いましろたかし「原発幻魔大戦 首相官邸前デモ編」

原発幻魔大戦 首相官邸前デモ編 表紙

いましろたかし「原発幻魔大戦 首相官邸前デモ編」(エンターブレイン)¥693

釣りなんかやってる場合じゃねえっ!! 国家権力の横暴にブチきれた男が立ち上がる!!

ダメな男たちや猫のあんずちゃんなどを描く辛口脱力系漫画家であった、いましろたかしが、3.11以降明るみになった政府、メディア、財界、官僚の腐敗を看過できず、反原発、反TPPを宣言するに到る—-というのが、この本の前作「原発幻魔大戦」。

作者自身を投影した主人公は、その後もデモに参加し、居酒屋で国を憂いて熱弁をふるうも、同席した女性には軽くスルーされ…。それでも、ネットで情報収集をし、パンク系のバンドマンやデモ仲間と意見を交換し、市井の人として懸命に、日本の未来を考える。大河の一滴のような存在であろうとも、行動せずにいられない憤りが、ときとして”ごまめの歯ぎしり”に見えてしまう滑稽さや冷静さもおりませながら描かれた反原発運動の日々。実際にデモに参加したいたいましろたかしによって2011年12月〜2012年9月の日本の動向が、リアルに描かれています。

いったい、何をしたらいいのか、日本がどうなるかもわからない。第一、そんな事、一市民が判断したり変えられるものでもない。ども、何もしないでいたら、たいへんな事になってしまう。そんな中で悶々としたり熱弁をふるったり、デモに通う姿はいじましいけど、決して痛くはない心打つ在り方。

巻末で外交問題の専門家、孫先享氏にいましろたかしがインタビュー、日頃の疑問をぶつけます。
鮮やかなピンクの唇をした野田首相が目印です。
18.8cm×13cm 166P