田亀源五郎「ウィルトゥース』¥680
最近ではレディコミ『ほんとうに怖い童話』に西太后ものを描くなど(えげつない女のい戦いの世界が案外オカマっぽいのだそうです)、様々なジャンルで活躍の田亀源五郎先生の新刊が出ました。以前にゲイ雑誌で連載されながら諸般の事情で完結されずにいたものに、最終章を描きおろしての単行本化という、作家の長年の希望がかなった一冊です。
舞台は古代ローマ。コロシアムで命を賭した剣闘をエンターテイメントとして見せる剣闘士たちが主人公です。青年ガイウスは剣闘士となるべくここに連れてこられたものの、自らの境遇に絶望し失意の中、人気剣闘士クレケンスに無理矢理犯され、その後も嬲られ屈辱を味わわされる。いつしかガイウスの中はクレケンスを倒すべくどんな辛い目にも耐えて強い剣闘士になろうという復讐の念ががわき起こる—。
エロと残酷、男臭さに定評ある田亀作品の中では、イケメンを主人公の一方に据えた、ちょっとさわやかさのある作品になっています!
ほか老軍人もの「雪原渺々」、パパもの「誰にも言えない」2編も収録。
表紙まわりや扉絵など、研究熱心なマイスター田亀ならではのギリシア・ローマ調イラストや、モザイク加工ポートレートなど、密かに凝ったアートワークも注目です!
B6判164P