アート」カテゴリーアーカイブ

西潟浩平「カストリ雑誌創刊号表紙コレクション」

西潟浩平「カストリ雑誌創刊号表紙コレクション」(カストリ出版)¥2900+税

戦後間もなく(昭和21〜24)に発行された大衆紙は、性的モチーフを実話や物語、読物などに含み、3号も出ずに消えてゆくことから、3合飲むと酔いつぶれる闇市のカストリ焼酎になぞらえて、カストリ雑誌と呼ばれました。

後年、粗悪な造りで闇市に出回った風俗雑誌というイメージが強いこれらの雑誌ですが、戦中に貯蔵していた紙を使用したり、それまでの出版流通システムがGHQにより閉鎖されたなどの理由で闇に出回ることになったり…と、実物は後づけのイメージと異なるものもありヴァラエティ富んでいました。
そんな短期間に溢れ出して消えていった、様々な大衆紙の創刊号の表紙ばかり116点を西潟コレクションから選び、オールカラーで1ページ1表紙で収録。戦後の解放感と吹き出る欲望、カオティックな文化状況が伝わってきます。

当時人気の、あるいは後に活躍する作家やアーティストたちが多数寄稿していて、巻末のリストや資料を見るのも発見の連続です。

B5判 168pages(カストリ出版)

103才まで人形を作った原田栄夫さんの創作ノートを孫が編集した「祖父の創作ノート」

原田栄夫著 原田オニール芽編「祖父の創作ノート」¥800+税

2018年5月に103才で亡くなられた原田栄夫さんは1914年生まれ。
長い間、技師として働き、90才を過ぎてから、ちり紙や紙粘土で作りはじめた人形は、素朴でいながら、どこか色気や愛嬌あると、孫娘がSNSで紹介したり小冊子「祖父の人形」にまとめるうちに、静かに人々を魅了し展覧会を各地で開催するに至り、100才をすぎても創作に励んだ。

この冊子は、「祖父の人形」以降の作品とともに、メモ魔であった氏が綴った日々の雑記や創作メモやスケッチを孫の芽さんが再び編集、さらに、その人形を愛する田中美穂(蟲文庫)や渡辺尚子(編集者・ライター)浅生ハルミン(イラストレーター、エッセイスト)らのエッセイとあわせて冊子にしたもの。

巻末には孫から見た祖父と創作について綴られています。

100才をすぎても、様々なアイデアと工夫で進化する祖父の人形と、同様に写真や構成を工夫して祖父の創作の背景も含めて立体的に伝える孫の編集のコラボに、驚いたりほっこりしたり。

祖父の人形とあわせてご覧ください。

A5判32pages オールカラー

Ben Sanair ベン・サネール シルクスクリーン蛇腹折り本「Going To Japan」

Ben Sanair 「Going To Japan」 ¥4500+税

2017年末から翌2018年の正月を日本で過ごし、タコシェで展示をしたフランス人アーティストBen Sanair。

初来日から11年ぶりに、今度は旅行者ではなく、アーティスト&ミュージシャンとして展示とライブパフォーマンスのために日本の地を踏むことに。

クリスマスが終わるや、家族に送りだされて、ワルシャワ経由で成田へ。到着するや営業中の店内で展示の設営、そして年末はライブのステージに! 慌ただしい年の瀬に、それでも冷静かつ臨機応変に仕事をこなし、年明けには多くのアーティストと共作デッサンを行った充実の日々。

その様子を、ベンさんは、でかける前に彼女からもらったモレスキンの手帳に二色のペンを使って絵日記風に描きとめていました。日本に向かうワクワクや、到着後の興奮や友人たちとの再会を楽しみ、すきま時間に整理整頓したポーチからペンを出して手帳に乙女チックに楽しい旅を記録しました。

「観光や休息よりも、アーティストたちとコラボしたい!」と動きまわるベンさんからは、アーティストとしての誇りと日本の作家たちへの関心や作品への愛情がビシビシと伝わってきました。

そんな忙しくも幸せな滞在前半の様子を描いた蛇腹式ノートを、自らシルクスクリーンで印刷して再現した冊子。モレスキン風の黒い表紙とゴムもつけました!

タコシェでの展示については、26時間不眠のままで、日本に到着してタコシェの入口の小さなコーナーに展示しきれるのかとちょっと心配したけど首尾よく設営完了。と書かれています。びっしり展示して余ったスペースには、フリペを貼ったり、即席ガーランドで飾りつけまでしてくれました。

2017年末のBen Sanair個展。クリックで大きくなります

本文14×9cm 35面 2色シルクシクリーン印刷
全長314cmを折り畳んでいます。
黒いカバーつき。

田亀源五郎「GENGOROH TAGAME SKETCHBOOK」

田亀源五郎「GENGOROH TAGAME SKETCHBOOK」 (massive) 4167+税

過去に野郎フェスで発表したスケッチや下絵、モノクロイラストなどをまとめた同人誌2冊(『Dessins』と『Black & White』、いずれも完売)を1冊にコンパイルし、北米向けに再編集(ショタ系の絵と、北米メディア向けに描いた絵を抜いて、代わりに新規作品を何点か追加)したもの。

アメリカでの出版なので無修正版。ブック・デザインはチップ・キッド。

田亀源五郎をはじめとしたクィア、フェミニズムに関わる日本のアーティストの作品やグッズを紹介、制作してきた米国のmassiveが編集・発行。

B5判80pages