刊です。
  作者が高校3年から大学3年くらいの間に、同人誌や漫画研究会の月刊コピー誌などのために描いた作品の中から、”比較的作品としてしっかりしたもの”と語る10編をセレクトした短編集です。
 いつものように自作解題もあり、学生でありながら旅行ものを描くために九州へ取材したことなど、描いた背景なども語っており、武富作品のルーツや背景を知る上で面白いのですが、粗いタッチと細かいペンの描き込みが混在しているあたりに、若さと作風を確立する以前のなみなみならないエネルギーを感じさせます。
 巻末には『鈴木先生』の連載直前に、後輩の同人誌のために描きおろした最新短編で時代ものの「右馬之佐東行日記」が収録されています。これは『蟲愛づる姫君』の続編にあたるもので、中世のちょっと怪奇なお話になります。最近の作品ですが同人誌つながりということで収録されています。(単行本未収録)
A5判74P

川崎タカオ「きまぐれな輝き」出会いの予感がするサイン本入荷

 現在、青山のビリケンギャラリーさんで個展「アコースティックな輝き」(〜11/14)を開催中で、18日にはタコシェで来店イベントを予定している川崎タカオ先生が、タコシェ用に新刊「きまぐれな輝き」のサイン本を作ってくださいました!

 18日の来店イベントにぜひ参加したいが、本を早く見たい、というすばらしいお客様のためのスペシャルなサインで、作品の中のキャラ「待ちぼうけ紳士」の“紳士”ぬきの、つまり、待ちぼうけ状態を絵にしてくれました〜! 当日、これを持っていらしたお客様には紳士の顔を描き足し、待ちぼうけに終わらないすてきな出会いをプレゼントしてくれる、という心憎いアイデアです。
 当日、いらっしゃれない方でも、終わらないサインを持つことで、いつか先生や紳士と出会う日を夢見て、すてきな待ちぼうけライフを過ごせるでしょう…。
 いまでしたら、一筆箋や栞もおまけでつきます。
 ご来店は11月18日(日)の3時からです。秘蔵品の展示も予定しておりますので
お楽しみに!

『花輪和一初期作品集』サイン本入りました

花輪和一「花輪和一初期作品集」¥1365

 長らく入手困難だった花輪和一初期作品を厳選、デビューから70年代半ばまでの“因業耽美路線”作品を中心に、初収録、未発表作品を一挙収録。
 伊藤彦造直系の過剰な描き込みで展開される、救いのない因業話の裏にあるユーモアには意外な解毒効果が。原稿所在不明のため行本未収録となっていた作品もまとめてお蔵出し。
 初版限定仕様(金色を使ったカバーの折り返しや見返しなどがきれいデス)、単行本初収録「日本妖怪おどろ草子」二色ページ完全再現!
【収録作品】
肉屋敷/※怨乳/怨獣/赤ヒ夜/猟人/※復讐とかげ女/醜悪ゴキブリ男/かいだん猫/※捨子物語/豚女/戦フ女/※塗り込め蔵/※日本妖怪おどろ草紙シリーズ/※垢嘗/※六富道
(※印単行本初収録)
◎巻末自作解題「肉屋敷の頃」花輪和一
A5判224P
 サイン本は完売しました。ありがとうございます!
 また、すでに入荷しております、ひさうちみちお「精G』もサイン本が入りました。

介護の時代! ひさうちみちお「精G」

ひさうちみちお「精G–母と子の絆」¥1050

 平安時代が王朝文化、江戸時代が町民文化の時代だったとすると、高齢少子化がすすむ平成は童貞と介護の文化の時代かもしれません。
 モブ・ノリオ「介護入門」、橋幸夫の「お母さんは宇宙人」、坪内ミキ子「母の介護–102歳で看取るまで–」と文芸方面でも介護は一大ジャンルを築いています。
 そしてガロ系作家さんたちも介護ジェネレーションに達し、林静一さんが痴呆症になった母を看取るまでを綴った「モモコさんと僕」を上梓してますが、ひさうちみちおさんも現在進行形の介護を元にした漫画を単行本化!
 主人公は中年ライター。痴呆による妄想が出はじめた母を実家からひきとり、病院に付き添ったり、妄想話につきあい…、ボケゆく母に困惑する一方で、表現者としての好奇心と観察眼から、過去を聞き出したり、母の中の”オンナ”の部分を淡々としたタッチであらわに描写してみたり。
 圧巻は、母の妄言に仕方なくつきあったつもりが、ヘソクリというには高額すぎる埋蔵金を掘り出してしまう嘘のようなくだり…。
 お母様は現在もお元気で介護は続行中のようですが、中年を迎えた自らの性とあわせて老いた母の実像を描く異色の母子モノ、現在進行形のリアルな介護漫画、家族の肖像…。今後の展開、続編も気になります! 
(四六判192P)

田亀源五郎先生新作はローマな剣闘士もの「ウィルトゥース」

田亀源五郎「ウィルトゥース』¥680

 最近ではレディコミ『ほんとうに怖い童話』に西太后ものを描くなど(えげつない女のい戦いの世界が案外オカマっぽいのだそうです)、様々なジャンルで活躍の田亀源五郎先生の新刊が出ました。以前にゲイ雑誌で連載されながら諸般の事情で完結されずにいたものに、最終章を描きおろしての単行本化という、作家の長年の希望がかなった一冊です。
 舞台は古代ローマ。コロシアムで命を賭した剣闘をエンターテイメントとして見せる剣闘士たちが主人公です。青年ガイウスは剣闘士となるべくここに連れてこられたものの、自らの境遇に絶望し失意の中、人気剣闘士クレケンスに無理矢理犯され、その後も嬲られ屈辱を味わわされる。いつしかガイウスの中はクレケンスを倒すべくどんな辛い目にも耐えて強い剣闘士になろうという復讐の念ががわき起こる—。
 エロと残酷、男臭さに定評ある田亀作品の中では、イケメンを主人公の一方に据えた、ちょっとさわやかさのある作品になっています!
  ほか老軍人もの「雪原渺々」、パパもの「誰にも言えない」2編も収録。
 表紙まわりや扉絵など、研究熱心なマイスター田亀ならではのギリシア・ローマ調イラストや、モザイク加工ポートレートなど、密かに凝ったアートワークも注目です!
B6判164P